- 文藝春秋 (2013年7月10日発売)
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感想 : 28件
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167192587
作品紹介・あらすじ
老いを感じる男の人生の陰影を描いた傑作長篇
心が通わない妻と放蕩息子の間で人生の空しさと焦りを感じる紙屋新兵衛が、薄幸の人妻おこうに想いを寄せ、深い闇に落ちていく。
みんなの感想まとめ
人生の空虚感と人間関係のもつれを描いた物語が展開され、主人公は商売一筋で生きてきたが、老いを感じる中で孤独に悩む姿が印象的です。彼は、心が通わない妻や放蕩息子との関係に苦しみ、薄幸の人妻おこうとの禁断...
感想・レビュー・書評
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主人公は、仲買から身を起こし、紙問屋の株を買い取り、今の地位を築いた46歳の小野野新兵衛。現代の年齢でいえば、50代後半だろう。
必死に商売に明け暮れてきたが、仲間内との酒の席で、ふと己の歳を顧み、「年をとるってことは、さびしいことなんだよ。そうじゃないか」と、語る。
相方は、「あんた、しあわせなんだよ。目ざしたことをやりとげたから、さびしいというのは、そういう男の気持ちのぜいたくというものじゃないかね」と、諭す。
しかし、新兵衛のその心に芽生えた空虚感が、彼を思わぬ方向へと導いてしまう。
別の紙問屋の人妻おこうとの、今でいうダブル不倫の世界へ。
さらに、問屋世話役たちの謀と、新兵衛を狙い撃ちしたかのような取引先への割り込み。
そんな新兵衛に、人の心を不安に誘い、遠く威嚇するような海鳴りの音が。
お仕事小説と恋愛小説とを掛け合わせたような時代小説。
ワイドショーなどの格好の話題となる現代と違い、不義密通は死罪という時代、新兵衛とおこうとの関係はどうなるのか、ハラハラドキドキしながら、彼らを見守ることになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
共感する人が多い(自分もその一人)のも藤沢周平の腕前なのだろう。
老いつつある男の悲哀も、道ならね恋の行方も引き込まれるが、紙問屋のせめぎあいがビジネス小説っぽくもあり、ミステリ要素もある。
盛り沢山で面白かった。下巻も楽しみだ。 -
2025/9/21
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40代後半、心も体も衰えを自覚し始める歳。
江戸の紙を商う商人の男性。仕事一途に行きてきたが、気がつけば妻とも後継ぎの息子とも心は離れ、何のために生きてきたか不安になる。
そんな中、寄合の帰り具合が悪くなった同業者の妻を介抱したことから、恐喝されまた仕事において濡れ衣を着せられ追い詰められていく。
松本清張のミステリーにも似た、容赦ない八方ふさがりな展開で上巻は終わる。
下巻で主人公は救われるのか?
今後の展開に期待。 -
感想は下巻と合わせて↓
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江戸物、好きになった。
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人間の心情は今も昔も変わらないところがあるんだなあ。
時代背景はかなり違うのに、共感してしまう。 -
40代後半(この時代だと今の50代くらいでしょうか)の男性の仕事の悩み・家庭の不和、そして不倫…
時代は違えども人って同じようなことで苦悩しているんでしょうね。
終始嫌な予感しかしない上巻です…
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そう明るい話ではないけれども、読みはじめたら止まらない。
淡々としているようで、しかし常にどこか波瀾を感じさせ、次のページをめくらずにはいられない。 -
感想は下巻。
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休日の夜に読む。気持ちのアップダウンをそのまま楽しむ☺️
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内容(「BOOK」データベースより)
はじめて白髪を見つけたのは、いくつの時だったろう。四十の坂を越え、老いを意識し始めた紙商・小野屋新兵衛は、漠然とした焦りから逃れるように身を粉にして働き、商いを広げていく。だが妻とは心通じず、跡取り息子は放蕩、家は闇のように冷えていた。やがて薄幸の人妻おこうに、果たせぬ想いを寄せていく。世話物の名品。 -
一代で築き上げた紙問屋の主人の老いと忍び寄る不穏な影が丁寧に描かれている。妻との不仲、その原因を作った元の妾とのやりとり、不肖の息子の放蕩、ふとした事で出会った同業者の妻への密やかな思い...人生折り返しを過ぎた自分にも大なり小なり重なる状況が重かった。でも気になって先を読まずにはいられません...
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「おこうと結ばれることを絶えず夢み、そのためなら家も妻子も捨てて悔いることがあるものかと思うのも事実だった」
半生を生きた男のゆらぎ。いまなら、熟年の危機とでも言うのだろうか。20数年前に流行った渡辺淳一の『失楽園』もこんな感じだったか??
物語は、心通わむ妻と放蕩息子の跡取りを持つ紙商人・小野屋新兵衛が主人公。
半生を生き、あとは老い果てるだけなのかとの思いを持つ新兵衛は、やがて薄幸の人妻、丸子屋の女将おこうに果せぬ想いを持つようになる。 -
名文を楽しめ!
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小野屋新兵衛さんは私に似た環境に生きていて衝撃的だった。その後の2人の行方が気になる。
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黄昏流星群のようで憧れである
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商売上の苦労、家庭内の気苦労、人妻にふと安らぎを求めた後ろめたさ。そして老いの自覚。海鳴りのような恐怖が覆い被さってくる。2016.4.17
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40歳。夫婦。息子。『洋子さんの本棚』にて。
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小野屋新兵衛語録。「あとは老いと死を迎えるだけかと思ったとき、それまで見たこともない、荒涼とした景色を見てしまったのである。」「顔や姿は美しくとも、心の冷えや尖りが伝わって来たり、高慢だったりする女もたくさんいるものだが、この人はそうではない。ごく控えめでいながら、そばにいると気持ちが休まるようなところがある。」「平塚を過ぎて羽鳥村あたりに来たころから、雨交じりの強い風に打たれ、ほうほうの体で藤沢宿に駆け込んだのだった。新兵衛はその時の海鳴りの音を思い出している。」
著者プロフィール
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