文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫 つ-1-8)

  • 文藝春秋 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (193ページ) / ISBN・EAN: 9784167181093

みんなの感想まとめ

高度な精神性と技巧が織り交ぜられた作品は、虚構と現実の境界を曖昧にし、読者に深い思索を促します。唯野教授の「文学批評講座」は一見大パロディのように見えますが、実際には虚構による批評構築という野心が隠さ...

感想・レビュー・書評

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  • 精神性、技巧ともあまりに高度なので、どこまでマジでどこからオチャラケか、どれがホントでどれがウソかわからなくなってくる。唯野教授の「文学批評講座」は大パロディだとタカをくくっていたが、作者の弁によるとどうもそうでもなく、虚構による虚構の批評構築という遠大な野心が隠されていたようなのだ。
    だから、芸術にとって最も大切なのは教養、教養とは知識ではなく、ある種の共通感覚、感情移入の能力であるという、あたりまえといえばあたりまえの見解も誠実と受け止められる。

    今から思えば80年代のポストモダン、ポスト構造主義、ニューアカといったブームが犯した罪は軽くない。哲学思想を社会から切り離し、思想のための思想に加圧しやがて雲散霧消させてしまった。世代的には、お茶漬でもイデオロギーはあった「団塊」と、自分にしか関心を持てない「新人類」にはさまれた「断層」たちである。

    以後世の中はマネー、マネーに突っ走る。痛い目にあいながらもこの流れはとまらない。これほど強力な思想はないからだ。

    罪のひとつには原発推進の抑止力になりえなかったこともあげられる。それがいま顕在化している。米仏盲従の最大の陥穽かもしれない。

    しかし米はともかく、なぜ仏人はこうなってしまったんだろう?現代史にとってのひとつの研究課題になりそうだ。

  • 『ポスト構造主義による「一杯のかけそば」分析』のみ再読。
    久しぶりに読んだがやっぱり、わたし、これ、好き!(バァン)
    『青白い炎』みたいに「テキストに書いていないこと」を読み取るおもしろさもあるけど、小説としてのテクニックや効果の分析もしっかりしてるところが好き! フランス人批評家がなんも知らずに『一杯のかけそば』を読み込んだらどうなるかてゆう小説として成立させてるのがいいよな。筒井康隆て真面目だよな。小説や批評が雰囲気で誤魔化していたことを理詰めでやろうとする。
    対談が鶴見俊輔と河合隼雄で竹田青嗣の名前とか出てきて懐かしすぎる… そうゆえば、ガダマーて筒井康隆以外あんまり触れなかったよなー。

  • 唯野教授がいる大学に通いたい。

  • 文学部唯野教授を読んだ勢いで。唯野教授への100の質問では、唯野教授が筒井さんが言ってたけど、みたいな言辞を弄するのがおもしろかったり、ロレンス・ダレル「スピリット・オブ・プレイス」という紀行文に興味を惹かれる。また大橋洋一氏による筒井康隆氏へのインタビューでは、国書刊行会をやめて風の薔薇という出版社をつくった方が紹介されたり、高橋氏の教え子からの唯野教授のモデルは高橋氏ではないのかという手紙が紹介されたり。ポスト構造主義による一杯のかけそば分析は、パロディだからなのかもだけど、ぱっと見意味があるとは思えない数式の挿入、図式化、なんでも性欲、権力欲に結びつけるばかばかしさがにじみでていておかしい。類書としては、著者の「短編小説講義」、賞談小説の先駆として紹介されている「大いなる助走」についてもあたってみたい。

  • 2015.6.15
    同シリーズの続編?ということで手に取る。『一杯のかけそば分析』が気になったことも理由の一つとして挙がる。ポスト構造主義の概念を全く理解しないまま読んだが、それでも面白い。文脈や言葉の裏側に隠れた意味を深読みしているような印象を受けた。感動ドラマが、見事に薄っぺらいドラマにみえる。冷静に考えたら、感動ドラマの大半は、現実に起こったら白ける場合が多いのは明らかである。しかし、そのようなことを描く小説は、現実性がなくても成立するという指摘が印象的だった。そして、感動ドラマは神話のように神聖視?されるという前提があるということにも納得した。
    理解できていない部分も多いが、単純に読んで楽しめた。もっと知識とそれを活用する力をつけてから再読したい。

  • タダノのその後。

  •  ポスト構造主義による一杯のかけそば分析。婉曲的に批評を批評するという皮肉のスタンスに、思わず呵々大笑するだろう。

  • 筒井さんおもしろいひとだな。

  • 面白かったはずなのに、記憶の彼方に。また読みたい。

  • ポスト構造主義による「一杯のかけそば」分析、もいいけどやっぱ鼎談がおもしろかったな。

  • まさかのスピンオフ作品ですか。
    確かに良いキャラクターですから。

  • ・1/16 ついうっかり本棚にあるのを発見してしまった.福岡のBookOffで衝動買い.偶然「・・・女性問答」と一緒に置かれてたので、つい手が出てしまった.これならあっという間に読めそうだしそんなに嵩張らないしと思って読むことにする.面白いのかなぁ.
    ・1/18 読了.ポスト構造主義による「一杯のかけそば」分析は、趣味の悪いパロディで笑える.そもそも一杯のかけそばがそういう物語だったことすら知らなかった.

  • 本編の副次的書物。あまり読む価値はない。

  • 「文学部唯野教授のサブ・テキスト」

    著者 筒井康隆   出版 文春文庫

    p63より引用
    “無意識に支えられたエゴがあって、それが抑圧されていて、
    ときどき小便するってことなの。
    つまり、このふたりに限らず皆同じということなの。”

    同著者の他の作品の主人公への質問集という形の作品と、
    著者へのインタビュー、
    対談等を収録した一冊。

    上記の引用は、
    “「吉行淳之介も松本清張も、深層構造を掘り出したら同じ」”
    という事に対する分析の一文。
    人間、
    生きている事に関して突き詰めたら、
    大体同じ様に生きているという事でいいのでしょうか?
    文学の知識が深い人ほど楽しめそうな一冊です、
    私は出てくる作家の名前も満足にわからず、
    勉強不足を痛感しました。
    文学が好きな方ほど楽しめるのではないでしょうか。
    ーーーーー

  • 絶対読んだけど忘れたYo

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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