関東大震災 (文春文庫 よ-1-2)

  • 文藝春秋 (1977年1月1日発売)
3.84
  • (7)
  • (8)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 97
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167169022

みんなの感想まとめ

関東大震災をテーマにしたこの作品は、史料や被災者の証言を基に、震災の実態をリアルに再現しています。小説的な体裁を持ちながらも、ノンフィクションに近い形で、一般的には語られない朝鮮人虐殺や死体処理、略奪...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  体裁は小説であるが、執筆当時(1972~73年)利用可能だった関東大震災関係の史料と被災者の証言をもとに事実の再現に努めており、限りなくノンフィクションに近い。朝鮮人虐殺にかなりの紙幅を割いているほか、死体処理問題や糞尿問題、無政府状態下での略奪・強盗など、一般的な関東大震災研究では言及されにくい問題も詳述している。大衆の非合理性を強調する一方、官憲の行動にやや甘い傾向はあるが、関東大震災の基本的な史実を知る上で現在でも十分有用な本である。

  • ・古本市で10円で買っておいたのを、東北関東大震災から一週間経って読んでみた。良書。いや知ってるようで関東大震災の事なんも知らないのな。
    ・持ち出した家財が火災を広げた事、大網町公園が今ある場所で4万人近くが死んだ事に驚く。でも地震火災よりもその後の人心の乱れの方に仰天した。地震後の流言で朝鮮人が6千人も虐殺された事、大杉栄事件、社会がいかにおかしくなってたかがよくわかる。
    ・電話も不通でラジオもテレビもネットもない時代に、横浜発の流言が2日後には福島まで到達してたという事に驚愕。RTするのもいいけど良く良く考えた方がいいぜ。

  • 「血迷へる群衆の蛮行は一生忘れぬ」
    新聞に掲載された元軍人の体験談の見出しである。
    流言により人災に発展していく様子が克明に描かれている。

  • 関東大震災自体はもちろん知っていますし、甚大な被害が出た事も知っているんですが、何故被害がそこまで拡大したのか、また、その後起こった犯罪や流言飛語などを読みながらリアルに感じる事が出来ました。他の本で関東大震災後に朝鮮人への民間人からの虐殺があった事は知っていたんですが、ここまでひどいとは…。とにかくいつの時代であれ何が起こったのであれ、正確な情報は宝だと思いました。

  • 4167169029 285p 1994・2・15 17刷

  • (2013.02.16読了)(2013.02.07借入)
    【東日本大震災関連・その110】
    東日本大震災の後、吉村さんの「三陸海岸大津波」と「関東大震災」が読まれているということを何かで読んだように記憶しています。
    「三陸海岸大津波」の方は、地元のことなので、すでに読んでいたのですが、「関東大震災」の方は、次々と出版される東日本大震災についての本を追いかけるのに忙しくて、なかなか手に取ることが出来ませんでした。
    先日、図書館で他の本を探していた時に偶然見つけたので、借りてきました。
    読んでみると、関東大震災の全貌が網羅されているようです。しかも読みやすくエピソードなどを挟みながら、構成されています。
    被災の状況や朝鮮人虐殺に関する部分は、予想以上のものでした。
    日本の中枢がやられ、情報、通信、食料、水、家、鉄道、等、壊滅状態で、民衆は、警察官の言うことを聞かない(それまでの不信感がそうさせたのかも)。
    実に大変な状況だったことがわかります。
    首都直下型地震が、近いのではないか、と言われている昨今ですので、首都圏の方は是非一読しておくべき本と思います。
    火災の被害を広めた原因は、被災者が持ち出して運ぼうとした家財道具ということです。現在に当てはめると、自動車も同様ということになるかと思います。
    雑誌「諸君!」に1972年5月号~1973年6月号に掲載されたものです。

    【目次】(章題は、僕が勝手につけたものです。原本にはありません)
    一 1915年11月12日・前震
    二 地震予知
    三 1923年9月1日・大地震
    四 神奈川県・千葉県の被害状況
    五 東京府の被害状況
    六 本所区横網町・被服廠跡
    七 浅草区吉原公園・他
    八 浅草観音附近・消火
    九 情報途絶
    十 刑務所
    十一 流言「朝鮮人放火す」
    十二 飢えと渇き・食糧不足
    十三 流言・地方へ
    十四 大杉栄・殺害
    十五 甘粕正彦憲兵大尉・軍法会議
    十六 遺体処理・糞尿処理・塵埃処理
    十七 避難所・仮設住宅
    十八 犯罪対策・支援活動
    十九 地震学・次へ
    あとがき  吉村昭

    ●市民のいたずら(21頁)
    中央気象台発表として、午後三時から五時のあいだに大地震が到来すると各役所、病院、図書館、商社等に電話連絡があったのだ。
    通報を受けた役所等ではただちに事務を中断して地震対策に着手し、それを伝え聞いた市民は恐怖に駆られて避難準備を始めた。
    しかし、その連絡は電話を利用した一市民のいたずらで、中央気象台にはそのような発表をした事実はなかった。
    ●関東大震災の地震の震源(33頁)
    初動は北二十六度の上方動、初期微動継続時間十二秒四、主要動の継続時間は十分で、震源地は、東京の南二十六度西の方向百二キロの相模湾にあたり、地震は約一時間二十分にわたって継続したことが判明した。
    ●箱根(37頁)
    箱根の温泉地でも八百六十六戸の家屋が倒壊し、旅館が断崖上から渓谷に墜落して四散した。殊に塔ノ沢では渓流が崖崩れでふさがれて鉄砲水が起こり、旅館その他の家屋を流失させた。
    ●横浜市(41頁)
    横浜市の家屋倒壊戸数は、全壊九千八百、半壊一万七百三十二、計二万五百三十二戸に達し、全戸数九万八千九百戸の二十パーセント強に及んでいる。殊に洋館は石造または煉瓦造りなので耐震性はなく、最初の強震でひとたまりもなく崩壊してしまい、内部にいた者は逃げる余裕もなく大半が圧死した。内外人に親しまれていたグランドホテル、オリエンタルホテルも轟音と友の倒壊し、外人多数が即死した。その他官庁の大半も倒れ、横浜裁判所では末永所長以下百余名がすべて圧死した。
    ●火事場泥棒(75頁)
    彼らは、死体には眼も向けずしきりに物品のみをあさって歩いているのです。手提げ金庫を壊したり、焼け残った品を手に取ったりして、何かめぼしいものを見つけるとそれを素早く懐に入れます。
    (東日本大震災でも、金庫や金品をあさった人がいたといううわさはあります。また、近所のコンビニやドラッグストアのガラスが破られ品物が持ち去られたようです。)
    ●新聞社(115頁)
    東京の十六社の新聞社の内社屋が焼失をまぬがれたのはわずかに東京日日新聞社、報知新聞社、都新聞社の三社のみで、他の十三社はすべて焼失してしまった。
    ●罹災民を地方へ(170頁)
    災害地は食料が乏しく、自警団による朝鮮人および日本人、中国人に対する殺害事件が続発していたので、政府は食糧事情の緩和と治安回復のため一刻も早く罹災民を地方に分散させたかった
    ●甘粕大尉(217頁)
    甘粕大尉は、大杉栄、伊藤野枝を殺害するとともに、六歳の宗一殺しを命じたことを自ら明らかにした
    ●浅草、本所、深川(235頁)
    引き取り手のない死体は、浅草区で陸上河川を合わせて男三百六十六体、女六百五十二体、性別不明千三百七十六体、計二千三百九十四体、深川区で男千二百八十四体、女百五十三体、性別不明六百九十二体、計三千百二十九体にのぼり、さらに陸軍被服廠跡で大量の死者を出した本所区では男七百六十七体、女九百七十体、性別不明四万八千八百七体、計五万五百四十四体という驚くべき数に達していた。

    ☆関連図書(既読)
    「大杉榮 自由への疾走」鎌田慧著、岩波書店、1997.10.20
    「美は乱調にあり」瀬戸内晴美著、角川文庫、1969.08.20
    ☆吉村昭さんの本(既読)
    「戦艦武蔵」吉村昭著、新潮文庫、1971.08.14
    「戦艦武蔵ノート」吉村昭著、岩波現代文庫、2010.08.19
    「零式戦闘機」吉村昭著、新潮文庫、1978.03.30
    「遠い日の戦争」吉村昭著、新潮文庫、1984.07.25
    「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
    「平家物語(上)」吉村昭著、講談社、1992.06.15
    「桜田門外ノ変 上巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
    「生麦事件(上)」 吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
    (2013年2月18日・記)
    (「BOOK」データベースより)
    大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく―。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。

  • 教師たる者知っておかなければ!と教授にすすめられて読みはじめた。

    東日本大震災以降、津波、原発、未だ大変なことも多いし、ニュースもあふれている。
    ところで、東京でもし同程度の地震が起こったら?
    どんなことが起こりうるんだろう?

    時代は違うから防災ってもっと進化しているとは思うけど、根っこのところは変わっていないのではないか・・・?

    火事、コワイ。流言、もっとコワイ。人間って怖ろしいな・・・。

  • 2011.10.20(木)¥157。
    2011.10.28(金)。

  • 請求記号:210.6ヨ
    資料番号:010743755
    震災後、安左ヱ門は東京に進出します。

  • 大正十二年九月一日正午直前、突如関東を襲った激震は、直後に発生した火災と相まって、おびただしい死者を出した。克明にパニック状況を再現した菊地寛賞受賞作

  • 日本の地震防災の原点というべき災害.一度,きちんと勉強したいと思っていたのであるが,導入としては最適の一冊である.

全11件中 1 - 11件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村昭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×