御宿かわせみ (28) 佐助の牡丹 (文春文庫)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167168827

感想・レビュー・書評

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  • 「平岩弓枝」の連作時代小説『御宿かわせみ (28) 佐助の牡丹』を読みました。
    『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』、『新装版 御宿かわせみ (11) 二十六夜待の殺人』に続き、「平岩弓枝」の作品です。

    -----story-------------
    富岡八幡宮恒例の牡丹市で持ち上がった時ならぬ騒動。
    一位となった高貴にして優美な「白貴人」は自分が作った花だと、男がケチをつけてきた。
    果して花はすり替えられたのか?
    表題作ほか、「江戸の蚊帳売り」「水売り文三」「あちゃという娘」など全八篇を収録。
    水仙、梅、椿に萩と江戸の花々を背景に、「かわせみ」は今日も繁盛。
    -----------------------

    江戸時代末期を舞台に、大川端の小さな旅籠・かわせみを舞台とした「御宿かわせみ」シリーズの第28作… 以下の8篇が収録されています。

     ■江戸の植木市
     ■梅屋の兄弟
     ■佐助の牡丹
     ■江戸の蚊帳売り
     ■三日月紋の印籠
     ■水売り文三
     ■あちゃという娘
     ■冬の桜

    深川富岡八幡宮で、牡丹の品評会があり、一位に選ばれた鉢・白貴人に疑惑が生じた… 白貴人は、果してすり替えられたのか? 丹精込めて立派な牡丹を育て自信作を出品しても、袖の下を出さないことで長年無視され続けてきた「佐助」が悪事を暴こうとする『佐助の牡丹』がイチバン面白かったかな。

    旗本の屋敷で印籠がなくなり、妾腹の少年「徳太郎」が疑われた… ところがその印籠が意外なところから見つかる! ちょっとほっこりできる日常の謎を描いた『三日月紋の印籠』は、先日読了した『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』に収録されていて再読ですが、これも面白い作品ですね。

    他には、生き別れとなった兄弟のお互いを想う気持ちが切なく、深い余韻を残す『水売り文三』や、うつ病の隠居に自然に優しくできる「あちゃ」に感情移入してしまった『あちゃという娘』が印象に残りましたね。

    第28作ということもあり、かわせみの女主人の「るい」と「神林東吾」は結婚しており、ひとり娘「千春」も登場… 当然、他の登場人物も結婚して、息子や娘が生まれており、子どもたちの交流も描かれていました、、、

    単発で読んでも愉しめるのですが、シリーズ物なので時系列で読んだ方が愉しめるんでしょうね… できれば、第1作から読みたいなー

  • 今回もどれも粒揃いの短編だ。毎晩寝る前に一編ずつ読んで寝ると不思議と気持ちよく眠れる。特に良かったのは『あちゃという娘』。ラストの東吾との井戸場での会話のシーンがたまらなく切なくて強く印象に残った。

  • シリーズ28巻です。ファンの方には申し訳ありませんが、惰性というか、意地というか、ともかくも文庫化されたら購入、読み続けています。家内も最初は読んでいたのですが、途中で挫折。私が買うたびに「また〜」などと申しております。
    とは言え、今回はどうでしょう。何時ものメンバーが何時ものごとく、としか言いようも無いのですが、久しく間が空いたせいなのか、余りマンネリ感を感じませんでした。何処とは指摘できないのですが、出来が良い短編が揃っていたのかもしれません。

  • 28

  • ・梅屋の兄弟
    ・江戸の植木市
    ・佐助の牡丹
    ・江戸の蚊帳売り
    ・三日月紋の印籠
    ・水売り文三
    ・あちゃという娘
    ・冬の桜

  • 【8作収録】
    ・植木市で花よりも鉢を熱心に見ていた男を見かけた東吾。後日、男は病死し、相続する妻子がないことで家財道具は全て売りに出されるが、実は外に息子がいることが判明する
    ・それぞれに薬屋を営みながらも仲の悪い腹違いの兄弟。兄を分家にし、本家を継いだ弟は何かというと兄の店に突っかかる。しかし、子供同士は好き合っていて・・・
    ・牡丹市で一位になった花は自分が造ったのだと主張する男。言葉通り、鉢植えの土を掘り返すと男の名前が書かれた紙が。男が何かを仕組んだのか、それとも鑑定人の不正があるのか
    ・旦那の浮気に腹を立て実家に帰ったことで離婚話にまで発展した料理屋の内儀。持参金を返さぬうちは離婚に応じない妻と、自ら勝手に出て行った妻の持参金は返す必要がないと突っぱねる旦那
    ・旗本の落胤である少年とその母親がかわせみに滞在した。跡目相続に必要な家宝の印籠が本家で見つからず、妾腹が奪ったか隠したかしたのではないかと疑われていたのだった
    ・夏場は水売り、他の季節には天麩羅を売りながら、子供の頃に生き別れになった兄を探している男。東吾が気にして見ていたところ、どうもかわせみに滞在している客が、その兄のようで・・・
    ・気鬱の病で生きる気力をなくしている料亭の隠居。天衣無縫な女中頭の娘が献身的に世話をし始め、隠居は目に見えて回復。娘の評判も上がり、嫁入り話が浮かぶが・・・
    ・宗太郎の弟・宗三郎が突然出会った赤ん坊連れの女。宗三郎を違う男の名前で呼び、寺に行きたいようだという以外は記憶が無い様子で

  • 牡丹市が開かれて、一位になったものは「俺が出した鉢だ」と訴える佐助の話とか。まったり進む感じ。東吾の息子麻太郎と娘の千春の行く末が気になる東吾だったりする。

  • 時代が江戸末期へと近づくにつれ、その犯罪は、人情もへったくれもないようなものに描かれている。

    10代の狂気、賄賂、不正、なんら現代と変わりない。

    読んでると、全く今いう所の警察が足りてないほど、江戸の人口が増えてるんじゃぁなかろうか、って思った。

  • 2007/9/23
    BM-H E

  • NHKの金曜時代劇、っていったら分かる方もいらっしゃるかな(笑)どんどんファミリーも増え、世界も広がる「かわせみ」シリーズだけども、舞台は幕末。これからどうなっていくのかちょっと心配でもあったりして…。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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