- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174071
作品紹介・あらすじ
あの銀行を撃ち落とせ!謎の老投資家が選んだ復讐のパートナーはフリーターの"おれ"だった。マーケットのAtoZを叩きこまれた青年と老人のコンビが挑むのは、預金量第三位の大都市銀行。知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは…。新時代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。
感想・レビュー・書評
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石田衣良さんのファンとして、投資の知識ゼロで読み始めました。
ストーリーラインはいつもの衣良さん節といった風情。
さらりとした文体と情景描写が心地よく、主要キャラクターもわかりやすい。
ただ、本書の良さである『取引のスリル感』は、私の知識不足であまり味わえず...
わからない用語を調べつつ読み進めたものの、どうしてもお金関係の知識に興味が湧かずじまいでした。
しかしながら、ラストの伏線回収やあっと言わせるにくい演出はさすがの切れ味!気持ちのいい読後感です。
刊行から20年経った今でも違和感のないお話なので、投資や取引に興味のある方へ(ふだん石田衣良さんの作品を読まない層の方にも)おすすめしたい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分が若かった頃読んだ本の再読ブームが来ている。
当然ながら昔と受ける印象はかなり違うと感じた。
最初に読んだときはくすぶっている若者の成長譚、あるいは悪事を働いた巨大な銀行を知恵とスキルで手玉にとるクライムサスペンスとして楽しんだものだった。
同じ小説でも時を経て読んでみると依然面白いのだが、なんともやりきれない感じが残った。
「罪と罰の非対称性」とでも云うべきか。
確かこの小説が原作のドラマ「ビッグマネー」では融資つき変額保険を作った張本人(確か原田泰造さんが演じてた気がする)が罰を受けた記憶がある。それがテレビの大衆性ってことなんだろうが、現実はそうは行かない。
大体罪を犯す者と罰せられる人間は別である。
白戸もその辺りは理解していて、今の行員に同情はしているが、まつば銀行をはめるディールの手を緩めることはしない。
またディールの成果を得るのも一部の人間であるし、失われた命が戻ることもない。
資本主義が続く限り我々に逃げ場はなく、否応なくプレイヤーにさせられる。
せめて我が身と、手の届く範囲の人位は守れるようにしたいものだ。
これ聴きながら読んだ
ELLEGARDEN『Fire Cracker』
併せて読みたい
伊坂幸太郎『SOSの猿』 -
とても勇気づけられる作品。
ひとりきり孤独に貧しいものは、まだ金をつくっていない金もちにすぎない。という言葉がなぜか最後まで頭に残っていた。その上で徐々に成長していく主人公を見ていると胸にくるものがありました。 -
何にも考えずタイトルに惹かれてジャケ買いしたもの。
銀行や株投資の話か…。
むむむ。これは苦手分野かも。
と思ったけど、あまり難しさを感じず、スラスラと読めてしまった。
いや、わからなくても伝わるような書き方だったと言うべきかな。
このあたりが、石田衣良さんの凄さなのかも。
本作は20年に刊行されているため、時代設定はバブル崩壊よりちょっと後くらい。
作品紹介で言うほど知略の限りが尽くされてる感じはなかったが、なんとなく『ぼくらの七日間戦争』を読んでるような爽快感で面白かった。
しっかり作品紹介に引っ張られた感想w
いや、もしかしたら寄せてる?
単なる就職浪人でパチ屋に通いまくるところから、毎日株価書いてるだけで才能開花する主人公がまじで羨ましい。
それを開花させた黒いガラス玉のような冷たい目を持つ魔術師はもっとすごいな。
政治経済が本当に苦手すぎる俺には無理だ。
いや、諦めるのはダメだ。俺も頑張ろう。
多分やらない。
最近はNISAやらiDeCoやらでだいぶ資産運用の波ができてきてるが、この話を読むとバブル崩壊あたりで投資推奨してたらほとんどの人が失敗して、より投資後進国になってたんじゃないかな。
いや、むしろこれが原因だったのか?
今でも『株で失敗した』『あれはギャンブル』『営業に騙された』くらいのフレーズしか聞かないし、学校教育としてもやってこなかったし。
『投資に成功した!』って言う人が、YouTuberか怪しい詐欺師くらいしかいない現実。
流石にそれは言い過ぎか。
今後は「資産形成」って授業が高校で必修になるらしいが、どうなんでしょうね。
森永卓郎さんは国が教えることは、国にとって都合いいことしか教えないから、変なことを植え付けるものにしか思えない、みたいなこと言ってた気がするが…。
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
石田衣良さんの作品は「娼年」、「コンカツ」、そして本作と読んできたが、どれも毛色が違いすぎて面白いと思った。
他の作品も読んでみたいので、おすすめの作品あったら教えてください。
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テンポもよく、主人公たちのモチベーションには十分共感できるので面白かったです。
でも、なんかねえ、主人公が格好良すぎるのよ。
地方から出てきてそこそこの大学に一浪して入り、5年かけて卒業したものの半年もの間就職浪人してパチンコで日銭を稼ぐ。
よれよれのスエットを着てちびたスニーカーを履いて過ごす毎日。
そんな主人公が、ちょっと見ただけでオーダーメイドのスーツの出来について語り、クラシックの曲や演奏について語り、当たり前のようにその家具のデザイナーについて語る。
そういう人がいないとは言わない。
地方から出てきたってスーツや音楽や家具に造詣の深い人はいるだろう。
だけどこれ、フィクションなのよ。小説なの。
そんな主人公が、下から這い上がってきた人物だと読者は思うだろうか。
なぜわざわざそんな人を主人公に据えたのかな。
どうにも作者の顔がちらついてしょうがなかった。
同じように若くてちょっと世間をかじっただけの若者が、その道のプロに導かれて偽札作りの腕を磨いていく小説「奪取」には、そんなこと感じなかったんだけど。
もちろん作者真保裕一の顔は知っている。でも。
かっこ悪いやつがかっこ悪く這い登っていく話だったら、もっと私は面白く読めたのにな、と残念。
これはあくまで私の趣味ですから。
格好良い若者が、まじめに一生懸命に株式の勉強をして恋をして世の中を知っていく話。
どんでん返しももちろんあります。
仕掛けはうまくいくのか、復讐は成し遂げられるのか。
そもそも誰の復讐なのか。
上手い小説です。 -
株式投資と銀行を舞台とした物語。前半は株式投資に出会って成功と失敗を繰り返しながら成長していく所にリアリティがあって面白い。後半はリテラシーの無い人に金融商品を売りつける銀行の闇の部分を暴く所が痛快で面白い。体験に裏付けられた投資格言がたくさん出てくるのも見どころ。『株は海水と同じ、喉が乾くと海水でもどんどん飲みたくなるけど、飲みすぎると死に至る』と言う言葉が刺さる。
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面白かったけど、まあ普通。
主人公の白戸君をかっこよく描きすぎじゃないかと。ちょっと白々しくなるような個所が多々ありました。だって、部屋に入って流れてるクラシックが、まあブラームスだとか曲名や作曲者が何だとか分かるとしても、聞いただけで指揮者(かな)が目の前に浮かんだり、初対面の人がきてるスーツを「XXXXの上下を着て」みたいなそんなわかるかって、なんか人間味ないというかかっこよすぎてしらじらしいというか、しょっぱい感じがして、こういうのは好きじゃない。 -
あらすじ(背表紙より)
あの銀行を撃ち落とせ!謎の老投資家が選んだ復讐のパートナーはフリーターの“おれ”だった。マーケットのAtoZを叩きこまれた青年と老人のコンビが挑むのは、預金量第三位の大都市銀行。知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは…。新時代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。 -
実は、石田 衣良を読むきっかけになったのは、この作品のテレビドラマ「ビッグマネー」*1でした。
まあ、あんまりテレビを見なくなってた時期だったので、かなりいい加減にしか見られてなかったのですが、なんか、気になるドラマでした。
これに出てくる老人が、植木 等で、これが格好いいんだ。
で、原作の「波のうえの魔術師」という原作があることを知って、読もうと思って、石田衣良に手を出したわけです。
あれから、数年(笑)。やっと、読めました。
老人の名前は、小塚。やっぱり、格好いいわ。
まあ、株の話はよくわからないので、途中、「なんのこっちゃ??」っていうのはあったのですが……。
ちなみに、これ、妹も読んでました。
「全然、おもしろくなかったわ」
という感想でした。
株とか、マネーゲームに、全然理解や愛がないのは、そういう血だからかもしれません。
でも、それなのにあの無精な人が(スマン)最後まで読んだというのはけっこうすごいなぁと思いました。
なんか、読ませるものがあるみたいです。 -
石田衣良の描く経済小説。ラブストーリーではないところに惹かれて手に取ってみた。
得体の知れない老人にハントされ、投資の世界に足を踏み入れていく大学生の僕。老人に投資のいろはを仕込まれ、最後には高齢者の財産を踏みにじった都銀に戦いを挑んでいき…
プラザ合意に始まるバブル景気の歴史や、変額保険などの金融商品について、物語を読めばざっと理解できる。
ミステリー&青春小説仕立てなので、経済小説初心者にはオススメです。