- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167184322
作品紹介・あらすじ
裁判はこんなに面白いのか!時代を変えた12の法廷ドラマを、夏樹静子が迫真のノンフィクションノベルに。帝銀事件、永山則夫事件など有名事件から、翼賛選挙に無効判決を下した裁判長の苦悩、犯罪被害者になった弁護士の闘いまで、資料を駆使した人間ドラマとして描く。判決の裏にあった人々の苦闘と勇気に胸が熱くなる傑作。
感想・レビュー・書評
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明治22年(1889)明治憲法の公布以来行われてきた裁判の中で、のちの判決に影響を与えたものや、国・政府と対立したもの、冤罪だったものなど12件を取り上げ、書いている。小説家だけあって事件の様子は見ていたように再現されて読みやすく、また説明部分も、専門用語に頼らず分かりやすい。印象的なところ、感心するところ、いくつもあって付箋だらけになった。
翼賛選挙を、命を懸ける思いで"無効"にした裁判官。
冤罪と思われる被告人らを支援しようと、雑誌への寄稿などで声を上げた文筆家たちに対し、「裁判官は世間の雑音に耳を貸すな」という訓示があった話。
無罪と死刑判決が繰り返された事件。
1995年まで残っていた「尊属殺人」の加重規定。形骸化していた時期にあった対象の事件を、どう裁くか。社会の変化とともに、裁判も変わっていくことの難しさは今でもあるし、これからもずっとあるのだと思う。離婚など婚姻についても、社会情勢の変化に遅れつつ判例もついていかざるをえないことがある。
そして最後、平成9年。弁護士の妻が殺害され、弁護士は初めて"被害者"の立場に真の意味で立つ。それによって得た気づきや味わった無力感から、「全国犯罪被害者の会」の設立へと至るくだりでは、たたみかけるような文章に胸の詰まる思いがする。
平成16年に犯罪被害者等基本法が成立したことが、ほとんど奇跡のような大転換だと分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2019年7月7日 72冊目(7-2)
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日本の近代の歴史の中で、重要な裁判について取り扱われています。さすが小説家、というべきか、通常判例で記載される事実の概要とは異なり、ドラマティックに事実が描かれ、読む者を引き込んでいきます。
かつ分かりやすく裁判の内容にも切り込んでいて、法学部新入生や法律初学者におすすめ。 -
大学で習った法律系の判例の元となった事件がいくつかあって、事件の詳しい背景がわかったのが面白かった。
裁判百年史のタイトルに偽りなく、裁判を通して時代の流れの変化を感じることができる。 -
2012年11月購入
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下手な小説(失礼!)より面白い。
裁判員制度がスタートしてますが、人ごとではない。 -
ずっしりと読み応えがありました。一編読み終わるたびに、法とは何かと考えさせられ…。事件や裁判の描写はさすが夏樹氏、まるで小説を読み進めるかのように入り込めました。やはり私の一番好きな作家さんです!