モラルの罠 (文春文庫 な 1-28)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167184285

感想・レビュー・書評

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  • 「一見平穏な日常生活の中に潜む恐怖」を扱った短編小説集。「モラルの罠」「システムの穴」「偶発」「痛み」「贈り物」の5編を収録。それぞれ結構面白かった。モラル、システム、贈り物が犯罪もので、それぞれ胸糞悪い犯罪。偶発はコワイ女たちが出てくるが、ある意味痛快。痛みも、痛快かと思いきや、もう1つどんでん返しがある。
    初出が2000年~2003年で、既に微妙な古さを感じる年になったのだなあ、という感慨もあり。

  • 日常からのミステリーという題材での短篇集。個人的にとても面白かった。共感することが多かったし、それぞれの話でよく下調べされている感じがあって、勉強になりました。

  • モラルの罠・・・事故で死んだと思われた母だが、殺人の疑いが濃厚。しかし、母も事故を詐称し保険金をだまし取ろうちしていた模様。娘は犯人を訴えるか、三億近くもらうか・・・でおわる。
    システムの穴・・・警備システムの穴を利用し、不在の家に強盗に入った男だが家人が居たので、強盗をし、相手にけがを負わせる。助けたことで捕まる。
    偶発・・・夫の薬を他の薬に変えて、殺人を犯した妻の話。
    痛み・・・夫の浮気で心身症になる妻。離婚が成立するがよりを戻したくなるのでまた心身症に。
    贈り物・・・昔、少しだけ付き合った男は幸せそうだったので、不幸な女がふぐ毒で嫌がらせする。男は死亡する。女は撹乱のため、手当たりしたいに無差別に送るが最後は自首するっぽくおわり。

  • あんまり好きではないけれど、丁寧に設定されてる感じ。この作者の作品はどことなくお上品すぎて、うーん。

  • 再読。
    オーソドックスな推理小説短編集。
    安心して読める。

  • 12/08/19 やはり清張とは違う。

  • 日常の中に潜む恐怖をテーマにした短編集。
    ミステリーなんだけど、テロ事件があったすぐ後だったから、さらにリアルな感じがした。

    いたって普通に、平凡な毎日を過ごしているからって、
    その平和がいつまでも続くなんて保障はどこにもない。

    特別誰かから恨まれていたわけでもなく、
    ものすごい財産を抱えていたわけでなくとも、
    突然どんな被害に遭うかはわからないし、
    どんな被害を与えるかだってわからない。

    厳重なセキュリティーが、必ずしも家や子供を守るとは限らない。
    でもだからと言って、恐怖を怖れていては、暮らしてはいけない。
    恐怖に負けないくらいの、強い心を持っていようと思った。

  • 五十代位の女性が主人公の短編集。女は怖い。

  • ・一匹のネズミが原因で事故死した母は、小さな雑貨屋を営んでいた。
    そしてその一匹のネズミが、主人公達のモラルに問いかける。
    ・兄弟が同じ夜、瀕死の重症を負う事故にあった。
    広則の妻、輝香は医師の死亡宣告に関わらず延命を必死に訴えた。そこには…

    道徳心と個人の価値観を微妙な感覚で天秤にかける、全五編の短編集。

  •  女は恐ろしい。と感じるのはいささか単純すぎる感想か。そもそもモラルとは。

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著者プロフィール

一九三八(昭和一三)年東京都生まれ。慶応大学在学中に長編『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補に選ばれる。七〇年『天使が消えていく』が再び同賞の候補になり、単行本化され作家デビューを果たす。七三年『蒸発』で日本推理作家協会賞、八九年に仏訳『第三の女』でフランス犯罪小説大賞、二〇〇七年日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『Wの悲劇』『』や「検事 霞夕子」シリーズなどがある。二〇一六年没。

「2018年 『77便に何が起きたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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