斑鳩宮始末記 (文春文庫 く 1-35)

著者 :
  • 文藝春秋
3.48
  • (4)
  • (8)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 103
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167182359

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 聖徳太子の生きる飛鳥時代、側近の秦造河勝の下で働く調首子麻呂と魚足のコンビが斑鳩宮で繰り広げられる殺人や収賄などの調査にあたるという、古代版警察小説です。
    歴史小説かと思って読み始めたので、フィクションだと知り期待外れでしたが、なかなか知ることのできない庶民の暮らしぶりまで子細に描かれており、まあそれはそれで楽しく読めました。
    この時代に警察や司法制度が整っていたかどうかは不明だそうですが、太子が中央集権国家体制の確立を図っていたのは間違えないのですから、あり得るなあと思うとロマンが広がりますね。

  • 謎は特に凝っていなく、人間関係の描写が主体。

  • 聖徳太子の舎人のお話。
    それ以上には覚えていないので近く再読しようと思う。

  • 奈良、厩戸皇太子に仕える子麻呂が主人公。
    殺人事件などの犯罪捜査にあたる。

    奈良時代のミステリー。

    人間、きれいなことばっかりじゃない。
    表の顔と裏の顔があって、人を妬んだり羨んだり。
    人が豹変する一瞬が怖かった。

    子麻呂の部下の魚足がとてもいい味を出している。
    この二人の関係もいい。
    主従なんだけど、年上の魚足がよくフォローしている。

    通勤時間の合間に読んでいたけど
    短編がいくつかある形なので、
    読みやすかった。

  • ~裏表紙より~

    調首子麻呂は百済からの渡来系調氏の子孫。

    文武に優れ、十八歳で厩戸皇太子(聖徳太子)の舎人となった。

    完成間近の奈良・斑鳩宮に遷った厩戸皇太子に、
    都を騒がす輩や謀反人を取り締まるよう命じられた子麻呂は、
    秦造河勝や魚足らとともに早速仕事に取りかかるが、
    その矢先、何者かが子麻呂に命を狙う。


    ~感想~

    古代を舞台にしたミステリーです。

    『髭麻呂』は平安時代、これは飛鳥時代の話なんやけど、
    やっぱこの時代劇ミステリーって楽しいな~♪

    良質の時代劇を見てるみたいで、楽に読めて(・∀・)イイ

    これは続きがあるみたいなんで、楽しみ~♪


    おしまい。

  • 古代版事件簿、捕物帳という感じ。
    その発想はなかった。
    時代が古い分?いろいろ生々しい感じが。
    特に男女関係が。
    時々時間、場所、その場面の中心となる人物を見失ってしまったが、落ち着いて読めば問題ないだろう。

  • 聖徳太子の舎人・調首子麻呂(つぎのおびとねまろ)を主人公にした短編集です。
    しかし本書では、犯罪調査をする役人に任命され、斑鳩周辺や厩戸の領地で起こる犯罪に関わる悲喜こもごもの日々を描いています。
    時代劇っぽく言えば、捕物帳・犯科帳、死語的現代風に言えば刑事ドラマみたいなもんでしょうか?/笑

    「日出処の天子」と言う漫画でも、調子麻呂(ちょうしまろ)として登場していましたね。
    あっちの彼はほんわかした好青年でしたが、本書の子麻呂は全く別人です。ご注意を。

    いやーほんと面白いですね!
    やっぱり黒岩氏の古代小説は良いです。
    古文書の中の暗号よろしく化石みたいな文字から、こんなに血が通い熱を感じられる、魅力的な人物像を描き出せるとは。

    生臭い犯罪調査の合間、体育会系で熱血漢の子麻呂と、ひょうきんでお調子者の魚足の掛け合い漫才みたいな会話が好きです。
    (だんだん魚足が関西弁になっていくのもオモロイです)
    興味をお持ちになった方には、続編の「子麻呂が奔る」もぜひ併せて読んで欲しいです。

  •  2009年12月16日購入

  • 主人公は斑鳩宮で厩戸皇太子(聖徳太子)の舎人で
    現代で言う警察の仕事を任された調首子麻呂(つぎのおびとねまろ)。
    江戸時代でいうならば、捕物帳ってところか。

    他の黒岩作品で例えるならば『影刀』『剣は湖都に燃ゆ』あたりかな。

    所謂歴史に名を残した英雄達の側近者の物語だ。
    あたしは個人的に、黒岩作品ではこういった脇役の物語の方が好きだ。
    人間臭くて、登場人物がみな活き活きとしている。
    面白くて、哀しくて、いとおしい人達なのだ。

    胸に響く感じ的には『影刀』に一歩譲る感じだが(笑)これもなかなか面白かった。
    うぉっ!ってな描写が多いが、登場人物の熱い思いが伝わってくる。

  • 古代、聖徳太子が立てた宮、斑鳩宮周辺で起こった事件を、太子の舎人で警護隊長である調子麻呂が捜査・解決していく短編連作集って感じかな。
    歴史の大物じゃない人物が主人公の小説は、黒岩作品では他にもあるけれど、これはなかなか読みやすくて面白かった。
    1話解決物って感じなので、重厚ではないのだけれど、庶民や中級官人の生活や人間の心の裏側や醜さみたいなものが克明にわかりやすく描かれていて、良かった。
    たまには、こういうのも良いな〜って思える作品でした。
    重い作品の間に、箸休め的に読むのがいいかも。
    古代は中国や朝鮮半島との関わりが強くて、その辺の事情や外交の難しさみたいなものが、ある面邪魔的に思えて無条件に楽しめないって感じがこれまであったのだけれど、本作は、庶民や中級官人にスポットライトを当ててるので、折々に太子の苦労話が出てくる程度なので、オエライさんの難しい政治のことは、詳細じゃないので、その辺も読みやすかった一因かもしれない。
    だけど、冠位十二階の施行に伴う、人間関係の争いなんかも出てきてて、微妙に朝鮮問題なども絡んだりしていて、詳しくはないけど、要点が良くわかる、みたいな感じの描き方だったのが勉強にもなり、楽しめもして、みたいで、良い感じでした。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒岩重吾の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×