つわものの賦 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1983年1月1日発売)
3.85
  • (7)
  • (5)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 74
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167200121

みんなの感想まとめ

鎌倉時代を深く掘り下げた作品で、歴史的背景や人々の行動様式を豊かに描写しています。著者が利用した「吾妻鏡」や「愚管抄」などの歴史書を基に、一般読者にも理解しやすい形で解説されているため、歴史に興味があ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 治承4年8月(1180)から承久の変(1221)までを11章に分け、東国武士たちを考察。あとがきで永井氏は、これは小説ではなく、しかし歴史書のつもりはさらさらなく、文筆家の書いた人物評伝にあたるか、しかし対象は1人の人物ではなく、いってみれば歴史そのものを対象にしたものだ、という。

    先に本郷和人氏の本を読んで、鎌倉時代は東国武士団の話なのだ、とあったが、永井氏も鎌倉時代は、頼朝個人の行動としてではなく、東国武士団の行動として捉えたとき、はじめて鎌倉時代の歴史的意義が明確になるのではないか、と言っている。

    物書きとして歴史に対するアプローチは様々の形があるが、先に書いた「相模のもののふたち」を東国武士団の列伝とすると、これはその総論編にあたるという。

    「炎環」(1962年)、初めての新聞小説「北条政子」を書いてから10年以上たち、「吾妻鏡」はぼろぼろになるまで読み、他の史料もかなりあたっているようだ。氏の鎌倉時代を扱った一連の小説の原点であり帰結であるという。

    小説ではない、といっているとおり、あまり読みやすくはないが、氏の人物、歴史の流れの考えがわかる。

    1978.9.15第1刷 図書館

  • 鎌倉時代。非常に秀逸です。
    永井路子の本はほぼ読破しています。最も好きな時代作家。残念ながら手元に残っていない本を「読みたい」カテゴリ登録してるけど、かつて一度は読んだ(笑)。

  • つわものの賦
    源頼朝、頼家、実朝の時代 「吾妻鏡」などの裏読みなどもあり、源鎌倉時代を知る上では読んでおきたい一冊。

  •  『鎌倉時代に対する一つの決算書』と著者自らが記す本書。
     一つの時代そのものを対象とする史伝・評伝形式で綴られる、集団としての東国武士団の実相。
     “日本に真の変革の時代とよべるものがあったとしたら、この時代を措いてないのではないか”との確信により、『くに』たる東国国家の内情と質、多角的な位置付け、歴史的意義がじっくりと描かれ抜く総論は見物(みもの)の一言。
     幻想めいた偏見や感傷的なドラマ性を冷静に一つずつ排し、複数の史書を照合して検討し注釈を加えながら史実を解(ほぐ)す手法は細部まで丁寧に行き届いており、登場人物は多くとも然程混乱せずに附いていける。
     何より組織という動力が内部から生み出される不思議と、そこに時代が噛み合って発露する人間のエネルギーの凄さにひたすら驚嘆する。
     矛盾や問題点、歯切れの悪さを引き摺りつつも、確かに時間は流れ、歴史は動くものなのだと深い感慨に浸ってしまう。

  • 鎌倉時代について、一般向けに書かれた本は、昔はそれほど多くなかった気がします。鎌倉時代の意義、その背景にいた人々の行動様式などを吾妻鏡、愚管抄などの歴史書を元に解説しています。

    この本のおかげで、高校入学のプレゼントは吾妻鏡になりました。

  • 東国武士が頼朝を頭として幕府を開き,北条がそれにとって代わるまでの時代背景を描写。吾妻鏡での記述を中心にその時代の出来事を表面だけでなく,小説家らしく,それを起した人間性,地域性なども交えて解説している。

  • 「鎌倉殿の十三人」の解説書として最適。

  • 面白いんです。内容がドンドン頭に入ってきます。だって、ちょうど今の大河と重なるから。
    これからの大河が楽しみ。

  • 大渕朗先生(理工学部応用理数コース)ご推薦

     代表的な歴史小説家である永井路子の作品で「炎環」とか「北条政子」と言う歴史小説(両方とも徳島大学図書館にあります)も面白いのですが、この本は作者曰く「鎌倉時代を扱った一連の小説の原点でもあり帰結でもある」本で、非常に真面目な研究書の様相をも示す本です。こう言うと堅苦しい印象を持たれてしまうのですが、この「研究書」に描かれる人間の行動が実に生き生きしていて、小説以上に面白いのです。一流の書き手に掛かると堅苦しくなりそうな話題も素晴らしく面白い本になってしまうと言う事でしょう。
     本は全部で11章あって、どの章も興味深く、第4章の東国ピラミッドにある、源義経と源頼朝の兄弟不和の話は、歌舞伎の「勧進帳」や能の「安宅」で言われる様な単純な平家を滅ぼし手柄を上げた弟への兄の嫉妬と言った物ではなく東国武士団の組織としての存亡の問題であったとか、第6章の大天狗論(源頼朝が後白河法皇の事を日本一の大天狗と評した頼朝の藤原泰経への有名な手紙がある)に書かれている様に、鎌倉幕府が開かれた事で政権が徳川幕府の様に完全に武家の手に移ったと言い考え方(教科書を雑に読むとそう見えます)は乱暴な意見で、この時代の東国武士団と朝廷の微妙な関係がどの様な物だったかを丁寧に書いてくれています。また第11章の承久の変での北条義時の果たした役割等々面白い事この上無いです。歴史に興味が無いと言う理由だけで、これだけの面白い話を知らずに済ませたら勿体無いですよ。
     しかし何と言っても、この中で一番面白かったのは第10章「雪の日の惨劇」で三代将軍源実朝の右大臣拝賀の式での惨劇(二代将軍頼家の遺児公暁による実朝暗殺)の分析で、この事件は東国武士団内部の有力な御家人である三浦氏と北条氏の内々の争いが表面化した悲劇と言う捉え方で、小説「北条政子」に描かれる終わり方は将にこの分析に基づいています。
     何にしましても、これだけ歴史の流れの中での人の動きや考え方が見えてくる本はなかなかありません。「炎環」の永井路子によるあと書きにある「一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく」と言う言葉を本当に感じさせる本です。鎌倉時代と言う時代を、生きた人間の時代として我々に見せてくれる、とても優れた本だと思います。

  • 「北条政子」「炎環」を読んでから読みました。小説では、書かれなかった史実を知ることができました。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永井路子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×