うつくしい子ども (文春文庫)

著者 :
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レビュー : 720
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174057

感想・レビュー・書評

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  • 平凡で普通の少年の住む町で起こる猟奇殺人事件。突然街に警察、マスコミが押し寄せ騒がしくなる。そんななか、犯人逮捕。まさか弟が!? 少年犯罪のお話でした。犯行を犯した少年が捌かれるのあたりまえ。未成年なら、親の責任といわれるのもわかる。だが、その兄弟は? マスコミやネットなどで取り上げられるのは、いたたまれないです。 お話の中で、兄は殺人を犯した弟の心をしろうと、行動をします。中学生ですよ?なんて強い子なんだ・・・そして、大人さえ知りえなかった事実に辿り着きます。最期あれは、どうなんだろう・・・大人の、自分勝手な事情のエゴではないか? 真実が表に出ればもちろん更に混乱と泣く人もいるし、犯した罪が消えるわけではないけれど、殺人を犯した過程があばかれれば、更正とかの道の模索もできるのでは? 公表しないでほしいなんて、主人公の兄に重い足枷を付けただけではないのか? よくそんなことを中学生に頼めたものだと、小説とわかっていながら腹立たしかったです。

  • 児童殺人を犯した少年・その家族の行く末。本当の殺人者は誰かを問う小説。ミステリー。少年犯罪の闇を鋭い視点で描いています。
    主人公は、殺人者の兄。犯罪者の兄ということで、世間から冷たい視線をあび、学校ではいじめを受ける。報道陣に囲まれた家に戻ることはできない。両親の離婚、引越etc。それらを乗り越えながら、心から信頼できる友達もいる主人公が「弟がどうして殺人を犯したのか」を追求していく。ラストには、衝撃的な真相が明らかに。
    子どもの心の闇。操るのは誰か。家族ではおぎなえない何か。美し過ぎる子どもは怖い。主人公の強さには拍手ですが、少年犯罪の恐怖に背筋が凍りつくような小説でした。

  • 神戸で起きたあの事件を彷彿とさせる展開。主人公は犯人の少年の兄で、弟が犯した罪により、家族ぐるみで世間の批判の波に襲われる。
    外もろくに歩けず、学校でも大変な目に遭うけど、主人公は弟が「何故そんなことをしたのか」について突き詰めていく。
    犯罪者の家族については、本人が罪を犯したわけでもないのに、怒りを向けてしまうことがある……。特に、犯人が少年だった場合は。
    犯罪者の家族の立ち位置。どこまで親と子を「個」として見るか。いろいろ考えました。
    それから、もう一人の主人公である報道記者の目線を通して、報道のありかたについても面と向かって考えることになりました。
    フィクションのせいか、報道の人たちが「ここまでやる?!」みたいなシーンもあったりしたんですけど……うーん、私はこれはこれでアリなのかもしれないとも思う。
    犯罪をした本人だけでなく、家族も巻き込まれていく感じ。日本では江戸時代の懲罰からずっと、この構図は続いているのかも。

    この話では、犯罪者である弟をそそのかした存在がいたわけだけど、いじめをうけた主人公ほど苦しまずにこの世から退場してしまう。
    主人公をいじめる側に回ってた存在でもあり、この主犯が世間の波にもまれる姿も見てみたい気がした。

  • 児童殺人を犯した弟の動機を探る14歳の兄の成長物語。ミステリーとしても面白いがいろんな事を考えさせられる良作だった。弟の施設での発言はぞっとする。加害者サイドを描いた作品の中では著者の描くラストは優しすぎるくらい。

  • 東野圭吾の手紙のような作品。
    けど、それよりも、人の心の闇にフォーカスを当てている点で、異なっていると思う。あんなに凍てついた、心の闇は、誰にでもあるのだろうか。

  • 子供って残酷だ。純粋な子供は導く人によって何色にでも染まる。
    怖くて考えさせられて、それでも「お兄ちゃん」であろうとする主人公に涙した。

  • この頃の石田衣良はよかった。

  • 緑豊かなニュータウンを騒然とさせた9歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは<ぼく>の13歳の弟だった。
    崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校……。
    殺人者のこころの深部と真実を求めて、14歳の兄は調査を始める。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    おうう…なんていうか、面白かったんだけど、疲れた…
    私の誰かが死んだり、その謎と苦悩…みたいなの割と苦手で…
    疲れた…

    もう最後の方とか松浦くんにキーーってなりっぱなしだったし…
    こういうのってどうしても主人公に肩入れして読んじゃうんだけど、もしこれが松浦くん視点で書かれてたら松浦くんに同情してたかも…
    そんでもって、殺された女の子の家族視点で書かれてたりしたら、カズシの事全然許せなかったと思う。

    でもって、そういうものの見方しか出来ない自分にガッカリした。
    現実に、もし、クラスメイトの兄弟が殺人者になっちゃったら、私はその人の家族と今までのように落ち着いて、そして不当な扱いから守ってあげられるか…と考えると…どうだろう…と考えてしまう。
    もちろん、積極的にいやがらせしたり、面白おかしく騒いだりはしたくないけど、はるきとか長沢くんみたいに力になってあげよう…
    とはできないかも…したいけど…たぶん…できない…
    私ぜんぜんわかんないし、関係ないから…って傍観者になっちゃうと思う。

    もし自分がジャガの立場になったら……たぶんだれも私の事知らない場所に逃げると思う。戦えない。
    無理だなあ…

  • 推理かと思ったらそうではなかった。実はこれが石田衣良デビュー。全体を通して淡々としていたもののさくさく読み進められた。中学生ってまだ子供だけれど、色々なことを考えているんだなあ。

  • 操り人形に殺されたからといって、そのその痛みや悲しみが減じるわけではない。
    操り人形の操り手の背中には、やっぱり人形と同じ操り糸がついていて、永遠に合わせ鏡のようにそれが続いているとすれば、結局、罪は、「社会」とかそういった巨大なものにしか向けることができなくなる。

    でも、操り人形の側でも、被害者側でもないこの視点は、とても、新鮮でした。

    その立場に、主人公は、否応なしに立たされてしまうのだけど、わたしたちや、マスコミからすると、どうしてもその部分は、見えなくなってしまうから。

    見えないものは、ないから見えないわけではなく、見ようとしないから、見えないのだと思った。

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著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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