タクアンの丸かじり (文春文庫 し 6-36)

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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167177362

作品紹介・あらすじ

梅干し一ヶで丼一杯のゴハンを食べてみる、サンドイッチに苦言を呈す、肉マンにわが人生を思う、目玉焼の正しい食べ方は? マナイタの悲劇、タクアン漬けに挑戦。(清水ちなみ)

感想・レビュー・書評

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  • どう考えても、この文章の流暢さは
    なんだろうか。
    このような文章が書けるようになると
    実に 小気味がいい。

    そのものを素材として、これだけいじくることが
    できるのは、大きな才能だと思う。
    というより、食文化の真髄を えぐり出しているようだ。

    海外駐在員には 毒であると 
    米原万里の本『旅行者の朝食』の中に書かれていたのが
    『タクアンの丸かじり』であった。
    確かに、海外で住んでいると、この本は 有毒の本である。
    危険思想持ち主の本として 禁止本の中に入れるべきである。

    タクアンが ぽりぽり。うなぎが はふはふ。
    はふはふ だけではものたらない。
    ぽりぽりがあって リズムとなる。

    カツカレーは カツの侵略である。
    カレーの肉塊は 無意味となり 汁は カツのタレとなった。
    カレーカツと誰もいわないほど、カツに征服された。

    肉まんのアンコは なぜあんなに少ないのだろうか?
    だとするならば 皮が厚すぎる原因はどこにあるのだろうか。

    梅干しで どんぶり飯が食べられるのは、
    梅干しの塩気と、そして酸っぱさ、口の中に残る香りの
    三拍子による。

    グルメ用の ネコ缶を 食べてしまう時の戸惑いは
    なんともいえず、ネコやイヌを食べる時に似ている。

    缶ビールの不幸は たしかに 日の目を見ないことかもしれない。

    ラーメン、太巻、1万円の弁当、そして、マナイタ。

    日常的にありふれた食べ物を うまく料理する。

  • 今回もごちそうさまでした☆

  • 目玉焼の正しい食べ方、私は黄身をこわさずに食べたいのになかなか上手くいかず、白身をどこまで食べたらベストなのかドキドキしながら「あ~失敗した!」と挫折を味わっています(笑)

  • 『幸せの黄色いタクアン』

    『わが血縁サツマ揚げ』

    『イラクはカツカレーだ』

    『大冒険 梅干し一ヶで丼めし』

    『陶然たるウナ重』

    『洋食対和食』

    『湯気のある風景』

    『サンドイッチ講釈』

    『うどんすきの活気』

    『旅のハシは食べ捨て』

    『茶わん蒸しの儀』

    『大魚を食す』

    『肉マン……のはずが』

    『肉マンと人生』

    『タクアン漬ケタカ』

    『ホテルの上品バイキング』

    『台所用品売り場のおとうさんは』

    『「反省!」のタクアン』

    『熊と猪と狸汁の夜』

    『昆虫図鑑コロッケの部』

    『猫のいる鯨カツ屋』

    『嗚呼!タクアン大パーティー』

    『目玉焼きの正しい食べ方』

    『ああ!1万円弁当』

    『悲劇のマナイタ』

    『井の頭そば』

    『what's?汁かけ飯』

    『ラーメンの誠実』

    『太巻の不思議』

    『野球観戦食料事情』

    『薬膳とは何か』

    『夜店の饗宴』

    『いま上野駅は』

    『缶ビールの不幸』

    『小さな夏休み』

    解説は清水ちなみさんです。

  • 20170625読了
    1997年出版。●米原万理さんが海外生活者に読ませて怒られたっていう本だったはず。たしかに、和食が気軽に食べられないときにこれを読んだら、食べたくても食べられないジレンマで暴走するかも。●タクアンの顛末が・・・!
    20170507蔵書

  • 空腹のときも
    食事と食事のあいだでも
    たとえ満腹のときであっても
    決して読んではいけない本
    があることを知ってますか~~~

    米原万里さんの“旅行者の朝食”に
    忽然と姿を現し
    (これも食と文化の本として傑作です~)
    私の胃袋を鷲づかみにしていったのが
    東海林さだおさんの『タクアンの丸かじり』
    でした~~~
    丸かじりシリーズに既に嵌りそう~~~

  • 米原万里の旅行者の朝食でおすすめされてて読んだけれど、、

  • 米原万理のエッセイで紹介されていたので購入して読み。エッセイの中では、海外駐在中で日本食を食べるのが難しい人にこの本を渡すと、日本食が恋しくなってしまう、ひどい!みたいに言われた、みたいな感じで紹介されていた。

    1990・1991年に書かれたものなので、少し内容は色褪せてるかなあ、と思ったけどあまりそういうこともなく。年末年始の帰省中に読んだ。実家で読んでも気まずくならない本だった。

    ・美々卯のうどんすきの話(ちょうど義実家で美々卯風うどんすきをいただいたので)
    ・台所売り場のお父さんの話(うちの夫も合羽橋や道具屋筋で料理用品を見るのが大好きなので)

    の話が心に残った。

  • 洋食のコース料理は、オードブルに始まりスープ、ヒラメ、仔牛と一品ごとに運ばれてきて、それぞれを退治しないと次が始まらない。和食だと全品一挙展開で「次は何にいこうかな」のひとときが楽しい。農工民族の日本人は、洋食スタイルでの全ての食べ物がテーブルの上から消えてしまうひとときがつらい。農民として飢饉がこわい。なるほどね。宴会の茶わん蒸しには食べる頃合いがあり…。もうずっとなるほどね、そうだよねの連続である。

  • 市井の人の 市井の人による 市井の人のための食に関する考察、 
    というかんじでしょうか。

    最初の『幸せの黄色いタクワン』では 丼物についている二切れのタクアンに対して 「三切れにして」と提言されています。
    「タクワン二切れ」の理由として 「一切れ」は ひと(人)をくう(喰う)   「三切れ」は み(身)をくう(喰う)
    から「二切れ」だ と聞いたことがありますが・・・・・・・。

    久しぶりに本を読みながら 笑いました。

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著者プロフィール

東海林さだお=1937年東京生まれ。漫画家、エッセイスト。早稲田大学文学部露文科中退。早大漫画研究会草創期のメンバー。文藝春秋漫画賞、講談社エッセイ賞、菊池寛賞、日本漫画家協会賞大賞を受賞。漫画に『新漫画文学全集』『ショージ君』など、長期連載のエッセイに「男の分別学」「あれも食いたいこれも食いたい」など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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