Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパークVII (文春文庫 い 47-11)
- 文藝春秋 (2009年9月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174149
感想・レビュー・書評
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やはりこのシリーズは面白くてすぐ読み終わってしまう。社会問題的なテーマを扱うところもいい。
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マンネリの声もなくはない。
そんなの十分承知で、でもあたしはIWGPから離れられない!
本当に善人で、おせっかいで青臭くて、
どんだけ夢物語なんだおうおうおう?
そんな声があってもあたしはまったく気にしない。
タカシが、サルが、マコトが、
池袋の路地を闊歩する姿を考えるだけで、
本当は苦手なごちゃごちゃした街が、ほんの少し好きになれる幸福。
やっぱいいよね、この作品。
誰が何を言おうとあたしは、この作品が好き! -
要町テレフォンマン
振り込め詐欺をしていたヨウジが、あるおばあさんの死をきっかけに、詐欺師から足を洗いたい、と相談してきた。
詐欺師のヴィーナス
誠のところに持ち込まれたまさかの恋愛相談?売りつけられた絵画、それを扱うエリーの気持ちについて知りたいと話す相談者キヨヒコ。
バーン・ダウン・ザ・ハウス
勉強を強いられ続けたユウキは家に放火してしまう。池袋に戻ってきたとたんに湧いた、連続放火事件。事件とユウキに関係はあるのか。
Gボーイズ冬戦争
誠に復習しにきた男と、噂の影の存在。タカシから独立しようとするグループを率いるヒロト…戦争は止められるのか
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
面白かった~
バーンダウンザハウスが…!!涙ぐんでしまったよ最後のところで…!!!
ええはなしや…
冬戦争は、タカシが妙に…妙に優しくてドキドキしたわ(*^o^*)w -
これ、シリーズ読んでたら重要なんじゃないかな。
何か、マコト年とったなー
と同時に、自分ずっと読んでるなーって思う。
今回は、ちょっとじんときた!
涙腺まで弱くなったかなって感じ! -
キャラが皆いい。文章もぼくが好きなテンポ。暇な時にさらっと読むにはとてもいいと思います。
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骨音以降買い逃していたのですが、気まぐれに本屋さんで購入。
相変わらずキングは格好良かったです。
軽い読み口なので、サッパリと読めて良かったです。
短編なので物足りなさもありますが、大好きです。
池袋は地元なので、知ってる場所が出てくる嬉しさもgood(笑) -
池袋という街からはどんどん遠ざかっている。
大学時代、文芸座に入り浸って、とにかく年間観る映画の本数を増やそうとしていた頃は、ぼくこの街との蜜月だった。
田舎から出てきたばかりの貧乏学生だった、ぼくには、大学の近くの渋谷の空気はまったく合わなかったし、銀座で飲み食いする金はなかったので、いきおい、新宿、池袋という街が自分の街になった。
今と違って、田舎に帰るときに颯爽と羽田からという時代でもなく、場合によっては夜行列車など使っていた頃だったので、新宿にさえ疲れたときは、上野やその先の東北に近い感じのする池袋にはちょっとうらぶれたやすらぎを感じた。
就職して、東京を離れ、そのうち、海外赴任したりするうちに、当然、池袋とも疎遠になった。
30代後半になって、東京に舞い戻った頃には、懐かしい文芸座は閉鎖されていたし、映画を二本立てで観るなどという体力も失せていて、収益追求に盲目的に走る、明日なき青春(青春というには随分とうがたっていたが)まっただなかだったので、池袋というよりは六本木や銀座だった。
そんな高速道路を走るような生活に疲れ始めた頃に、文芸座が新文芸座として復活し、少々、映画をまたじっくり観たい気にもなっていたので、池袋との接点が少しばかり回復した。
ただ、その頃は、もう、池袋との接点は、物理的なものというよりは、石田衣良が描き出す、池袋のストリートライフの中という想像のなかに多く存在していたという方が正確だ。
彼の描き出す、池袋の中で、ぼくの記憶や、現在が生きていた。
小説というものを昔ほどは読まなくなった。
でも、出版されるとすぐに買って読みたくなる作品群がある。
大沢在昌の「新宿鮫」、桐野夏生の女探偵ミロシリーズ。そして、石田の池袋ウェストゲートパークシリーズだ。共通するのは、好きな東京の街路が主人公である点。
新宿鮫が、どんどん中年特有の翳りを帯びていき、ミロシリーズも、作者のディープな物語創造の影響で日本の外にまで逸脱してしまっている中で、石田のこのシリーズは、格差社会という現実の中で、置き去りにされた若者たちの、ある種の切実感を軽妙に描き出しているという意味で、いまだ、シリーズの生命力を失っていない。
直木賞などを取ったせいで、メディアへの露出も増加してきた、作者自体は、あまり好きなタイプではないし、(好きじゃないというのは、不必要な婉曲話法で、むしろ嫌いなタイプ)彼のほかの作品が、読書家の女友達が、あいつの色情狂のような小説は嫌いという言葉に影響されたわけじゃないが、少し読もうとしたが、肌に会わず、それ以来手にとりもしない。作家とのこういう関係は、ぼくの場合あまりないのだが、池袋ウェストゲートパークというシリーズは、ぼくにとってそういう小説空間なのだ。
早朝から開いている西新宿の本屋の平積みのところで見つけ、すぐに買い、仕事の合間に喫茶店や地下鉄の中で読み終えてしまった。
格差社会、下流社会とかいう言葉で置き去りにされている若者たちが巻き込まれたり、ひきおこすトラブルを相変わらず、倫理的なマコトが、池袋のガキの王、Gボーイズのキングことタカシなどとつるみながら軽快に解決していく、トラブルシューティングストーリーだ。
冒頭の「要町テレフォンマン」は、振り込め詐欺グループから足抜けにマコトが人肌脱ぐという話。今回は、未曾有の若年層の高い失業率の中で、犯罪行為に巻き込まれていくという話が多い。これも時代なのだろう。
ゴミのような絵を、色仕掛けで売りつける詐欺にあった大手製造業の季節工の青年の純粋さを描いた「詐欺師のヴィーナス」。
ノンキャリの国家公務員の父親の期待から、受験勉強に追い立てられ、自宅に放火してしまった中学生と、池袋で連続して起こる、放火事件をマコトが解決する、「バーン・ダウン・ザ・ハウス」。
そして表題作「Gボーイズ冬戦争」。
池袋の勢力均衡を崩す、外部のヤクザ、マコトに復讐を試みるワル、伝説の傭兵影と、Gボーイズ内の権力闘争にマコトが巻き込まれていく話だ。
それぞれに、いつもどおり楽しませてくれる。「新宿鮫」ほど、ストーリーを堅固に構築しているわけでもないし、ミロほど、あつみのある人間描写があるわけでもないが、池袋という街を魅力的に描き、昔新宿の名画座ローヤルで見たような、アメリカミステリー映画のような軽快さが好きだ。
今回のシリーズは、限りなく男たちの世界になっている。
魅力的な女たちは、今回は、ほとんど登場してこない。
前から感じていることではあるが、マコトの年齢が上がる中で、どんどん倫理的になっていくような気がする。このあたりは、小説がどんどん陳腐化していく可能性にも繋がっている。マコトの格差社会の下に向ける共感が、白々しくなりはじめたら、この物語も終わるのだろう。
そんな物語の未来の微妙なバランスも含めて楽しませてもらっている -
ちょっとキャラがおとなしめになって気がするのは気のせいか、それともみんな年を取ったということか。著者、キャラたち、そして自分も。