ある補佐役の生涯 豊臣秀長 下 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167193157

感想・レビュー・書評

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  • 元上司が紹介していたのと、他の書評でも紹介されているのをみて、「こんなに紹介されるならおもしろいにちがいない」ということで、日本史に疎くて歴史小説は苦手なほうなんですが、読んでみました。実際に読んだのは「全一冊」のほうだったんですが、元上司の登録がこっちだったので、こっちで登録してます。
    とても楽しかったです。日本史に詳しい人は「そんなのあたりまえやん」というようなことでも、疎い私は「そうだったのか」と驚くようなことが多かったです。秀長の存在もこの本で初めて知ったくらいですから。
    戦国時代の話でも、やはり人間がすることだから、現代の人間関係などにも通ずるんですね。そういう、いろんな教訓がちりばめられていて、仕事をするうえでの心構えをすこし引き締められた気がしました。堺屋太一は昔のひと、と勝手に思い込んでいましたが、目を覚まさせられました。
    図書館で借りて大急ぎで読んだのですが、これは買って、線でも引きながらじっくり読んだ方がいい小説でしたね。そして、折に触れてぱらぱらと読み返して刺激を受けることもできそう。とはいえ、すでに通読してしまった今となっては、また購入してまっさらな状態から再読することもないでしょう。貧乏性が災いしました。【2019年10月6日読了】

  • 今年お亡くなりになった堺屋太一さんは、万博など数々のプロジェクトを提唱、実現されたほか、「団塊の世代」や「巨人、大鵬、卵焼き」など時代を的確に切り取る言葉を紡いだ方でした。
    加えて、時代に埋もれ誤解されている人物を現代的な視点で解釈しなおし、歴史小説として物することも得意とされました。

    本書は、天下人秀吉を内から支えた実弟小一郎秀長を、組織に不可欠の補佐役として再評価された、堺屋さんの代表作です。

    主君信長の苛烈なまでの実力主義への適応力と持ち前の積極性で、異例の出世を続ける秀吉。急速拡大する家臣団は様々な出自で構成され、もめ事が絶えなかったといいます。
    それを持ち前の寛容と抜群の調整力でまとめあげ、裏方として兄を支えたのが補佐役秀長だった、というのが堺屋さんの見立てです。

    武勇の士や、知謀を謳われる参謀ではない。
    メンバーのモチベーションを保ち、組織をさらなる成長へ向かわせるためには、こうした目立たない機能が必要だと見抜かれ、秀長の姿を通して鮮やかに描かれています。

    実際に組織の中で働いている者にとっては非常に納得できる指摘で、堺屋さんご自身、万博事務局という寄せ集め集団、ともすればバラバラになり勝ちな組織をまとめてプロジェクトを成功に導いた体験の成せる技でしょう。

    もうひとつ本書のユニークな点は、戦争を資金調達面から分析していること。
    一般に、信長への豪勢な贈り物や、備中高松城の水攻めで大量の土嚢を高額で買い集めたエピソードは、秀吉の豪気さとして語られることが常です。
    しかし筆者は、軍事行動に必要となる経費を積算し、実際の秀吉軍団は火の車で、信長の厳しいノルマ達成のため借金に借金を重ねていたこと、それ故さらなる成長を求めざるを得なかったことを喝破します。(こうした資金調達-出世競争に、織田家中の軍団長はさらされていて、そのことが結果として荒木村重や明智光秀を生んだとも推察されています)
    元経済官僚らしい算盤勘定と言えましょう。

    生前、一度だけ堺屋さんにお目にかかる機会に恵まれました。すでにご高齢でしたが、話し始められると、惜しげもなく深い知見をいきいきと語っていただきました。
    今でも忘れ得ない大切な思い出です。

  • 大河ドラマで竹中直人が主人公を演じた秀吉の原作ということで読んだ。脇役に徹する秀長。自分の働き場を理解して、上司である兄を立て、組織の拡大をサポートする人間性は日本人の美学にあう。

  • これで終わり?という感想です。
    秀吉が天下人となってからの、秀長の様子が知りたかった。

    途中何回も、同じ説明箇所があり、くどく感じました。

  • H28.5.28-H28.6.16

    (あらすじ)
    足軽から身を起こした秀吉は祖父伝来の領地もなければ親族も少なく、将から兵にいたるまでその人材に乏しくていつも寄り合い所帯だった。秀長は人柄もよく、様々な実務に抜群の才があったばかりではなく、いくさでも負けを知らなかった。兄の大胆さを補うに弟の手堅さ、秀吉の成功はこの人なくしてはありえなかった。

    (感想)
    この物語の結末は、主君信長が本能寺の変で急死した後、後継者争いで秀吉と勝家が雌雄を決した賤ヶ岳の戦いで幕を下ろす。
    あれ?秀長が死ぬまでやらないの?
    その後、秀長が死ぬまでの歴史は、「あとがき」として、ダイジェストで語られます。
    不思議な終わり方でした。
    そこは正直不満でしたが、面白かったですよ。

  • 【あらすじ】
    豊臣秀吉の弟の秀長の話。
    本能寺の変と秀吉の天下統一がメイン。

    【感想】
    補佐役の重要性を説いているのだが、実際秀長が優秀すぎて補佐役以前にこのレベルの人を捕まえることができないのではないかと思った。
    また、補佐役が生まれるには主君との関係性が非常に重要であり、主君は補佐役を感心させるだけの何かがないといけないのだとも感じた。
    現代の競争社会との対比が面白いので、全体としてはおすすめです。

  • 成功するにはそれを支える良い人間が必要で、秀長なしでは秀吉は足軽から天下人にはなれなかっただろう。徹底して兄を支え決して野心を抱かなかった。また野心があると疑わせないように常に心掛けた。
    会社で言えばよい従業員がいること、家庭では良い配偶者がいること、社会では良い友人や知人がいること・・なかなか難しい。秀長のように変わらない心を持ち続けることが難しい。

  • 読了。補佐役の教科書ですね。さらっと読めて楽しめる一冊。

  • 豊臣秀吉を支えた功績をほとんど語られていないが、実際の存在感は凄かっただろうと思う。大友宗麟に『公のことは、この小一郎に申されよ。』という言葉に凝縮されている。小説は賤ヶ岳の戦いで終わっているが、その後ももっと知りたいと思った。豊臣秀長公亡き後の豊臣家は確かに下降局面に入り、滅亡してしまった。豊臣秀長公の存在感はやはり凄いものがある。

  • 秀吉の信長士官から天下取りまでの軌跡を弟・秀長の目線で辿った歴史小説。様々な局面で秀吉の良き補佐役として支え、豊臣家の外的発展と内的調整に多大な功績を残した。偉大なナンバー2として主君を支え続けた秀長は日本史上稀にみる存在で、現代社会においても最も望まれる人材と称される。

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著者プロフィール

1935年,大阪生まれ。東京大学経済学部卒業後,通産省に勤務。日本万国博,沖縄海洋博などを手がける。1978年退官,執筆評論活動に入る。著書に『油断!』『団塊の世代』『知価革命』『組織の盛衰』『平成三十年』『東大講義録』などのほか,『峠の群像』『豊臣秀長』『俯き加減の男の肖像』『秀吉』などの歴史小説がある。経済企画庁長官,内閣特別顧問などを歴任,現在東京大学先端科学技術研究センター客員教授,早稲田大学大学院客員教授。

「2018年 『東大講義録――文明を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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