- 文藝春秋 (2009年12月4日発売)
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感想 : 51件
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167192457
みんなの感想まとめ
江戸時代の情緒が色濃く描かれた短編集は、作者の初期作品を集めたもので、直木賞受賞作を含む五篇が収められています。作品ごとに異なるキャラクターやストーリー展開が楽しめ、特に「黒い縄」や「ただ一撃」では、...
感想・レビュー・書評
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藤沢周平文学忌、寒梅忌
1973年第69回直木賞「暗殺の年輪」を含む
短編時代もの5編
目次順に
「黒い縄」
1973年第68回直木賞候補作
美しい出戻り女、幼馴染で恋心を持っていた男と再会 男は人殺しとして追われる身
再会はお互いの愛情を確かめることはできたが
無実の罪から逃げるための罪を犯す
「暗殺の年輪」
1973年第69回直木賞
武家の敵討的暗殺物語
父親の殺害時まだ子供だった主人公がその真実を知り 敵討へと行動を移す心情の変化を短編の中にぎゅっと
「ただ一撃」
この作品は何か文学賞的評価を受けていないのだけど、5編の中で一番好きでした
武家の物語ですでに隠居の身としている男に家老から剣の使い手としての任務がくる
男は既に妻を亡くし 息子夫婦と同居
男は鍛錬の後 子供ができない嫁と同意の上
無理かどうか試す(文章こんな感じ)
翌朝嫁は自害する
剣の試合は一撃で勝利
嫁の自害の理由がなんとも切ないのだけど
夫より良かったらしい
「溟い海」
1971年第38回オール読物新人賞
葛飾北斎の人生の後半
広重が東海道53次で才能を開花させる
富嶽三十六景で実績を残す北斎が
若い才能に嫉妬する
北斎の長寿にも驚いたけれど
二人が同時代に生きていたことを再確認
「囮」
1972年第66回直木賞候補作
この短編は読みにくかった
工房の職人で岡っ引きの手下のアルバイトをしている男 殺人犯のヤクザの女を見張っているうちに好きになる感じ
藤沢周平が小説家として認められた作品集かな
久しぶりの時代物で楽しみました
最近はテレビドラマで時代劇をほとんどやらなくなっているようですけど
若い子達って 小説で読んでイメージできるのかしら なんか心配
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「購入」
暗殺の年輪《新装版》《文庫本》
2009.12発行。字の大きさは…小。2023.08.08~10読了。★★★★★
黒い縄、暗殺の年輪、ただ一撃、溟(くら)い海、囮、の短編5話。
【黒い縄】
材木商「下田屋」の娘おしのは、祝言を挙げて三月後に実家に戻って来た。そのおしのが、偶然十年ぶりに宗次郎と会って気持ちが高揚していく。が、宗次郎は、情婦おゆきを殺したかどで元岡っ引の地兵衛に追われている。おしのを想っていた宗次郎とおしのは、地兵衛から逃れるために、二人で江戸を出て行こうとしたら地兵衛が待ち構えていた。
【読後】宗次郎が調べて行くと、おゆきを殺したのは地兵衛であった。宗次郎は、殺しにきた地兵衛を殺したため、おしのと無理やり別れて江戸を出て行きます(涙)。女の心の動きを丁寧に書いています。
第68回直木賞候補作品。
【暗殺の年輪】
剣の遣いてであったゆえに藩の政変に巻き込まれた父子と、息子を救うために身を汚した美しい母の物語です。十八年前、葛西馨(けい)之介の父源太夫は、現中老嶺岡兵庫を暗殺する命を受けるが失敗して亡くなった。今度は、馨之介に命が下る。馨之介が、嶺岡を暗殺したらそれを命じた者たちが殺しにかかってきた。
【読後】馨之介は、十八年前も同じように父は、命じた者たちに殺されたのではないかと覚る。そして美しい母波留が、馨之介を守るために嶺岡に身を任せた。それを息子に知られた波留は、自決した。理不尽な怒り。
第69回直木賞受賞作品。
【ただ一撃】
八十七石の軽輩の刈谷家に嫁に来た三緒23才は、美しく、気立てがよく舅範兵衛によく仕えた。藩道場に武骨な剣客が現れ、対戦した手練れの若者四人が、かたわになった。観ていた藩重役が二十年前の試合で、ただ一撃で相手を倒した刈谷範兵衛を思い出し対戦させた。
【読後】藩内で噂にものぼらない六十くらいの老人範兵衛が、山に入り野獣となって戻ってきました。そして嫁の三緒に男として役に立つか試したいと、三緒は、受け入れたが途中で取り乱し歓びに奔った、それを恥じて自害した。範兵衛は、ただ一撃で剣客の頭を砕いた。
【溟(くら)い海】
江戸時代後期の浮世絵師として名を馳せた葛飾北斎。年老いて若者が出した絵が次々と売れていくなか、北斎の絵が売れない。【読後】北斎の葛藤と北斎の家族をかえりみない姿が描かれている。
第38回オール讀物新人賞受賞作品。第65回直木賞候補作品。
【囮(おとり)】
版木師でありながら病気の妹を養うために、人に隠して目明かしの下っ引きをしている甲吉の後ろめたさを、犯罪者を捕まえるための囮となっている女を通して描いている。
第66回直木賞候補作品。
【読後】
久しぶりに藤沢周平さんの本を読む。藤沢さんの本は、字が小さくて、読めるものが少ないなかブックオフで読める字の大きさの本を見つけて嬉しかったです。著者は、女性の心の動きをこまやかに、そして丁寧に書いています。読みごたえのある作品となっています。この5編は、著者が「溟い海」で文壇にデビューしてから2年間に発表された作品のなかから構成されています。
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参考
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1971年(昭和46年) - 「溟い海」で、第38回オール讀物新人賞受賞。
1973年(昭和48年) - 「暗殺の年輪」で、第69回直木賞受賞。
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1973年の直木賞受賞作品ほか4篇。今とは全く違ったはずの武士の世の倫理観が、5篇すべて、結末とうまく繋がっている。特に「ただ一撃」の範兵衛と三緒が壮絶だった。
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作者初期の短編集。直木賞を受賞した「暗殺の年輪」に至るまでの候補作3編と受賞時期とほぼ同時に発表されたと思われる一編の五作が収録されている。
個人的好みは、直木賞受賞作より「黒い縄」と「ただ一撃」。「黒い縄」のドンデン返しは見事だし、「ただ一撃」の凄腕爺さんも憎めないキャラでなんとも良い。そこには後のユーモアをそこはかとなく感じられる周平がいるように思われる。
苦しみや哀しさを背負わされた女性がどの作品にも登場するのが辛いが、作品に深みと重みを与えている。
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藤沢周平初期短編5作品。
解説を読んで知りましたが、自分としては文壇初登場の「溟い海」と第2作の「囮」が中でも面白かったです。
どの作品も悲劇的な最後ですが、落ちるところまで落ちた悲劇な終わり方ではなく、わずかな救いを感じさせるのも絶妙なところです。江戸時代の情緒をしっとりと感じさせてくれる鮮やかな筆致と、ぐいぐい物語にのめりこまさせてくれるストーリー展開が大きな魅力です。
「黒い縄」は女性視点での町人物。離縁された?女性の心の移ろいを細やかに描写した作品で、ミステリーの常道ともいえるストーリー展開が楽しめる。
表題作「暗殺の年輪」は直木賞受賞作で、自らの生い立ちに桎梏を持つ青年武士の葛藤と決断までの過程を描く。これもストーリー展開と青年の心理の揺れ動きと魅力的な女性陣の登場が楽しませてくれる。
「ただ一撃」は、剣術物として疾走感のある作品。最もはらはらして読んだ作品で、舅と魅力的な嫁との掛け合いも面白かった。
「溟い海」は葛飾北斎が下り坂になり安藤広重に嫉妬する様を、サイドストーリーを絡ませながら、その葛藤を巧みに描いた作品。ストーリー展開とその終わらせ方も含めて面白かった。
「囮」は下っ引きの張り込みを中心とした物語で、主人公の下っ引きの本職である版画工房での出来事とあわせ、巧みなストーリー展開と主人公の張り込み先である犯罪者の情婦との絡みが面白かった。
一慨に女性の描き方も上手く、大いに魅せられた作品群でした。 -
人にすすめられて読破しました。どの短編も情景が目に浮かぶなんだか切ない感じでした。
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黒い縄は今で言う、ヤンキーに心に傷のある女が恋する話。
暗殺の年輪に色恋足したものが蝉しぐれのようだと思った。
ただ一撃は、2つの意味で一撃。
溟い海は言葉遣いがいつもと違う。デビュー作だからか若干テイストが違う気がする。歌川広重と葛飾北斎の新旧の戦いを北斎視点で描いている。 -
いつもの藤沢周平らしい切なくモヤッとする短編。昭和期の時代劇もそうだが、とにかく女性が全員不憫…
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時代物は表現が情緒的だよね♪
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2026年、2冊目です。
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どの話も、終わり方が単純でなくひと工夫あって面白かった。ハッピーエンドでなく、単に主人公が死ぬとかでもなく。人生の如何ともし難い感じを物語からも感じるというか。
どの話にも溟く流れる官能の匂いがハードボイルドな感じを演出しているのかなと思うが、良くも悪くもとても男性的だなとも感じた。
でもなんか、やっぱり歴史小説はそんなに読みたいと思わないかなあ。自分があまりにも江戸時代に萌えがないのだなと思った。 -
「黒い縄」「暗殺の年輪」「ただ一撃」「溟い海」「囮」の5作。
「溟い海」で藤沢周平は文壇に登場し、
「暗殺の年輪」で直木賞を受賞する。
「黒い縄」「ただ一撃」「囮」など、
デビュー当時の雰囲気というか、
昭和時代の粘性を感じる作品。
当時はそれが普通だったのかもしれないけれど、
今読みかえすと、
一種のギラつきが灰汁になってしまう。
昭和の時代の男と女が、好む時代小説だと思う。 -
直木賞受賞作「暗殺の年輪」はじめ、それまでに直木賞候補となった作品などその周辺の作品をまとめられた短編集です。この時期ならではの著者の作風を感じることができます。女と男の関係、それに感情的に振り回される情景、他人の心の分かりにくさとそれ故の不幸、全体を通して暗い印象の中に、そんな人間らしさを感じる作品達です。「黒い縄」「暗殺の年輪」「ただ一撃」と、闘い(というか喧嘩)に向かう男と、それを見ている女性との関係を。その世界の虚しさを感じられました。「溟い海」「囮」はそれぞれ人間の持つ暗黒の一面とその魅力を感じられるものでした。
形の見えないものである心の動きへの描写がとても魅力的で、引き込まれるところがありました。 -
藤沢周平の初期の短編集。救いようのない絶望感。藤沢の作家デビューまでの苦労が各作品に反映されているように思える。
後の作品にはユーモアもあるが、どこか諦観した姿勢は筆者のデビュー時から変わっていないのだろう。 -
葛西馨之助に、貝沼金吾が用があるので、家に来いと誘う。行くと、上役が並んでいた。不審に思っていると、その上役から出されたのは、中老・嶺岡兵庫の暗殺についての事だった。
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特に印象に残ったのは「ただ一撃」
藩の面目のために老剣士が剣を取り、修行に出る。好好爺だった老人はギラギラした本能を取り戻し試合に臨む。
好好爺が実はすごい!という設定は池波正太郎の剣客商売の秋山小兵衛とにているがただ一撃は凄みがあって、心に残った。 -
藤沢周平さんのこの初期短編作品には圧倒されます。発表順に言えば1.「溟い海」2.「囮」3.「黒い縄」と次々と直木賞候補になるのが続き、4.「暗殺の年輪」でついに直木賞というラインアップ。言い方は悪いけど、こういう手練れないまえの力のこもった作品がいい、好きですね。
収録順に
「黒い縄」
若くして夫に先立たれたり、事情で離婚したばかりの女性は、何故か男性の目に留まるような魅力をかもすらしいのです。そんな女性は男性を相談相手にしてはいけない、まして憎からず思っている相手にはですねえ。決して幸せな結果にはならないんですから、という見本みたいな一遍。しかもどんでん返しミステリー。
「暗殺の年輪」
「海坂藩」発祥の地もとい発祥の譚。武士のおきてに逆らえない苦しみと瀬戸際の解放。
「ただ一撃」
わたくしが藤沢周平さんの作品をいいなあと思ったきっかけは、『三屋清左衛門残日禄』もう30年近く前の話です。まさしくこの短編が発展したものと思ってしまいますね。
「溟い海」
葛飾北斎の晩年の芸術的苦しみによせて、作家自身の模索がわかるような気がして痛ましい。でもこれらの短編によって世に出たのであるから。
「囮」
殺人犯人が逃亡中に別れた恋人に会うだろうと張り込む岡っ引の手下。江戸時代の下っ引を刑事に変えれば、ちょっと松本清張さんの短編「張り込み」を思い出すが、ひとひねりもふたひねりも奥深い。
感想にも力がこもってしまいます。山本周五郎とはまた微妙に違った文章のうまさと筋立て。作家にとってここからというこの短編集は読者にとっても重要なのです。早く読めばよかった。 -
初藤沢作品。面白かった。
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安定の面白さ。 初期の作品で内容が少しシビアでほっこりするような感じはないがそれはそれでいい。 常に短編物を持ち歩いて少し時間が空いた時に読むには最適。
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情景描写の鬼や
著者プロフィール
藤沢周平の作品

最初の嫁さんが癌で亡くなり、
やっとその衝撃から立ち直りかけているころ。
その衝撃を消化しつつあった頃。
最初の嫁さんが癌で亡くなり、
やっとその衝撃から立ち直りかけているころ。
その衝撃を消化しつつあった頃。
そうなんですね
娘さんはまだ1歳になっていなかったようですね
会社員で母親をみながら子育て
大変だったろうなと
藤沢周平さん...
そうなんですね
娘さんはまだ1歳になっていなかったようですね
会社員で母親をみながら子育て
大変だったろうなと
藤沢周平さんの小説に出てくる女性たちが
ちょっと苦労していて
ちょっと艶っぽい
藤沢周平さんもネンイチ読者の一人です