- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167192327
作品紹介・あらすじ
貧窮のどん底にあえぐ米沢藩。一汁一菜をもちい、木綿を着て、藩政たてなおしに心血をそそいだ上杉鷹山と執政たち。政治とは、民を富まし、しあわせな日々の暮しをあたえることにほかならない。藤沢さんが読者にのこした遺書とでもいうべきこの長篇小説は、無私に殉じたひとびとの、類いなくうつくしい物語である。
感想・レビュー・書評
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上巻読了。
「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも・・・」の名言でお馴染みの、上杉鷹山(治憲)を中心に、貧困に苦しむ米沢藩の財政再建に挑む物語です。
この巻の中盤までは、治憲はまだ若君なので、家老の竹俣当綱がメインな感じで進みます。
贅沢三昧の前藩主・重定を隠居させて、秀才で清廉な治憲が藩主になり、自ら倹約をして、財政立て直しに挑みますが、昔からの格式を重んじる(ぶっちゃけ、自分たちの生活のレベルを下げたくない)重臣たちに反発されたり、幕府の普請手伝を命ぜられたりと、前途多難です。
絶望的な状況の米沢藩、果たして再生は成るのか、下巻に続きます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
米沢藩中興の祖である上杉鷹山公の物語。名君として有名ですが、こんなに上杉家が大変だったなんて、としみじみ。
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当時の貧窮ぶりや政治組織の内情が緻密に描かれています。
膨大な資料と時間を費やして執筆されたんだろうなと思わせる作品でした。
藩の貧困や支配層の浪費ぶり、各派閥の駆け引きなど物語全体を通して重苦しい雰囲気ではありますが、ユーモラスな場面もあり積読することなく読めました。 -
上杉米沢藩の困窮、元をたどると吉良上野介(の贅沢)に行きつくのか。なるほど。
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印象に残った箇所については、以下のとおり。
【P17】膝に十月の冷えが這い上がってきた。しかし家老の部屋に暖をとる火が配られるのは、まだ崎になるはずだった。
【P22】兼続は領民に勤勉を説いたが、搾取はしなかった。年貢もこの時代に言う三ツ七分、三七パーセントほどで、当時としては低い率だったと言わざるを得ないが、兼続の経営策は、目前の困窮を脱するために領民をしぼることを排し、むしろ領民を育て、暮らしむきをよくすることで、領土の潜在的な富をふやして行こうとするものだった。
【P162】また同じ論達の中で、治憲は座して滅びを待つより、君臣力をあわせて心力の尽きるまで大倹約令を行えば、あるいは国の立ち行くこともあろうかと、このことを屹と思い立った、と述べた。
【P231】郷村出役の諭告は農の困苦を理解し、少しは酒ものみ、遊びもした上ではげめと言っている。農民に対する藩のこの態度の変化は、単純に時代の差では片づけられないものがあり、こうしたことあるいは藩主みずからの雨乞い祈願などから、庶民は為政者の側から新しい風かま吹いてきたことを鋭く感じ取ったに違いない。
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上杉鷹山その人の物語(事績)も然ることながら、ナチュラルで読み易い文体が興味深かった。良い作品だと思うので、多くの人に読んでほしい。
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貧窮にあえぐ米沢藩の苦悩。
幼名直丸から藩主治憲となり、藩の立て直しを図っていきます。
改革を進めていきますが、その道は困難を極めます。
強固な反対にもあいますが、藩の立て直しに心血を注ぐ治憲と執政たち。
ケネディに尊敬する日本人と言わしめた、上杉鷹山の物語です。 -
2018.2.2(金)¥200(-2割引き)+税。
2018.4.11(水)。 -
越後のこだわり命とり
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読み始めて、まず詳細な調査、莫大な時間をかけて準備してから書かれていると思った。
明るい未来が全く見えない貧困のため閉塞感のある米沢藩。
普通だったら逃げ出したくなるような役割を与えられたのに頑張り続ける姿に感動。
最初は剣劇小説のようで、中盤は史実に基づくルポタージュのようだった。以降は上杉鷹山が主人公の小説のようになった。
下巻ではどうなるか楽しみ。