長崎犯科帳 (文春文庫 な-2-30)

  • 文藝春秋 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167200305

感想・レビュー・書評

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  • 年に1度ほど犯罪実録物をかためてよむブームが訪れる。それが今で、その合間に読んだ歴史物がこれ。題名がこれなのは偶然で、この中に入っている青苔記が読みたくて手に取った。

    本は面白かった。筒井順慶の養子定次に12歳で嫁いだ明智光秀の娘の秀姫を主人公にした短編。あいかわらずうまい。
    「さなだ虫の生まれ変わりの信濃国司が、くるみ酒を飲んで溶けてしまった」という、今昔物語でも有名なあの話を書いたその名も「さなだ虫」もよかった。永井路子はずばりずばりと怜悧に合理的に切り込んでいく。読んでいてまことに気持ちがいい。

    私は歴史物が好きで、それはどうということもない趣味なのだけど、犯罪実録物が好きだというのは、どうも人様の前で公言していい趣味なのかどうかはばかられる。自分としては、趣味や興味としては同じ所に位置しているみたいで、犯罪実録も「昭和時代モノ」として読んでいる。だから、昭和20年台〜昭和50年台が好きで、平成に入るとあまり好きになれない。
    べつに言い訳をしているわけではないのだけど、結局これはどう違うんだ? と思う。
    境目が恣意的であることに、あらためて自分で自分に慄然とするのだ。

  •  簡素な事件簿の裏に、あるいは紐解けぬ謎の奥に、蠢く人間の絡み合いを描いた短編集。
     冷酷な思惑や非情な殺戮を取り上げても、妙にどぎつさが削がれるのは、筆者の冷徹な視線に感化される所為かもしれない。
     俗説への異論の数々は、『事実を如何に解釈するか』の複雑さと難解さを改めて思わせる。
     当時より信じられていないからこそ、説話として残ったという皮肉も、歴史を見る目を自省させる。
     中でも、史上の未解決事件と政界の流動を絡めた「応天門始末」や、権威への畏怖と葛藤を浮き彫りにした「下剋上」は出色。

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著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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