幕府軍艦「回天」始末 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1993年12月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167169275

作品紹介・あらすじ

新政府に抵抗して箱館に立てこもった旧幕府軍は、明治二年三月、起死回生を期して、軍艦「回天」をもって北上する新政府艦隊を襲撃した。秘話を掘り起した歴史長篇。

みんなの感想まとめ

歴史の深い闇に光を当てる一冊で、旧幕府軍の奮闘と軍艦「回天」の秘話を描いています。戊辰戦争の背景や、幕府が保有していた洋式船舶の意義が詳述され、特に「回天」が新政府軍に挑んだ接舷襲撃の失敗は、海戦史に...

感想・レビュー・書評

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  • 「回天」。開陽丸なきあと箱舘旧幕府軍の基艦となり、土方歳三らを乗せて、宮古湾に停泊中の新政府軍の軍艦「甲鉄」に「アボルダージュ(接舷襲撃)を仕掛けた船の名前だ。回天は外輪船のため、甲鉄の舷側に接舷できず、無理なかたちの接舷になり、結果的には失敗に終わった作戦だったが、世界の海戦史にも記録を残した。
    戊辰戦争の勝敗を決した要因の一つに、武器の違いがあったが、船舶保有力というのも大きな要因になっていると思う。
    特に軍艦は、陸上輸送しにくい大砲を十門以上も装備し、陸戦兵士を多数乗船させて何の障害もない海上を移動する驚異的な兵器となる。幕末の幕府と各藩には合計100隻を越える洋式船舶があったが、軍艦をもっているのは、幕府と佐賀藩、薩摩藩くらい。

    この本は、榎本武揚に率いられた8隻の幕府艦船と、その船とともに戦いつづけた旧幕府軍へのレクイエムともいえる1冊。

    吉村昭得意の、史料やインタビューから引き出してくる事実の積み重ねで過去の出来事を具現していく手法は、やはり鮮やか。

  • 箱館戦争を描いた表題と異国船打払令のきっかけとなった事件を描く「牛」の2編。眠気が強い時に読んだので、興味のあるテーマのはずが入り込めなかった。そのうち再読したい。

  • 五稜郭の戦いは興味をそそられる歴史的事象である。運命の悪戯が、その後の展開を明示していることを詳細な調査によって明らかにしている...。やはり吉村氏の著作は面白い。

  • 2018年12月26日読了

  • 幕府軍と新政府軍による一進一退の箱館戦争。
    その箱館戦争の海戦を主に辿る。
    吉村昭流の記録小説によって、淡々とたが、濃密に描き出してゆく。
    だが、併録されている『牛』が何故、一緒に収録されていたのかが不思議である。

  • 明治二年三月二十五日の夜明け、宮古湾に碇泊している新政府軍の艦隊を旧幕府軍の軍艦「回天」が襲った。箱館に立てこもった榎本武揚たちは、次第に追い詰められてゆく状況を打開しようと、大胆な奇襲に賭けたのであった。歴史に秘められた事実を掘り起し充実した筆致で描いた会心の長篇歴史小説。(親本は1990年刊、1993年文庫化)
    ・幕府軍艦「回天」始末
    ・牛
    ・あとがき

    表題作は、なんとも凄惨な内容である。箱館戦争を扱っているが、著者が戦記文学作家であることがあらためて認識される。また、箱館戦争が情報戦であったことが良くわかる。榎本軍が善戦していることがうかがえ、脱走フランス軍士官の描き方も興味深い。
    「牛」の方は、幕末、薩摩藩領宝島での牛を巡る外国船と、警備の役人の争いを描いた短編である。異国船来航の脅威がひしひしと伝わってくる。

  • 2014.6.24(火)¥100。
    2014.7.7(月)。

  • 本作もまた、かの吉村昭作品に独特な、沈着な筆致でドキュメンタリーのように描かれている“世界”へ読み手を誘ってくれる作品に仕上がっている。“回天”に乗務した人達や周辺の人間を描いていながら、作中では「満身創痍になりながら、男達の矜持を載せ続けた艦」の存在が、全編を通じて背後に感じられる…

    限られた紙幅の中に、「知られているようで知られていないかもしれない」ような“回天”の勇戦ぶりが凝縮されている。お奨めだ!!

  • 4167169274  206p 1993・12・10 1刷

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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