反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV (文春文庫 い 47-9)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174125

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  • 再読。この刊は今一つ。 2018.12.11

  • [スカウトマンズ・ブルース]  
     女にモテるスカウトマンのタイチ。そのスカウトマンに振り向いてもらうために、やばい風俗に手を出してしまう女。
     マコトはGボーイズに手を借りたち、サルの名前を借りたりして事件を解決する。サルも偉くなった。
     タイチの言葉を見るに、石田衣良は女性にモテるんだろうなと思う。まぁ、今までの書きぶりからしてもそうだろう。
    [伝説の星]
     はるか昔に売れた、一発屋の歌手である神宮寺が、ロック博物館を作るというので手伝う。神宮寺は巧妙に全てを騙して外国へ行ってしまう。
     コメディでも通用しそうなキャラクター。明るくて爽やかだった。
    [死に至る玩具]
     中国の玩具工場で、姉が過労死したので日本にきて、どうにかしようという考えは、かなり行き当たりばったりだ。
     マコトは買い物で発生するバタフライ効果で、人が死ぬかもしれないと言っていたが、今回の告発文で日本人が死ぬかもしれないじゃないかと思った。物事に繋がりがあるのなら、自分の目の前の人だけではなく、敵側にも生活はある。自己満足に過ぎない。
     根本的に解決するのであれば、工場側や党を変えないと何も意味がない。日本で働いているサラリーマンに詰め寄ってもしょうがない。結局、人形開発は中止になるだろうけど、中国の工場では違う仕事が入って、相変わらず劣悪な環境で人は死ぬだろう。
     小桃は正義を求めたいと言っていたので、実際のところは頭で理解していたとしても心が許せないのだろうから、こんな現実的な机上の空論は意味をなさない。
     ただ、読んでいて、その辺りの精神状況を語ってなかったので少し引っかかった。
    [反自殺クラブ]
     自殺を促すスパイダーを追う反自殺クラブ。
     辛い過去があって、同じ目にあっている人を救う集団は美化して描かれやすい。だが今作では、コーサクも言っていた通り、スパイダーも反自殺クラブも、自殺を通してでしか世の中と関われない。そのような状況は正常ではない。
     自殺を身近で見た者は、一生闇を抱えてしまうのかもしれない。それは医師である白木も同じだった。患者の死を消化できなかった。自殺を考えすぎて、辛くて考えるしかなくて、どれが正しいのか分からなくなったのだ。
     安楽死を認める国もあるし、その制度で死んだ人はとてつもない闇を抱えて、生きているのがギリギリだった。
     制度の上で死を選ぶのと、日本での自殺では、残された者の悲しみは違うと思う。天寿を全うして亡くなった人に対しては理解が及ぶとしても、自殺はそうではないだろう。簡単に納得できることではない。
     結局はマコトが思った通りに、生きている人間の方が魅力的だ。死に憧れるなんてやめた方がいい。

  • このシリーズはどれを読んでもテンポが良くて面白い。

  • ちょっとしんどくなってきた

  • ★2008年12月28日 109冊目読了『IWGP(池袋ウェストゲートパーク)? 反自殺クラブ』石田衣良著 評価B+
    前作のIWGP?に比べると何となく描き込みが丁寧になり、やや復活している気がする。
    スカウトマンズブルース:天性のスカウトマン タイチと彼に惚れたシノブを助ける真島誠 評価B
    伝統の墓:一発ヒット屋のおやじロッカー神宮司を地面詐欺から救ったつもりが、おやじはしっかりと稼いでトンズラ。評価B
    死に至る玩具:大人気の中国華南生産の人形ニッキーZのウラにある過酷な工場の改善を求めて中国から渡ってきた紅小桃(ホンシャオタオ)を助ける真島 評価A ここ華南に働く私には非常に身近な題材を上手に扱っている。玩具工場の労働環境は実際ホントに酷いと聞いている。この秋次々と倒産している玩具メーカーはこの類。
    反自殺クラブ:自殺サイトで志願者を集めて確実に自殺へ追い込む通称スパイダーを追い込む反自殺クラブのメンバー。その過程では大切なメンバーが自らの意志で自殺を実行。追い詰めたスパイダーも。。。。。そのうらで意外な人物が浮かび上がる。 評価A

  • 5冊目のIWGPは所謂「イマドキ」な事件を描きつつ、特に社会問題について重点を置いていたように思います。
    表題作「反自殺クラブ」では集団自殺問題が取り上げられ、結局のところスパイダーも先生も善意であったこともあり、何時もの明らかなる悪意に満ちた犯人がいる事件ではありませんでした。
    それ故に、暴力団やギャングや裏社会の人々が絡まぬままに話が進行するのですが
    親の自殺という過去を抱えてはいるものの普通の若者たちと集団自殺問題に立ち向かうマコトは、却ってIWGPらしさを感じました。
    タカシやサルや警察の手を借りず若者だけの手で活動する描写は、街のトラブルシューターらしさを存分に表現されていて新鮮でした。

  • 「どれほど苦しんでも悩んでもいい。その最低の姿を見せてくれ。その姿に勇気づけられるやつがきっといる。俺たちはそうやってなんとか生き延びてきたんじゃないか」
    に感動。

  • 既刊に比べて社会問題色が強い作品が多いように思う。ちょっと重いし、マコトのいい意味でのバカさ加減が若干弱いかな。相変わらずの題名のセンスが最高!

  • 今日も池袋には事件が香る。
    風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。
    伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。
    集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”―。
    ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾。

  • おれたちはいつだって、探しているものしか見つからない

    安物は誰かを安く買ってるだけかも

    輝くためには燃えなきゃならない

    そこにいるだけで、人間って風とか光とかなんかを周囲にはなってるんだ

    2016-7-4

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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