灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークVI (文春文庫 い 47-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174132

作品紹介・あらすじ

池袋は安全で清潔なネバーランドってわけじゃない。盗撮画像を売りさばく小学5年生が、マコトにSOSを発してきた。"まだ人を殺してない人殺し"マッドドッグ相手にマコトの打つ手は?街のトラブルシューターの面目躍如たる表題作など4篇を収録したIWGPシリーズ第6弾。

感想・レビュー・書評

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  • IWGPシリーズ6作目。

    この巻も、
    表題作や池袋フェニックス計画など
    シリーズの中で記憶に残る話が入ってます。

    灰色のピーターパン。
    今思うと、タイトルがすごく秀逸ですね!

  • IWGPシリーズの6作品目。
    4編の短編からなります。
    今回は全体的に平和でした。
    死人も出なかったし。
    「着実に、忍耐強く、賢くあれ」
    一番好きな言葉。
    世の中、人と向き合うっていうことが大事なことなのかもしれませんね。

  • 「灰色のピーターパン」
    IWGPシリーズは短編ごとにただ厄介ごとを片付けているだけだと思っていたけれど、物語の作り方を少しメタ的に考えるようになってからはよくできているなあと思った。
    マコトという人間が、ひとりの少年のために殴られてまで、家についていってあげてる一人きりのクリスマス。
    決して派手な活躍はしていないし、アツい展開があるわけではないのかもしれないけれど、丸岡というヤク中と主人公マコトが人に与える影響の対比構造がうまく取れていると思う。残りの短編もまた書いていく。
    「駅前無認可ガーデン」
    とくに感想なし。読んだの昔だったのもあるけど、いちおうストーリーラインくらいは頭にある程度。
    「池袋フェニックス計画」
    これはいただけない。いや痛快よ。痛快に見えるけど、ちょっと主人公サイドに作者が寄りすぎだよ。これを「正義」として勧善懲悪するにはちょっと無理が過ぎる。というか、権力側を安っぽく悪に仕立て上げすぎなんだよね。作者が左なの知ってるから若干偏見の意はあるかもしれんけど、なんか腑に落ちないというかマコトに「おう!がんばれ!!!」って応援したくなる感じではなかったよね。ちょっとストーリーとして設定があまりに単調かな。
    共感させるにはややこっち側の描写が甘すぎるのかもしれない。

  • 「池袋フェニックス計画」がお気に入り!
    依頼されたトラブルを収拾しながら、池袋の街全体を苛政から救うため奔走する話。
    これくらいスケールの大きな話の方が、IWGPシリーズの空気感とあってると思う。

  • 「灰色のピーターパン」一番好きかもしれない(全部好きだけど)

    "おれは今年の冬がうんと寒くなればいいなと思った。なあ、理由はあんただってお見とおしだろ。寒いほど、生きもの同士の距離は縮まるものだ。"
    (マコトぉォ、、)

  • 四話目でおふくろさんが最終兵器として出てくる展開が熱かった。しかし韓流ブーム懐かしすぎるな…世相を反映している小説だ…
    マコトが本気になるタイミングが依頼人の件じゃなくて「知り合いが脅かされたから」というのが良かった。

  • 表題作よりも許すことの強さをテーマにした「野獣とリユニオン」のが良かったかな。エンタメとしてはラストの「池袋フェニックス計画」が良かった

  • IWGPシリーズ第6弾。
    「灰色のピータパン」小学生のパンチラ画像販売の話。
    「野獣とリユニオン」夢を持った兄妹がカツアゲによって、夢と身体を壊された話。
    「駅前無認可ガーデン」無認可保育園の話。
    「池袋フェニックス計画」池袋風俗絶滅作戦の話。

    ネットの台頭により今や年齢に関係なくお金を稼ぐことが出来るようになった!池袋フェニックス計画で、最後に珍しくマコトに女が出来て、たまにはいい思いもしないとね(笑)と思う。しかし政治家と暴力団は裏で繋がっていたとは恐るべし。

  • 毎回良くもここまでテンポの良い清々しい幕切れの
    短編が思い浮かぶものだと感心してしまう。

    読み終わってそれほど心に残る物語というわけでもないのだが、
    このシリーズは短い時間でサクサク読めてしまい、
    後味が抜群に良い。

    所謂、水戸黄門の後味(*^-^*)

    シリーズ6冊目にしても、衰えるどころか
    あらゆる人を味方に引き込んで、マコトの魅力はさらに大きくなっているのではないだろうか。。。

  • 2013/04/18読了

    IWGPシリーズ6 エンターテイメント小説は時間を忘れて読めるからいいね。シリーズ化することで、これまでに登場した人物や事件も絡めてくるから、尚更ファンにとってはたまらない。

    <灰色のピーターパン>
    "インストール"に似た感じ。
    頭の使い方一つで、子どもでも楽に大金を稼ぐことができる時代なのだから、なんだか虚しく思ってしまうマコトの気持ちもわかるな。
    まさか春麗が出てくるとは。
    子どもが帰る場所「親」が、ラストにあるっていうのがいいね。

    <野獣とリユニオン>
    今作で一番好きなエピソード。
    妹にしてみれば煮え切らないところもあるかもしれないけれど、最も美しい終結の仕方だったと思う。人を許す、認めるということはきっとこういう覚悟と心意気がなければできないのだ。

    <駅前無許可ガーデン>
    Gボーイズ&ガールズとは一体何者なんだろうかと常々思うけどそれは無粋かな。
    サリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』 のキャッチャーミットの話が出たのはちょっと嬉しかった。色んな解釈があるけれど、私はこの作品で提示された解釈が好きだから。
    日本は闇の淵の不条理しかなくて、それこそキャッチしてもらわなければ救われないようなものだ。それが子育てとか、親という責任的立場にある、ともいえる。
    "母" としての笑顔のくだりがお気に入り。

    <池袋フェニックス計画>
    シビルウォーのように、緊迫した空気感こそIWGPっぽいなと思う。
    革新の後ろには傷が生み出される。それを知らずに革新を進めれば、精神的にも物理的にも、弱者の死体だらけになってしまうのだ。
    エリートはそれを知っている。見ないフリを決め込んでいるだけなのだ。
    心苦しいシーンもあったが、計画が動き始めてからは爽快だったね。現実の日本でも完全に遂行できるはずのない排除・消毒がまかり通っているふしがあるから、何ともいえない気持ちにはなったけど。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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