- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174057
うつくしい子ども (文春文庫)の感想・レビュー・書評
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神戸で起きたあの事件を彷彿とさせる展開。主人公は犯人の少年の兄で、弟が犯した罪により、家族ぐるみで世間の批判の波に襲われる。
外もろくに歩けず、学校でも大変な目に遭うけど、主人公は弟が「何故そんなことをしたのか」について突き詰めていく。
犯罪者の家族については、本人が罪を犯したわけでもないのに、怒りを向けてしまうことがある……。特に、犯人が少年だった場合は。
犯罪者の家族の立ち位置。どこまで親と子を「個」として見るか。いろいろ考えました。
それから、もう一人の主人公である報道記者の目線を通して、報道のありかたについても面と向かって考えることになりました。
フィクションのせいか、報道の人たちが「ここまでやる?!」みたいなシーンもあったりしたんですけど……うーん、私はこれはこれでアリなのかもしれないとも思う。
犯罪をした本人だけでなく、家族も巻き込まれていく感じ。日本では江戸時代の懲罰からずっと、この構図は続いているのかも。
この話では、犯罪者である弟をそそのかした存在がいたわけだけど、いじめをうけた主人公ほど苦しまずにこの世から退場してしまう。
主人公をいじめる側に回ってた存在でもあり、この主犯が世間の波にもまれる姿も見てみたい気がした。 -
児童殺人を犯した弟の動機を探る14歳の兄の成長物語。ミステリーとしても面白いがいろんな事を考えさせられる良作だった。弟の施設での発言はぞっとする。加害者サイドを描いた作品の中では著者の描くラストは優しすぎるくらい。
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東野圭吾の手紙のような作品。
けど、それよりも、人の心の闇にフォーカスを当てている点で、異なっていると思う。あんなに凍てついた、心の闇は、誰にでもあるのだろうか。 -
子供って残酷だ。純粋な子供は導く人によって何色にでも染まる。
怖くて考えさせられて、それでも「お兄ちゃん」であろうとする主人公に涙した。 -
この頃の石田衣良はよかった。
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緑豊かなニュータウンを騒然とさせた9歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは<ぼく>の13歳の弟だった。
崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校……。
殺人者のこころの深部と真実を求めて、14歳の兄は調査を始める。
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おうう…なんていうか、面白かったんだけど、疲れた…
私の誰かが死んだり、その謎と苦悩…みたいなの割と苦手で…
疲れた…
もう最後の方とか松浦くんにキーーってなりっぱなしだったし…
こういうのってどうしても主人公に肩入れして読んじゃうんだけど、もしこれが松浦くん視点で書かれてたら松浦くんに同情してたかも…
そんでもって、殺された女の子の家族視点で書かれてたりしたら、カズシの事全然許せなかったと思う。
でもって、そういうものの見方しか出来ない自分にガッカリした。
現実に、もし、クラスメイトの兄弟が殺人者になっちゃったら、私はその人の家族と今までのように落ち着いて、そして不当な扱いから守ってあげられるか…と考えると…どうだろう…と考えてしまう。
もちろん、積極的にいやがらせしたり、面白おかしく騒いだりはしたくないけど、はるきとか長沢くんみたいに力になってあげよう…
とはできないかも…したいけど…たぶん…できない…
私ぜんぜんわかんないし、関係ないから…って傍観者になっちゃうと思う。
もし自分がジャガの立場になったら……たぶんだれも私の事知らない場所に逃げると思う。戦えない。
無理だなあ… -
推理かと思ったらそうではなかった。実はこれが石田衣良デビュー。全体を通して淡々としていたもののさくさく読み進められた。中学生ってまだ子供だけれど、色々なことを考えているんだなあ。
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操り人形に殺されたからといって、そのその痛みや悲しみが減じるわけではない。
操り人形の操り手の背中には、やっぱり人形と同じ操り糸がついていて、永遠に合わせ鏡のようにそれが続いているとすれば、結局、罪は、「社会」とかそういった巨大なものにしか向けることができなくなる。
でも、操り人形の側でも、被害者側でもないこの視点は、とても、新鮮でした。
その立場に、主人公は、否応なしに立たされてしまうのだけど、わたしたちや、マスコミからすると、どうしてもその部分は、見えなくなってしまうから。
見えないものは、ないから見えないわけではなく、見ようとしないから、見えないのだと思った。 -
最近石田衣良の作品をよく読んでいる。
ミーハー的なきっかけだけど、みずみずしくPOPな語り手となる主人公と、そんな主人公がPOPなタッチで語る、胸が苦しくなるほどにやりきれない気持ちにさせる残酷な物語。そんな両者の関係が妙にリアルでお気に入り。
そんな衣良作品の中の一冊「うつくしい子ども」。今までに読んだ6冊の衣良作品の中でも、もっとも残酷でやりきれない気持ちにさせる作品。
主人公の少年は中学二年生。まだまだ少年の彼。でも自分にも思い当たる。無邪気な自分を大人の視点で分析しようと試みる年代。
そんな少年の年子の弟、彼が自分の妹と同じ年齢の女の子を殺してしまう。それまでの物語と、その後に主人公の少年とその家族が経験する残酷な体験を描いた物語。
物語のテーマは、主人公の少年が弟が“なぜ殺人を犯したのか”その理由を探しながら、本当の大人へと成長する過程にある。
主人公の少年は、弟の殺人の理由を探しながら被害者である女の子に毎週、自らが摘む草花を女の子の墓石に供えることを忘れない。誰にも分からないように、そっと、だけど毎週欠かさず草花を供える。
お詫びではない。言い訳でもない。ただ必然として自然な行動。
やりきれない物語の中で、少年が墓石に花を供えるとき、供える花を選別しているとき、墓石の前で女の子に語りかけるとき。不思議とそんな場面で1番ホッとさせてくれる。真摯な少年の言動。
だけど、そんな少年のデイリーワークが被害者の母親に見つかってしまう場面がある。被害者の母が少年に投げかける言葉。それは意外なほどに優しく、最もやりきれない言葉。
「すみません、毎週勝手にお参りなんかして」(少年)
「あなたの弟さんのことは一生許せないと思う。でも、毎週お花を供えに来てくれてありがとう。あなたのお花は、誰のものより心がこもっていた」(被害者の母)
そういうとその女の人は、静かに泣き出した。セミの鳴き声がスギの木から降ってあたりのお墓に反射している。涙を落とさないように必死でこらえた。だってぼくには泣く資格なんてない。
被害者の母の言葉が、あまりにも素直で悲しみと優しさに溢れていて、とてもやりきれない。泣く資格がないと涙をこらえる少年の様子が健気で。やりきれない。
物語の中で、心無い人たちに弟の犯した罪をめぐって傷つけられ続けた少年。
でもそんな少年が1番心に堪えたであろう言葉がこの「優しくて素直な言葉」ではないかと思う。
ときに「優しい言葉」は、やりきれなくなるほどに心に響く。
物語は意外な方向ではあるが、やっぱり厳しい状況のまま幕を下ろす。。
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