団塊の世代 〈新版〉 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167193201

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、1947年から49年に生まれた「団塊の世代」の4人を主人公にして、80年代前半、80年代後半、90年代中葉、2000年の4つの時代を描いた予測小説である。
    この予測小説というのは、精密な事実分析の中に「ありうるべき事件 ― テーマ・マター」を挿入した場合、どんな状態が起るかを可能な限り正確に予測し、具体的な人間ドラマ(つまり小説)で表現したものです。


    第1話(80年代前半)は、コンビニ経営に乗り出した会社の社長室企画課長が主人公で、最終的にコンビニの店長となって不貞腐れる会社人間の悲哀というものを感じる話。
    第2話(80年代後半)は、若干落ち目の自動車会社の総務課付課長が主人公で、工場移転に伴い団塊の世代が集団心理的に動くものの社内政治に翻弄される話。
    第3話(90年代)は、大手銀行に務める銀行員が主人公で、団塊の世代の過剰に伴いデパートの営業に短期出向を命じられる。そういう不安から家が買えないという状況が描かれている話。
    第4話(2000年)は、総理府参事官が主人公で、経済状況の悪化に伴う年金問題の発現をテーマにしている話。

    実際これらの年代を過ぎ去った今見てみると、社会情勢の大まなか流れとして予測通りの部分が多いという点に驚く。

  • すっかり定着した「団塊」の元ネタ。

  • 本の存在はもちろん知っていたが読んだことはなかった。お気に入りの古本屋さんで見つけ購入100円。まさしく我らが世代、団塊の世代。35年前に書かれたという事に驚く。
    35年前に読んでたら今ほどの感慨は無かっただろう。毎日が日曜日のわが身だからこそつくづく思う。「その通り!」

  • いま読んでも全く違和感がない。これを1975年に著したというのは驚き。団塊の世代という人口の塊の加齢が、時々の経済動向に大きな影響を与えるという主張は、「デフレの正体」にも影響したか?「デフレの正体」も再読したい。

  • 【読書その53】「団塊の世代」という言葉の生みの親である、堺屋太一氏の著書。。物語は4話で、80年代前半、80代後半、90年代中葉、2000年で、主人公は全て団塊世代。1つの世代の各年代における未来を予測した小説。1975年の夏から翌76年春にかけての1年間に書かれたものであるが、信じられないほど、将来を当てており、衝撃。

  • たしか中学生の頃に読んだ。

  • 著者:堺屋太一 は予言者なのではないか!
    80ページ余りの一章を読み終わった段階でそう感じた。
    これは一風変わった小説で、予測小説という形式をとっている。
    SFとは何が違うか?「科学っぽい空想」ではなく、「データに基づいた予測」なのだ。

    著者はある1点を除いては、見事に現在の日本の状況を言い当てている。1976年(36年前)に著された本とはとても思えなかったのはその為だ。

    ・終身雇用/年功序列の崩壊
    ・これまでのキャリアとは全く異なる仕事に従事させられ、
     最後には転籍させられることになる中間管理職の悲哀
    ・管理職ポストが詰まることにより、部下なし管理職の爆発的増加
    ・恵まれているはずの大企業の中間管理職なのに、
     否、それだからこそ感じてしまうような会社に対する閉塞感
    ・社会の「中年化」による消費トレンドの変化
    ・「老人」対策が政策の中心に据えられる社会

    上記の全ての事柄は、バブル崩壊以降の日本企業社会の実像である。
    人口ボリュームの推移を中心に研究するだけで、ここまでの予測をした
    著者の才能には驚くしかない。


    だが、ただひとつ予測できなかったものがある。それがデフレだ。
    1976年当時は「デフレーション」という概念自体存在していなかったはずなので仕方ない。物価は上がるものという前提で書かれているため、最終章だけは現在の日本社会とはややズレたパラレルワールドが描かれている。

    <引用>
    ”今の年金の水準は低すぎる。年とった父母、この国を築き育てるために働いてきた 先輩たちを養うのは民族として、国民の義務なんだから、苦しくても貧しいものを分け合っていくことが必要だよ。物価が上がり給与が上がるんなら、せめて同じくらいは年金を引き上げるべきだよ。”

    →言うまでもなく、今の日本は正反対の状況。
      物価・給与は下がるのに、政府は年金を減額しない(できない?)


    しかしながら、デフレ社会が想定されていないにもかかわらず、最終章は見事に締めくくられている。

    "…今の老人が功労者ですかねえ…" "僕らはむしろ(団塊の世代は)責任者だと思いますよ。 あの高度成長時代、いやそれに続く70年代・80年代の、まだ日本に活力のあった頃を無為無策に過ごしてきた事の…"

    →年金や世代間格差が問題にされたのはここ7・8年ほど前のこと。
     世代間の軋轢にまで想像力を働かせた著者の構想力には脱帽せざるをえない。


    私はこれまで著者の本を読んだことがなかったが、この本で一気に堺屋ワールドに引き込まれてしまった。続編的位置づけ(?)の「平成三十年」を手始めに他の本も読んでいこうと思う。

  • 「僕たちはむしろ(功労者でなく)責任者だと思いますよ。あの高度経済成長時代、いやそれに続く70年代・80年代の、まだまだ日本に力があった頃を無為無策に過ごしてきたことの・・・」

    働いた分だけ報われる時代は終焉を迎え、永続成長の幻想も崩れ去った。
    全員に出世が保障されている時代ではもはや無い。
    そりゃあ個人の価値観が多様化してニートが増えるのも無理はないだろうな。

    「団塊の世代」という言葉は本著が発祥。
    予測小説なのが凄い、ほとんどが的中している。

  • 戦後直後に産まれたベビーブーマー世代を示す「団塊」の語源となった小説の新版。もともと1976年11月!に刊行され、4話からなる物語はいずれも団塊の世代に属する登場人物が主人公で、舞台は80年代前半、80年代後半、90年代、2000年と進む。著者の開発した予測小説で精密な事実分析を基に未来を描写しており、2011年の今振り返っても当時の予測はことごとく当たっている。

    1947年から49年にかけての3年間で生まれた日本人はその直前よりも20%、直後よりも26%も多く、この巨大な人口の塊が日本経済、文化の中心となって高度成長を支えてきた。成長の功労者でもあり、膨れ上がる中間管理職が引き起こしたバブルの責任者でもあると本書では指摘している。

  • 12/26
    ・1980年に観光されたものを加筆した新版
     単行本1976年 講談社刊

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著者プロフィール

1935年,大阪生まれ。東京大学経済学部卒業後,通産省に勤務。日本万国博,沖縄海洋博などを手がける。1978年退官,執筆評論活動に入る。著書に『油断!』『団塊の世代』『知価革命』『組織の盛衰』『平成三十年』『東大講義録』などのほか,『峠の群像』『豊臣秀長』『俯き加減の男の肖像』『秀吉』などの歴史小説がある。経済企画庁長官,内閣特別顧問などを歴任,現在東京大学先端科学技術研究センター客員教授,早稲田大学大学院客員教授。

「2018年 『東大講義録――文明を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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