白き瓶 小説・長塚節 (文春文庫 ふ-1-22)

  • 文藝春秋 (1989年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784167192228

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  • 「白き瓶 小説長塚節」藤沢周平著、文春文庫、1988.12.10
    494p ¥620 C0193 (2020.01.31読了)(2019.07.18購入)(2000.12.05/9刷)

    【目次】
    根岸庵
    初秋の歌
    亀裂
    暗い耀き
    婚約
    女人幻影
    ほろびの光
    歌人の死
    主な参考文系
    解説  清水房雄

    ☆関連図書(既読)
    「土」長塚節著、新潮文庫、1950.06.10
    「吾輩は猫である」夏目漱石著、旺文社文庫、1965.07.10
    「こころ」夏目漱石著、新潮文庫、1952.02.29
    「野菊の墓」伊藤左千夫著、角川文庫、1955.08.20
    「竹光始末」藤沢周平著、新潮文庫、1981.11.25
    「たそがれ清兵衛」藤沢周平著、新潮文庫、1991.09.25
    「密謀(上)」藤沢周平著、新潮文庫、1985.09.25
    「密謀(下)」藤沢周平著、新潮文庫、1985.09.25
    「市塵(上)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    「市塵(下)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    (「BOOK」データベースより)amazon
    37年のみじかい生涯を、人間の世の中に清痩鶴のごとく住んだと悼まれ、妻も子ももたぬまま逝った長塚節。子規にもっともその才を愛されたこの歌よみは、同時に名作「土」を生んだおおきな作家でもあった。旅と作歌にこわれやすい身体を捧げた稀有の人、その生のかがやきを清冽な文章で辿る会心の鎮魂賦。吉川英治文学賞。

  • 藤沢周平さんの作品は初めて読みました。
    長塚節についての評伝的小説です。
    吉川英治文学賞を受賞しています。
    文庫本で500ページ近くありますが、惹き付けられて読みました。

    長塚節は1879年生まれ、1915年に亡くなっています。
    35年の短い生涯でした。
    結婚もしていません。
    茨城県生まれです。
    最後は九州帝大病院で亡くなっています。
    正岡子規の後継者と目されています。
    22歳の時に病床の正岡子規を訪問します。
    この作品では、伊藤左千夫、斎藤茂吉などとの交流が描かれています。
    近代短歌の歴史がよく分かります。
    夏目漱石、与謝野鉄幹も出てきます。
    大河ドラマです。

    長塚節は筑波山の近くに住んでいたようです。
    筑波山に登る話が何度か出てきます。

    長塚節はよく旅に出ます。
    万葉の歌枕を訪ねる旅です。
    当然関西方面です。
    比叡山、嵐山、三輪神社、法隆寺、橿原神宮、伊勢、熊野、那智などを一月かけて回ったりします。

    信州や大津、彦根を回りながら天橋立などを見たりする2ヶ月の旅もあります。
    旅の記述は枚挙にいとまがありません。

    長塚節の旅行は大方は歩いての旅です。
    旅そのものに弾かれていたようです。
    旅の中で、軽やかに解放され、快い陶酔感に浸ることができたと書かれています。
    長塚節は車を使い金をかけた旅行は旅ではないと思っていたと書かれていますが、これはよく言われる「旅」と「旅行」の違いを表しています。

    朝日新聞に夏目漱石の「門」が連載された後を長塚節の「土」が引き継ぐという話は面白いです。
    農民文学の草分けとも言うべき「土」が新聞小説としては不評だったというのは分かります。

    長塚節が「土」の執筆にあたって、自宅では集中できないということで、近くの小学校の図書室を借りて書いたという話があります。
    早めに夕食をすませて2キロ先の小学校まで歩いていって、夜の時間に書くわけです。
    気持ちが創作に凝縮して執筆がはかどったといいます。
    知的空間の確保という視点で興味深い逸話です。

    長塚節は九州に惹かれます。
    九州各地を回ります。
    開聞岳や天拝山、英彦山に登ります。
    軽便鉄道で杷木まで出かけて普門院、円清寺、南淋寺を訪ねます。
    天草からロシアに出稼ぎに行く売春婦たちと遭遇したりもします。
    「からゆきさん」の時代です。

    長塚節は観世音寺に感激して何度となく訪れます。
    太宰府は日本の霊地であり、奈良や東北中尊寺と並ぶものとしています。

    最後の方では黒田てる子とのロマンスが描かれています。
    長塚節が送った手紙は本人に届いていませんでした。
    電話も携帯もなかった時代の悲恋とも言えますが、美しい話です。

    九大医学部付属病院に長塚節は入院します。
    治療中も九州各地を旅します。
    病状は悪化して、観世音寺を訪ねるときに二日市駅から歩いて行っていたそうですが、歩けないほどの状態になっていき、やがて亡くなります。

    観世音寺には長塚節の記念碑があります。
    福岡山の会の会報「せふり」のトップは長塚節の短歌です。

    不知火の國のさかひにうるはしき背振の山は暖かに見ゆ

    これは病床から詠んだ歌だろうかと思いを馳せます。

  • 97年5刷本

  • 「土」で農民文学を確立し、正岡子規に和歌を学び、
    千葉の伊藤左千夫と並び称される茨城が生んだ有名人
    長塚節(ながつか たかし)。
    その人を歴史小説の第一人者の藤沢周平が描いた
    名作。
    藤沢作品では珍しく山形以外の人物をピックアップしています。
    これで、藤沢周平のまた違った一面がみえるのではないでしょうか?

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

藤沢周平の作品

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