美藝公 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1985年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167181048

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  • 時は、日本の映画産業華やかなりし頃、その頂点に立つスター第一人者の尊称「美藝公」をタイトルに、夢とロマンにみちた"大活動写真"の世界を、鬼才<筒井康隆>氏が大画匠<横尾忠則>氏とタッグを組んだ、超豪華な超絶アイロニ-小説。或いは、難読添加物含有の毒々小説。

  • この本を手にとったときは、タイトルと背表紙の文句をちらと見て「48億の妄想」のような、メディア文化をブラックな方向へ暴走させた社会風刺的な作品なんだろうなと期待していた。丁度「将軍が目醒めた時」を読んだ後だったので、大スタア「美藝公」もさぞ滑稽にもて囃され私の常識を抉るような展開でもって狂気に向かってゆき、夢中にさせてくれるんだろうなと。
    しかし私のような、奇天烈な発想どころか文章すらおぼつかない人間が筒井作品の内容に見当をつけてまず当たるはずがなく、やはり読み進めていくうちに尋常では無い違和感にハテナマークばかり浮かべてしまった。とにかく登場人物全てが爽やかでプロフェッショナルで美しくて幸福なのだ。勝手に裸の王様の印象をつけてしまった美藝公はそんな幸福でロマンチックな世界の中でもさらに完璧で崇高な人間なのだから、なんだかもう胸焼けすらしてしまった。これは低能な私ではわからないパターンの難しい作品なのか、もしくはすぐそこに大きな狂気が待っているのか…
    不可思議ながらもぐいぐい引っ張られてあっという間に最後まで読み終えての感想は「とにかくすごい」アホ丸出しだ。よくよく考えて整理して貧弱な語彙で纏めると、ロマンチックなこの世界を私がんなわけねえよと半分は不快感と猜疑心で眺めていたように、私の生きる現実世界をふとした思い付きで空想した美藝公ら「藝術」に生きる彼らは残酷で低俗な世界だと絶望する。
    お互いがお互いを枠の外から眺めている図がまさか用意されていようとは思わなかった。他にももっと色々と感じたところはあるし、もっと語るべきテーマはあるだろうに後はうまく言葉にならない。

  • 2010.11.18(木)。

  • 多分ポストモダン

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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