心はあなたのもとに (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2013年8月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784167190088

作品紹介・あらすじ

人は他者を所有することはできない。だからどうしようもなく求めてしまう――

投資組合を経営する西崎は、五反田の風俗店に勤める「サクラ」と客として出会う。やがてプライベートで会うようになるうち、彼女は加奈子という本名と、Ⅰ型糖尿病という難病を患っていることを西崎に打ち明ける。濃厚な死の予感をまといながら、二人の逢瀬は二年半続き、突然断ち切られた――。そして西崎に残されたのは、加奈子とやりとりした六百四十三通のメールだった。加奈子からの文面は、いつも同じ言葉で結ばれていた。「心はあなたのもとに」。

限りなく切ない、著者渾身の長編恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • シリアスな病気であっても、確かに人は慣れてしまうものだ。慣れてしまうからこそ、その病気と共存ができるようにもなる。それを誰が責められよう。ただ残念ながら、どうにも身勝手さが鼻について回る。

  • 純粋で綺麗な恋愛だった。
    タイトルの英訳が好きだ。

  • いいセリフ多い。

    村上龍らしいな。
    専門用語ばかりの部分読みづらい…

  • 前半は心に刺さる言葉がいくつもあったのだが、黒川が出てくるあたりから恋バナをしているキモいメンヘラのおじさんという目でしか見られなくなってきて、だんだん冷めてきてしまった。
    香奈子からのメールの最後に毎回入るタイトルの言葉も、毎回だとそれはただの署名ではと思ってしまい、その言葉はあまり心には響かなかったが、それにまつわるラストはよかった。

    長い物語ではあったが、数年感という歳月を丁寧に繊細に描き、大事なことは繰り返し提示され、過去を思い出すシーンでは主人公の時間軸に寄り添う事ができたので、このボリュームは最適だと思った。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682669

  • なんとなく重なるところが多く、ドッグイヤーだらけになってしまった。最後は泣けた。西崎が全ての女に好かれるのはちょっと腹立つけれど笑
    西崎の中にも、香奈子の中にも、ミサキの中にも自分がいるような気がした。大きい病気を持っている人間がうらやましいとやっぱり思ってしまうな。生きた証を残してもらえた香奈子がうらやましい。愛されていたんだなと。
    既婚者で余裕のある男と、独身の風俗嬢と。重なるよなどうしても。「…恋人が金銭と引き替えに他の男に性的なサービスをしても平気だという男はいないだろう。だが、耐えることができる男はいるような気がする。」すきな女が風俗、水商売をしている事に対する男の気持ち、とても考えてしまった。わたしに対して、今までのひとたちはいったいどう捉えてきたのだろう。辞めさせようとしたけれど、助けられないからと諦めたひと。まったく気にしていない(ように見えた)ひと。助ける力があって反対しながらも、わたしの意地を認めてくれるひと。前のひとは耐えているような感じさえしなかったけれど。結局わたしのほうが耐えられなくて辞めてしまったしな。わたしが耐えられるか耐えられないかの違いもなんなんだろう。付き合っていたひとたちはともかく、単純にわたしの事をすきだという男たちはどういう気持ちだったのだろう。でも付き合っていないのならば逆にまた違うのか?不思議だ。
    水商売に向いている女風俗に向いている女は別物でどちらが上下でもない的な話があってほんとそうだよなと。同じくくりにされがちだけれど。そしてわたしはどちらかというと水商売より風俗でウケるタイプだよなあと自己分析している。
    大切な人だから関与したい。大切な人だからこそうまく関与できない。大切だからこそ、たくさんのエネルギーがいるから、疲れたり、本能的に放棄しようとしたりするんだって、やたら納得した。いっしょにいたいし、いっしょにいるのがつらいんだって。大切な証拠なんだよね。
    ひとつひとつ、心の動きと状況をこうだからこうなんだなと考える西崎が、わたしもいちいち考えがちなので、興味深く面白かったな。西崎ほど冷静ではいられないのだけれど。



    わたしは優しい人間ではない。ただ、相手がわたしのせいでがっかりしたり悲しんだりするのがいやなだけだ。

    ミサキは、男たちが性的に興奮し勃起してセックスし射精するとき以外、他人から自分が必要とされていると思うことができない。

    大切だと思える人に関与できていないし、関与しようともしなかった。だから、罰として大切な人から遠く隔てられている、そういう感情だった。

    恋人が風俗で働くことが苦痛で、そのことに耐えていたのなら、どうしてこれまで生活を援助しようとしなかったのだろうか。また風俗嬢からホステスになるのだと唐突に言われて気分を害するのだったら、おれが面倒を見るから水商売なんか止めろ、となぜ言わないのだろうか。

    香奈子が風俗嬢だという現実は、耐えることができた。だが、当たり前のようにわたしに依存してくる香奈子には耐えられないだろうと、わたしは無自覚にどこかでそう思っていたのだ。他の男に性的なサービスをする香奈子より、わたしに平気で依存してくる香奈子のほうがいやだったのだろう。おれが面倒を見るから風俗なんか辞めろ、とわたしが言わなかったのと同じように、香奈子のほうも、風俗店で働かせたりしないで生活の面倒を見て欲しいとは絶対に言わなかった。

    ただ、自己評価が低い女は、大切に思う人から、自分も大切に思われているという確信が持てない。自身に低い価値しか見出せない女は、自身の価値を認めている他人がいることもわからない。

    金銭で幸福や信頼は買えないが、経済的困窮は不幸に直結している。

    西崎さんに何もしてあげられないのが辛い、いつだったか香奈子はそんなことを言った。そんなことはないと、そのときに言えばよかった。誰かを大切に思う気持ちは、何かを変化させ、いつか必ず相手に届く。



    なが笑

  • 読後胸がつまる。煩悩多き、お金持ちのエリートが遊びまくる話という見方は多分かなり間違っているけど、「え。普通そこで遊ぶかな・・・」と思う場面も多かった。しかし、本人が自分自身や他人を分析する場面の多くが興味深くまた納得いくものであった。ファンドに関する仕事の描写も多いが、参考になる考え方も多かった。そして、村上龍の本を初めて読んでカンブリア宮殿に出演している訳と最後のコメントの秀逸さの訳を知った。

  • 幸せはとても個人的なもので恋愛はその最たるものであることを再認識。香奈子さんの人生がもし続いていたら、誰とどう生きてるのかなと彼女の同世代として思った。

  • 長すぎて何度も分けないと読みきれず、内容が飛びがちだった。ずっと一緒にいることなんかできないけど、ずっと一緒にいないからといって大事にされていないということではない、ということが前提にあって、最終的に香奈子は死んでしまうけど、それによって永遠に肉体的に一緒にいることはできなくなっても、心は一緒にいることができる。というか、心に深く刻まれてたぶんもう離れることができなくなる、I'm always be with you,自分にもそんな節があるのではないかと思って少し不安になった。今もたまに言うけど、付き合ったばかりの頃恋人に「いつか別れるかもしれないけど」みたいな話をよくしていて、予め自分にそれを認識させることによってダメージを減らそうとしてたのかもなと思った always.とalwaysを繰り返すのもそういうことなのかなと思った。愛されている実感のない女たちが描かれていて

  • 2018/10/16購入

  • 村上龍らしくないセンチメンタルな作品だったけど、これはこれでありかもしれない。恋愛小説というより、恋愛を通して主人公が何かを学んでいくその過程が描かれている。香奈子の病気1型糖尿病、主人公の闇、盛り上がるわけでもなく、最後まで低空飛行が続いていく感じ。あとがきにもあるように作者の友人が同じ病気で亡くなっていることから、すごく個人的な小説という印象を受けた。これはこれでありだと思う。

  • いつかは必ずそのときが来るとわかっていながら読んでいても、やっぱり最後は切なかった。ふたり(と言っていいのかどうか)の恋愛模様も楽しめたし、それと並行して常に語り続けられる主人公の仕事の話題も面白かった。作者と主人公がどのくらい重なるのかは、けっこう気になるところ。

  • 日本においてもおそらく所謂勝ち組に属していて、一般的には「いい気なもんだ」と言われそうな、別な意味でのマイノリティが主人公の話で「テニスボーイの憂鬱」の壮年期編のような感じといえなくもない。難病を抱えた元風俗嬢が愛人でその愛人との間の物語。私小説のようなタッチで書かれていて、ファンドマネージャーということになっているが、ホテルを定宿にして仕事をしている等、作者のことを書いているのではないかと錯覚しそうになる。そんな上流階級設定なこともあり主人公との間には相当開きがあると思う。が、読んでいくに連れて次第に状況を受け入れて読めるようになる。どこにいても人は様々な事を思うんだなと思わせる。オチがどうこうというのと無縁で、この世界を垣間見たり浸ったりすることができたと思う。知らない間になんかハマっていくことになる作品だった。

  • 村上龍は、学生の頃に「限りなく透明に近いブルー」「海の向こうで戦争がはじまる」「コインロッカー・ベイビーズ」と読み、何だか肌に合わないなと思って、以来敬遠してきた。でも、あれから20年経ったし、歳も取ったし、今読むと違うかも、と思って読んでみた。

    うーん。

    村上龍が合わないのか、たまたまこの作品が合わないのか、あるいは作中の西崎の人物像ゆえか、いまいち小説に没入しきれなかった。西崎の言い訳を延々聞かされてる感が拭えぬまま一冊終わってしまった。まあ、そういう作品なのかもしれないけど。

  • ボリュームもあって展開も地味なので、何度も読むのを辞めそうになりましたが、読みきれて本当に良かったと思いました。
    分かりきってるはずのラストだったのに、物凄い喪失感に襲われて、やりきれない気持ちになりました。

  • 一応最後までは読めました。
    「泣くよ」と言われたけど、「どこが?」という感じ。
    こんなに胸くそ悪い本も珍しいやね。

    男も身勝手すぎるし、女も意味わからん。
    健気?純愛?冗談言っちゃいけませんゼ。

    そのうえ無駄に長いしw
    こんなの、一気読みとか、絶対無理なんでー・・・
    一か月くらいかかったかもねww

    読み切った自分を褒めてあげたいわ!www

  • 2年前に大切な友人が突然死し、原因がわからぬまま、この本にたどり着きました。
    友人は主人公香奈子と同じ1型糖尿病でした。
    症状は患者の方それぞれ違うと思いますが、この病気を抱える不安や苦悩が描かれていて、友人の病いについて余りに無知だったことを猛省しました。

  • おもしろくなくはなかったけど、なんで村上龍はこの話をこんなに長く書いたんだろうと思った。自分の心のなかで起こる小さな変化をひとつひとつ冷静に分析する描写は見事だった。

  • エリートで惜しみなく金を使い愛人をはべらす鼻持ちならない男、西崎に前半ムカムカしたが、このひとの冷静な分析力に引き込まれた。

    愛人の香奈子の病気に苦しみ、西崎に頼る依存し気持ちは痛いほどよくわかる。

    香奈子の西崎へのメールの文面から病気にとらわれ、他者に依存していた自分に気付かされた。

  • 風俗で知り合った1型糖尿病を患う香奈子とのメールのやり取りを振り返りながら、当時を思う男性。
    不倫の関係にあり、他の女性とも付き合う中、香奈子は特別な存在となった。
    ただ難病を抱え香奈子との恋愛は簡単ではなかった。

    2018.3.28

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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