うつくしい子ども (文春文庫 い 47-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174057

感想・レビュー・書評

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  • 「弟が九歳の女児を絞殺。逮捕の瞬間から、街に家族の居場所は無くなった。でも僕はここで闘う。弟を凶行に駆り立てた何かを探して。」
    「悲劇の被害者は死者と遺族だけではない。殺人を犯した者の家族もまた、激流の中に放り込まれる。心がぼろぼろになり、自殺してしまう人もいる。この主人公(殺人犯の兄)は、いわゆるヒーローではない。しかし、事実から目をそらさず、過酷な運命を受け入れて、新たな一歩を踏み出す。」
    (『いつか君に出会ってほしい本』田村文著 の紹介)

  • 被害者家族の気持ちも加害者家族の気持ちも痛いほどわかる。しかも、今回加害者家族に大きな問題があったから息子が犯罪を犯したって訳じゃないのも辛い。
    私が主人公なら松浦くんのことを言いたくなる。隠してあげるなんてエゴでしかないと思ってしまった。自分の家族を思うなら言うべきだったんじゃないのかな、。

  • 示唆した子はなんの反省もなく死んでしまうところは、ちょっと。父に愛されていた終わり方だし。
    新聞記者いい人。犯人少年の兄強すぎ。仲間もいるし。
    現実とは違うだろうが、面白かった。

  • 酒鬼薔薇聖斗の事件を思いだす。
    加害者の家族がどれだけ試練の人生になるか、想像しただけでゾワっとする。

  • たくさんの好きなフレーズが出てきた。
    主人公の考えが大人すぎるのが少し違和感。もう少し葛藤があるのかなと思った。それも作者が敢えてしているのかもしれないが。
    少年犯罪や、思春期の空虚さや、家族関係や、犯罪報道と家族への影響など色んなテーマがあって整理がつかなかった。けど様々なことが複雑に絡むのがリアリティ

  • 思っていたストーリーとは違い
    推理小説感覚で読めた。
    主人公以外の情景がもう少しあればよかった。

  • 衝撃的な作品だった。怖いけどとても面白い。
    酒鬼薔薇事件について知るきっかけとなった

  • 小説とは言えど表紙は小説の大切な一面だと思うので"もったいない"と思ってしまった

    確かに表紙の子供は美しく目を引くけれど、読み始めると全くの日本人名ばかりが並ぶのでどうしても思考が妨げられてしまう

  • 「ミキオくん、負けちゃだめだよ。絶対に負けちゃだめだ」
    p130「だって今の世のなか、ぼくみたいに顔も成績もよくないのに、諦めだけよかったりすると生きていけない。」
    p145「でもさ、中学の三年がまんして、高校の三年がまんして、大学でちょっと遊んで、それから定年までがまんして働くんだよね。そうしたら、その先になにがあるのかな。結局、がまんしてるだけで、私の人生終わっちゃうよ」
    p165「あのね!ミキオ。仕事にはいいことも悪いこともある。楽しいだけの仕事なんてないよ。」
    p267「大人になること。正しさの基準を外側にではなく、自分自身の中心に据えること。」

  • ほんと面白かった。

    14才のジャガや友達が、14才なりに考えて行動する感じがすごく自然で。弟が起こした殺人事件の真相がじわじわと明らかになっていくところが堪らない。
    最後、弟の面会に行ったジャガが感じる違和感もリアル。

    今だとそんな珍しくもない話だけど初版2001年で長沢くんの秘密は…なかなかだったんじゃないかな。

    ジャガはきっと力強く生き抜いていくのだろうな。

  • ★3か4か悩む。前半部分はすごく好き。
    弟が人を殺してしまったと知っても、「和枝」という自分の弟を真っ直ぐ見つめようとした主人公。そして、主人公を「殺人犯の家族」として悪意をもってみたりせず、同情するわけでもなく、友達でいた(友達になった、の方がしっくりくるかもしれない)2人。弟が人を殺したきっかけになった相手を、自分の友達を傷つけた相手を、恨むのではなく救おうとした主人公。それはタイトルの通り「うつくしい子ども」であり、とくに主人公の心の内を描く描写には好きなところがたくさんあった。でも、物語としてはちょっと詰め込みすぎてるというか、回収しきれていないというか、やや消化不良(学校や保護者の問題だったり、女装のことだったり、女であることへの違和感だったり)。夜の王子の事実は隠されたまま、本人と父親が死んで終わりってところも、何となく腑に落ちない感じが残る。この物語に出てくる、うつくしい子ども。そして、それが正しいかどうかは別にして、うつくしさを持ち続けたまま大人になった(と私は感じた)記者や警察署長。それに対して、歪んでしまった夜の王子や和枝。どこに違いがあるのだろう。でもきっと、うつくしい子どもの誰もが夜の王子になる可能性があるし、この事件で3人が負った傷は、描かれている以上に深くて見過ごせないものであると思う。

  • 中盤からジェットコースターのように展開が動き、最後まで気になって仕方がなかった。

    弟の狂気さがまだ残っている状態な終わり、学校の閉鎖的な現状など、リアルだったのもとても好き。

    ただ、途中途中に植物のうんちくや、山崎の記者のパートは、とても退屈だったなぁ…。

    あと犯人の事を黙っておいてくれって言うのは、なんだかなぁ…ジャガはとても大人だけれど…自分勝手だなぁ…とモヤモヤ

  • 久々の石田衣良作品
    やはり言葉のタッチが心地よい。

    うつくしい、純粋さ、純粋な興味とは。
    底知れない恐ろしさと、どこか羨ましい想いも感じる。
    周りを気にせず興味あることに没頭する尊さと、自分が子供の頃から失ってしまった情熱みたいなものを思い出す。

    事件の真相を暴いていく、一見被告である兄弟のためだが、自分自身の折り合いのためである。社会的正義を振りかざしても、被害者のためではなく自己認識やストレス発散のためである。世の中のほとんどことはそうなのかもしれないなと怖くなる。誰もが実は自分のためだけに行動しているのでは。

    誰もが言い訳を掲げて、自分のために生きていく。

  • 石田衣良さんの本が読んでみたくて買った一冊。

    家族の中から犯罪者が出てどうやって立ち直っていくのかな?と読んでいたが、最後はいい方に事が進んでよかった。
    でも実際はこんなに上手く事は運ばなくて、犯罪者が出た家族は悲惨な運命になっていくんだろうなと思った。

    約束をするか?、家族の事を救うか?
    この判断は難しい
    自分なら、家族を救う方を選ぶと思う。

    犯罪に関わっているのに、名誉の為?残された者を守る為?犯罪を黙っている事を約束?

    虫が良すぎる

    ちょっとスッキリしない部分もあったが、少年達の大きな成長も見れて感動する小説でした。

  • 痛ましい事件の中で、子供たちの成長が伺える。

  • 近所で9歳の女の子が殺害される事件が発生。
    学校では、悪質なイタズラで地域を騒がしている「夜の王子」の仕業ではないかと噂がたつ。
    そんな中警察に補導されたのはなんと、弟だった…。
    「なぜ弟は女の子を殺したのか?」
    真犯人を探す目的ではなく、ただ弟を理解したいという一心で、
    兄である主人公は事件に関する情報を集め始める。そこでわかったことは…。


    というお話です。
    加害者の家族の話かと思っていたので重たい内容かと思いきや、
    そんな場面はあまり描写されていませんでした。
    これから先一人ぼっちであろう弟を、せめて僕(兄)だけは理解してあげなければ、という主人公の行動がすごくしんみりしました。兄弟の絆ってどんな状態であろうとすばらしいと思いました。

    しかし最後の終わり方はあれでいいのかしら?
    兄よ、なぜそこで「わかりました」と言ったんだー!!!
    私が兄だったら、きっと承諾できないな…納得できん。

  • やっぱり石田衣良の文章好き。彼の一番最初の長編小説らしい。

    一つの事件に関係のない人達が過敏に反応する様は実にリアル。メディアの悪質な報道の仕方とかマスコミによるデリカシーのない詮索とか…。どうにかならんもんなのか。

    ただやっぱこの物語の主軸は、お兄ちゃんの事件の真相を暴こうと奮闘する姿ですよね。仲良し3人で楠木の下に集まる描写とかすごい好き。

  • 半分過ぎた辺りからの展開に一気に引き込まれた。
    しかしラスト少しがっかり。

  • ある兄弟の兄が弟の事件の真相を追いかけるストーリー。弟という人間を知ることで真実が明らかになっていくのがおもしろかった。そして仲間との友情や社会や学校に対しての分析がよかった。

  • 自分に少し重ねてしまった、やるせない気持ち。人間の強さと弱さ、正しさと醜さ、そこから生まれる歪み。子どもは大人より大人で大人は子どもより子ども。

  • フィールドワークの重要性を改めて感じる作品。

    最後の発砲で気化したガソリンに引火するではないか!と思ったりもするが些末なことです…未来の名植物学者の命が救われたのだから…

    というか、署長も撃つなら手足で良かったんでない?至近距離だからいけたって!そこが急に現実的でないかなと我に返るので★-1。ジャガに幸あれ。

  • 家族が重大事件を引き起こしたとき、その家族の日常は一気に変わる。主人公の一人は新聞記者であるが、家族を追い詰めていく自分の仕事に疑問を持つ。加害者側の視点を入れた作品。

  • 読んでいて辛くなりました。
    1/8/31

  • 殺人犯となってしまった弟に寄り添うため
    ただ真っ直ぐな思いで
    周囲の変化に負けず
    真相を求めて調査していく兄。
    .
    そばに寄り添ってあげてもいいはずだ。
    あいつは、ぼくの弟なんだから。
    .
    目に見えているものだけが全てじゃないし、
    結果だけが全てじゃない。
    真実は、本人や当事者にしかわからない。
    .
    大人も子どもも、職業も立場も、
    人種も障害も、名前と形と知識が違うだけ。
    同じ人間だってことを忘れちゃいけないと思った。
    .
    タイトルに納得。

  • ぎりぎりのところでまいにちいきる10代。そこで耐えるか、耐えずに壊れるか、壊れてるけど壊れてないように見せるのか、どこでかわってくるんだろう。

  • 少年Aの兄が事件の真実に迫っていく中盤から一気に読破。
    もう少し家族の状況が描かれると読みごたえありそう。

  • 平凡で普通の少年の住む町で起こる猟奇殺人事件。突然街に警察、マスコミが押し寄せ騒がしくなる。そんななか、犯人逮捕。まさか弟が!? 少年犯罪のお話でした。犯行を犯した少年が捌かれるのあたりまえ。未成年なら、親の責任といわれるのもわかる。だが、その兄弟は? マスコミやネットなどで取り上げられるのは、いたたまれないです。 お話の中で、兄は殺人を犯した弟の心をしろうと、行動をします。中学生ですよ?なんて強い子なんだ・・・そして、大人さえ知りえなかった事実に辿り着きます。最期あれは、どうなんだろう・・・大人の、自分勝手な事情のエゴではないか? 真実が表に出ればもちろん更に混乱と泣く人もいるし、犯した罪が消えるわけではないけれど、殺人を犯した過程があばかれれば、更正とかの道の模索もできるのでは? 公表しないでほしいなんて、主人公の兄に重い足枷を付けただけではないのか? よくそんなことを中学生に頼めたものだと、小説とわかっていながら腹立たしかったです。


  • 序盤、登場人物がどんどん出てきて
    頭がついていきませんでした。笑

    でもあまり問題なかったです。

    よくありそうな題材ではありますが
    奇抜なストーリーで
    主人公も素敵な男の子で
    いい作品だったと思います。

    帯にそれ書いちゃっていいの!?
    と思うようなことが書いてありましたが
    解説を読んで、なるほどなあと思いました。

  • スポーツセンターのエアロバイクコーナーに置いてあったので、こぎながらちまちま読んだ。

    実は石田衣良さんははじめて読んだ。

    この作品はちょっとやりきれなさが残るけど、悪くない。
    別の作品もいってみようかな。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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