空港にて (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2427
レビュー : 290
  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190064

感想・レビュー・書評

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  • 実験的作品なのでしょうか。非常に変わったつくりです。
    全ての短編が、時間にして数分間、場所的にも(それぞれの短編の題が示すように)狭い空間を舞台に語られます。情景の語りは極端に客観的です。ストップモーションが時間をおいて何度か描かれるような記述です。その中で、ごく僅かに主人公の心象風景が語られるのですが、これが物語の核なのでしょう。
    そういう造りは私小説の雰囲気です。しかし私小説は自分を主人公にするものです。一方、この作品では自分以外を主人公にしているので"他人小説"とでも呼べばいいのでしょうか。
    文体の持つ独特のリズムは面白いとは思います。しかし、その他に何があるかといえば、悪く言えば"奇妙な味"という感触です。いわゆる珍味と同じで、好きな人には受けるのかも知れませんが。

  • 初めて読んだ村上龍作品。面白かった。
    引っ越しや入学・卒業、就職など、人生における転換点に立っていると感じる人に是非読んでもらいたい。

  • ルームトーン、眼球に映る無数の家具…
    そのまま映像にできそうな、取捨選択もなく綿密に執拗に描写した背景の中の私。あと100年後には歴史資料として使えそうだ。
    その中で、遡る私の記憶、いくつかの印象的なモチーフ。そんなに面白みはないけれど大衆の雑踏のざわめきと匂いを感じとれて良い。葛藤の中の、決心とか結末とかが前向きな方向で、後味は悪くない。

  • 2017年、25冊目です。

  • 思考が取り留めなく流れる感じはよく考えたら自分も普段してたりしそうなんだけど…。内容自体も悪くはないというか結構好きな感じもないではないんだけど…。

    彼の作品はなんか、ご自分の体験に裏打ちされてるんでしょうか、高級ワインとか高級ななんちゃらの蘊蓄がダダ漏れ過ぎる所がとにかくダメ。バブル臭い。

  • この人は合わない。つら

  • 村上龍にしては読みやすい、というのが率直な感想。

  • 日常の何気ない一瞬を音や映像で切り取る人達がいる。
    そして文章で切り取る小説家がいる。
    人々は皆、立ち止まり観察する。
    そして思考する。
    無意識なその瞬間、でも人間の頭の中は、文字に起こすととてもおもしろい。

  • 「時間を凝縮する手法」で書かれたそうだが、人間の思考の実際のプロセスはこの通りではないだろうか。周囲を見、その一部から何かを連想し、自分の過去やら悩みやらを思い起こす。目は周囲のものを追っているけれども、頭では別のこと(多くは自分に関する何か)について考えていて、実際には「見ていない」。まるで「コンビニにて」の中華料理屋の件のように、人はひとつの行動の中に驚くほど多くのプロセス、思考の過程を秘めているものだ。
    少なくとも私はそういったことがよくあるのだけれど、どうだろうか。

  • ひとつひとつの話は短いが、それぞれの人物の鬱屈した思いが凝縮されていて、一方で周りの人間はそれを知らずに「日常」を過ごしている。
    人はそれぞれに複雑な思いを抱えているのだと思うと同時に、自分の心の弱さの襞に触れられる感じがした。

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著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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