極北に駆ける (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167178024

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  • もはや伝説と化している植村直巳。北極圏のエスキモーの集落に飛び込み、犬ぞりの技術を一から習得して3000キロを一人で旅する話です。自分では絶対行きたくないけれど、こういう極限の旅の話は相変わらず大好きです。

  • 植村直己が南極大陸単独横断のため、グリーンランドでトレーニングした際の手記。周りはやめろというが、自分でやってみなければ分からない。そういう勇気をこの人の本からはもらえる。
    また、イヌイットの風俗の記録という意味でも非常に興味深い本でもある。天井にぶら下げた生肉をナイフで切って食べるなんて知らなかった。。。

  • 植村直己さんの本は2冊目なんだけど、1冊目同様、読むとなんでもできるような気がしてくる。
    いやほんとはなんでもできるんだろうけど、自分自身の弱いところがそれを押さえつけてしまうんだろうな。
    その土地のことをよく知っている現地人ですら「やめておいたほうがいい」というようなことを、自分を信じて突き進むのはまさしく冒険家だなぁと思う。(無謀ともいうかもしれない)
    温暖化が進んで、この本で書かれているコースはもう走れないというのは悲しいことです。

  • 北極でエスキモーの中で生活した様子がリアルに描かれている。同じ地球でこんなにも違う文化を持った人たちがいる事がとても興味深かった。と同時に、そんな彼らの生活も'文明を持つ'とされる人々の思惑により、その生活形態を著しく変質させられているように読み取れた。この本は35年くらい前の話みたいだから、今はもっと変わっているかもしれない。

    世界の各地にはまだエスキモーのように'非文明的'とされる生活集団があるのだろうと思う。それらに対し、社会の仕組みや国家体制が整っている(内部で喧嘩してたとしても)人々が、国や連盟といった単位で彼らを'保護'したり、'支援'したりしている。それって一体なんのためなのか?

    そこには彼らに対してのリスペクトがあるようには、私は全く感じられない。文明があるいう人々の愚かな優越感がチラチラしているようで、全く気持ちの良い話には聞こえない。

    何のツテもない植村氏を暖かく生活の仲間として迎え入れ、困っていれば笑いながら助けてくれる人々と、一方、国境を一足踏み越えただけで簡単に命を奪い合う'文明国'と、一体どちらを誇れるのか?少なくとも自分は後者の一員であるけれども、簡単にはこちらを選択出来ない。

    エスキモーへの保護や干渉を直ちに辞めよと望んでいるわけではない。現実的に無理だし、それを辞めたからと言って同じ事を繰り返すことは自明だから。
    自分を含め、人間は'自分'とそれ以外の存在に対して、もっと独立した意識を持つべきだと思う。目に見える事、聞こえる事によるくだらない比較にとらわれないで、もっと根本的な部分にしっかりと目を向けていく必要がある。自分と違うから、否定するなどというのは非常に愚かな思考からそろそろ脱するべきだと思う。

  • エスキモーと共に生活するため
    のは
    食事だけでなく、排泄行為も同じに慣れなければならないのだ

    生肉(最初は鯨)を飲み込んだ
    部屋の隅においてあるバケツに排泄

    それが無駄なことだったのかもしれなくとも
    「チャンスが来た時に準備ができている」
    ことが大事なのだ

  • エベレストをはじめ、五大陸最高峰に登頂し一つの夢を実現した植村直己。
    その次の年に参加したエベレスト国際隊では、インド人のハッシュ・バフグナ隊員の遭難以降、国際隊は互いの利害関係が徐々に表面化し遠征は失敗、以後登山・冒険とも「単独」での行動へと傾倒。
    次なる夢「南極大陸横断」に向け北端のイヌイット集落に住みつき、厳しい極地での生活を開始。
    血の滴るアザラシの生肉を食べ犬ゾリ訓練をし、冒険野郎ウエムラ極北に駆ける。

  • 植村直己『青春を山に賭けて』『極北に駆ける』『冒険』。冒険とは、帰ってきて初めて達成されると著者はいう。マッキンリーにて消息を断って26年。彼のことを知らない人も多い。だからこそ、その文章から発せられるエネルギーを知りたくなる。特に、『青春を山に賭けて』『極北に駆ける』での生きる姿。この文章と関わった時に受ける感情は、とても力強い。彼が初めて山に登ったのは山岳部での訓練のこと。卒業して僅かの間に、日本を飛び出し、各大陸の最高峰を制覇していく行動力には圧倒させられる。その中でも、私は各地で現地の社会に飛び込み、住人となろうとする、その姿に最も心を打たれ、恥ずかしくなったのだ。

  • エスキモーの生活をリアルに描いた一冊。

    世間とは隔絶された世界に住むエスキモー。
    なぜ氏が彼らから愛されるのか?
    この本を読めばその所以が分かる。

  • フエーの高校時代の愛読書は
    世界のウエムラこと植村直己さんのノンフィクション小説でした
    なかでもこの本が面白かったなぁ
    カナダの極北地方での犬ぞり生活のお話です
    この本も何度も読み返した覚えがあります
    これもフエーの人格形成に大きく関与した一冊です
    また読みたいなぁ

  • -エスキモーたちには、きまった食事時間というものはない。腹の空いたときが食事時間なのだ。イガーパルは刃渡り四十センチほどある包丁をとり出し、天井からぶらさがっている生肉にとりかかった-

    汚れた脂と血でドロドロの生肉、バケツの便器、フリーセックス、お酒三昧、狩り・・・とこれだけ書くと、微妙なかんじのするエスキモーの姿。植村直己自身も最初は「えっ」と拒絶反応を起こす姿も含めて率直に描かれている。そこらへんからだんだんと偉大なる冒険家「植村直己」様と自分が同化していってしまい、最後には自分が「3000キロ単独犬橇」を達成したキブンに!冒険家という肩書におさまらない筆致!

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