- 文藝春秋 (1978年10月7日発売)
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感想 : 31件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167200039
作品紹介・あらすじ
辺境であった東国にひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵、それはまたたくまに関東の野をおおい、鎌倉幕府が成立した。武士たちの情熱と野望を激しく描く直木賞受賞作。(進藤純孝)
みんなの感想まとめ
歴史の渦中で繰り広げられる人間ドラマが魅力の作品で、鎌倉時代の武士たちの情熱や野望が生き生きと描かれています。読みやすい文体が特徴で、歴史に興味がなかった読者でもスムーズに物語に引き込まれる様子が伺え...
感想・レビュー・書評
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私にしてはめずらしく、あっという間に読んでしまいました。鎌倉時代は興味がなく、以前やった大河ドラマも全然見てませんでしたが、読みやすくて、分かりやすかった。
話が進むにつれ増す保子の不気味さや政子との関係、頼りなく思われていた義時の変わっていく様は面白かった。全成の野心が静かに盛り上がって潰える様や、梶原景時の行動の裏側にある考えや感情も、共感は出来ないけど、きっと動乱の世の中にはこんな個人的社会的野心に動かされた行動を起こす人がいるのだろう、と感じました。
今の日本には程遠い世界だけれども、永井先生は戦争を経験している。梶原景時などは、天皇を担いで戦争に突き進んだ軍部を思わせるし、保子などは戦時の不穏さ、疑心暗鬼を感じさせる気もする。義時は…怖さは保子に匹敵する、軍国少年か。全成は日本の戦争そのものだ。
なんて、ちょっと読み方がへんでしょうか。
とにかく、鎌倉にも興味が出てきました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大河ドラマを見てから読んだので、すっと内容が入ってきた。鎌倉時代は男の時代というイメージがあったけれど、なかなか女も裏で暗躍する時代だった。本書の政子には悪女というより、周りに虐げられる女の子だった。
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昔から永井路子さんの描かれる世界が大好きです。
特に今年は、大河ドラマで同じ時代が放送されているので、わかりやすい!
今はのほほん?としている義時も、血なまぐさい戦いに巻き込まれていくんでしょうね…。
源氏、人を殺しすぎです。
対して頼朝を救った平家は滅びたけど、女系をたどると今に続くんですよね。幕府を作って成功したと思われる頼朝は公式には子孫がいません。いったいどちらがいいのか。 -
鎌倉幕府成立前夜から承久の乱までの悲喜交々。北条政子の妹、保子の描写が秀逸。権力を掴む者は、権力を掴んでから権力者になるんだねえ。
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源頼朝が創った鎌倉幕府を話の中心とし、それに関わった全成、梶原景時、保子、北条義時、一人一人の視点から見た歴史の側面。
1192作ろう鎌倉幕府・・・というワンフレーズに何人もの人々の一生が含まれているのだと今更ながら感じた。昔は歴史に興味など無かったのにねぇ。年を喰うと嗜好が変わるのかしらん。 -
鎌倉幕府草創期を、異なる人物を主人公にした小品の連作としてまとめることによって、複眼的に異なる見方を提示している。俯瞰的に物事を見るのが好きな人には面白く読めるだろう。一人に感情移入したい場合は散漫に感じるかもしれない。
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これは凄いの一言。女性にしか書けない女性というのはこういうことかなあと思いながらも、思慮深い男性もきちんと描けているというのが、脱帽。
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父上の書籍を読破しようシリーズ1冊目。
普段読む本よりはるかに小難しい系だが、何とか読めた。
この炎環という本は、源家の人間の話だった。
短編集のような、長編のような。まず似たような名前が多いから主人公が誰なのやら覚える事から。
人が覚えられず、内容があまり頭に入らなかったが、権力争いの話だったような気がする。
そのころの武家はこんな風に争いばかりしていたのだろうか。
「いもうと」はおもしろかった。女って怖い。 -
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鎌倉幕府初期、頼朝から実朝までの時代を4つの短編で浮き彫りにする歴史小説集。
頼朝の異母弟:全成(常磐腹の今若)を主人公とした「悪禅師」。
梶原景時を主役とした「黒雪賦」。
頼朝の正室:政子とその妹:保子(全成の正室)を中心に将軍家の人間模様を描いた「いもうと」。
そして、北条家の視点で描かれた「覇樹」。
全部を読むとそれぞれがそれぞれの立場で鎌倉幕府を幹のあるものとするために行動していたことがわかる。
…んだけど。
要は頼朝くんがダメだったってことかな?
歴史に名を刻んだ王者が王者たることができたのは、そのまわりをそれなりの人が支えていたからだよね。
そして、王者や偉人と呼ばれる人がけして100%エライわけじゃないってこと。
歴史小説は作者の1つの解釈だけど、いろいろ読むとためになるなぁ! -
炎環 (文春文庫 な 2-3)
四作品の短編作品から作られていて各々の方面の視点から見ることが出来て、あっという間に読み終えてしまった。阿野全成・梶原景時・北条保子・北条四郎 -
女性が描いた鎌倉幕府初期の大河小説。
最後のあとがきのように全ての登場人物は、自分が主人公だと思って行動するうちに歴史が出来上がっていく。その感じが非常によく描かれている。
でも、4つの短編全ての主人公が、あまりにも人間性に欠ける気がする。偉人とはこんなものなのかな? -
炎環。ものすごく楽しみにしていました。直木賞受賞作。歴史の表舞台にはなかなか出てこない四人の視点から、全盛期の鎌倉幕府を記した短編集。
登場人物は 阿野全成。梶原景時。北条保子。北条義時。
「この四編はそれぞれ長編の一章でもなく、独立した短編でもありません」と著者はあとがきで触れています。登場人物ひとりひとりが主役のつもりで行動した結果として、誰もが予想しなかった方向に歴史が流れていく。。人間個々の存在の儚さや意志の虚しさを感じさせてくれる、壮大なスケールの作品でした。
「悪禅師」に出てくる義経が印象的でした。いかにも政治闘争に無頓着で人懐っこく、兄の寵を頼んで無邪気に張り切る小冠者。これが私の中ですっかり義経像として定着してしまったようです。でも主人公はあくまで全成。一ノ谷も壇ノ浦も、義経の活躍を内心苦々しく見ている鎌倉の頼朝と全成の描写に始終しています。
頼朝亡き後の全成の暗躍。しかしそれが実を結ばす、頼家にあっさり殺されてしまうまでを読めるのも、マイナーな人物に焦点をあてた「炎環」ならでは。幕府権力を安定させる為に、政治的手腕を遺憾なく発揮して頼朝を支えた梶原景時。彼が任官を受けた義経を叱責する件も圧巻です。
頼家の子公暁が、保子が乳母として養育した実朝を殺す件は、全成亡き後の保子の視点で描かれています。そして嫡流の男児が軒並み殺されてしまったあとで北条義時の台頭。四つの物語が同じシーンを描きながらも重複せず、密接に関係しながらも少しずつずれている距離感は本当に見事です。 -
再読済み。4編の短編集のようでいて、全体でひとつのテーマをなすところは、孟夏の太陽のようであり、全ては、義時を述べるためのようでもある。再読してよかった。
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保子こわいよ保子。牧の方みたいなのはよく見かけるけれど、保子さんの様なタイプはそれと気付けず接してしまいそうで、その女子力の高さに敬服致します。唆して手を汚さず、存在を悟らせない点では全成さんの生き方に一番憧れます。四郎さんは勝ち組ですが、荒事も手掛けていますからね、ただ最後の「上皇こそ御謀反遊ばされたのだ」は鳥肌だつほど格好良かったです。
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文字通り頼朝をめぐる環の話。4話構成。のっけの政子しゃんの妹夫婦と大トリの政子しゃんの弟・四郎義時がとんでもねえ伏兵でござった。面白かった!
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頼朝の周りの人々が主人公の連作(?)なのですが、読むうちに頼朝の姿、あの時代の魔物の姿が露になっていくようで、とても面白かった!
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「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25
p311 ¥400 C0193 (2005.02.09読了)(2001.04.29購入)
「悪禅師」「黒雪賦」「いもうと」「覇樹」の4つの作品が収められている。いずれも源頼朝を取り巻く人々が主人公になっている。
●「悪禅師」
「悪禅師」の主人公は、頼朝の異母弟、今若(常磐の生んだ3兄弟、今若、乙若、牛若の一番上の兄)。頼朝の旗揚げを聞いて、預けられていた京の醍醐寺を抜けて、駆けつけた。
僧の名前は、全成(ぜんじょう)。当時28歳。頼朝は34歳。
司馬遼太郎の「義経」では、範頼と義経は出てきたが、全成については述べていなかったように思う。頼朝の傍には、他人の北条一族や大野広元、梶原景時がいて、身内は誰もいなかったと思っていたのだが、そうではなく、全成がいた。
頼朝は、北条政子の妹の保子を娶らせている。
全成は、頼朝の傍で、目立たぬように、支えたようだ。
全成にも野心がないわけではなく、頼朝の次男の乳母に保子を推挙し、養育し、時期を待った。ところが、長男頼家に対する謀反を企てたとして、殺害されてしまう。
頼朝亡き後の権力を目指したがならなかった。
●「黒雪賦」
「黒雪賦」の主人公は、梶原景時。義経にとっては天敵みたいな人で、悪役、憎まれ役と言ったイメージの人だ。
この小説では、頼朝の望んでいることを読み、頼朝に代わって実行すると言う形で、書かれている。
●「いもうと」
主人公は、北条政子の妹、保子。第一話の全成の妻でもあるので、永井さんは、余程、頼朝の弟夫婦が気に入ったようだ。(物語の題材として)
司馬遼太郎の「義経」では、義経にはたいした家来もいないと表現しているが、永井路子は、全成について「頼朝の前に現れて以来、有能な側近として目を掛けられてはいるものの、その実は全くの素手で修業地を抜け出した半還俗の青年層に過ぎない。この点、全成より一足遅れて奥州から駆けつけた九郎義経が、ともかく伊勢三郎や武蔵坊と言うような子飼いや、奥州藤原氏の息のかかった佐藤兄弟などを引き連れてきたのに比べても、より無力な存在でしかなかった。」と述べている。
木曾義仲の嫡男、義高と大姫の恋物語も取り上げられている。父義仲の人質として鎌倉に預けられるのだが、義仲は平家を破って、京に入ったのだが、後白河の頼朝に対する木曾追討の命令により義仲は頼朝の派遣した範頼・義経の軍により殺されてしまう。これに伴い、義高も殺されてしまう。仲良しの大姫の恋は破れ、7歳から10年うつろに過ごし死んでしまったと言う。
●「覇樹」
主人公は、北条四郎義時。頼朝の後、北条政権を築いたのはこの人と言うことになる。
☆関連図書(既読)
「義経(上)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
「義経(下)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
●永井路子の本(読了)
「銀の館」上・下、永井 路子著、文春文庫、1983.12.25
「山霧」上・下、永井 路子著、文春文庫、1995.11.10
「姫の戦国」永井 路子著、日本経済新聞・夕刊連載、1992.08.10-1993.11.13
著者 永井 路子
1925年 東京生まれ
東京女子大学国語専攻部卒業
1964年 「炎環」で第52回直木賞受賞
1982年 「氷輪」で女流文学賞受賞
1984年 第32回菊池寛賞受賞
1988年 「風と雲と」で吉川英治文学賞受賞
著者プロフィール
永井路子の作品
