姫の戦国 上 (文春文庫 な 2-36)

著者 :
  • 文藝春秋
3.75
  • (16)
  • (18)
  • (29)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 165
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167200367

作品紹介・あらすじ

京の公家の娘悠姫は、駿河の今川氏親のもとに嫁ぐ。武家と公家の違い、激動する戦国の世にとまどいながらも、今川義元の母として時代を生き抜く女を描く、歴史長篇。(縄田一男)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 悠姬(作者取)出自中御門家,在三條西的仲介下嫁給氏親。

  • 今川義元の母寿桂尼が主人公の小説。京都で公家の家で育った悠姫。十七歳年上の今川氏親との縁談が決まり駿河に下向する悠姫。氏親は優しく接してくれてはいるが感情を余り表には出さない。氏親の母(北条早雲の妹)北川殿と氏親の間には悠姫も立ち入る事のできない関係があり嫁姑の確執も起こるが悠姫がお世継ぎを産み次第に関係も改善されていくが新たに氏親が他の女性たちとの間に子供がいる事が発覚する。氏親は後継者は悠姫の子供と言うが新たな火種の予感で上巻は終わる。

  • 今川義元の父に嫁いぎ、公家と武家の仲立ちとなった寿桂尼の話。後家ながら、初めて公式文書に印章を押した人物。

    私、この永井さんは好きだな。上手だと思う。今年の太平記と比べて、史実の少ない女性を確かに主役として据え、かつ退屈でないように武将である夫や息子を取り巻く情勢を上手く取り入れてくる。

    ただ、山霧の方が好き。夫婦の仲がいいから。こちらは、知らなかったけど義元の父、氏親が浮気が多かったので、そういう意味では楽しめず。

  • 今川氏親の妻であり、今川氏輝や今川義元の母である寿桂尼について描かれています。

    今川氏親亡き後、出家して、寿桂尼として今川氏輝の後見をしながら政治をしきったり、と寿桂尼の立場から、今川三代のことがよく書かれています。

    特に、タイトルにもある通り、「姫」に関すること、すなわち、北条家や武田家との縁談やその背景などがよく出ています。

    ↓ ブログにも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_0dd6.html

  • 〈図書館本〉駿河の国、今川義元の母である寿桂尼(悠姫)の物語。公家社会で生きてきた悠姫が武家社会(今川氏親)に嫁ぐ所から始まる。タイトルに『戦国』と出てくる通り様々ないくさが繰り広げられる。公家と武家との慣わしの違い、子種についてなど。現代においても難問である嫁姑問題などなど。悠姫のいろいろな事に興味を抱き、生き生きとした生活が描かれており結構読みやすい。あとは今川家と北条早雲との関係、「海道一」とはなんぞやという疑問に思っていたことが解決できた。

  • 今川義元母・寿桂尼を描いた作品。

    嫁ぐまでと嫁いでから夫・氏親との間の埋めようのない隙間を感じるところまでが描かれています。

    永井作品はやはり文章が読みやすいです。さくさく読んでしまいます。
    早く下巻を読みたい!と思う作品でした。

  • <上下巻読了>
     史上唯一の女戦国大名と言われる、寿桂尼を挙げた作品。
     当時の大名家の嫁入りは政略結婚ではあるが、決して人質紛いの人身売買とは見られていない。
     主人公・中御門家の悠姫もまた例に漏れず。
     東海随一の今川家を『面白がる』好奇心や、外交交渉による家系同士の繋がりが明るく描き出される。
     少女のように屈託ないかと思えば、取り乱さぬ気丈さを示し、持ち前の外向的な性格とやむを得ぬ実状に押されて、彼女は領国経営に勤しむことになる。
     “そうするより、しかたがないじゃないの”と肚を据える女のやり方が、無意識に新たな歴史を作るという指摘が面白い。
     精緻な理論構築による突進と躓きは、男の側の“特技”だと。
     戦場に立つことのできない身として、政治的な戦いを挑む姿には穏やかな貫禄がある。
     後半には、準主役級の雪斎の存在感も強烈。
     息子・承芳との男色関係に対する、母としての陶然たる思いと不思議な共感は、ともすれば難解に陥りがちなところを、奇妙な説得力でもって惹き付ける。
     生涯を通じて貫かれた雪斎の献身は、主人との愛の終わりに、形見として軍師として、敵国との和平を贈ろうとした。
     愛情の形と一途さ、そして寿桂尼との間に結ばれた、男女の関わりを超えての淡くも確かな魂の絆が眩しい。
     寿桂尼が雪斎が義元(承芳)が、時代のトップランナーとして築いた今川家は、強大であったにもかからわず、やがて滅びる。
     この“にもかかわらず”こそが冷徹な法則であり、歴史と人間の複雑さの前提にあると記す後記に、義元の死後、二十二年間の世の移り変わりが凝縮される。

  • 公家のお嬢様がひげ面のたくましい親父大名の元に嫁いでゆく話。この前半部分は、後半で見られるたくましい寿桂尼では、なく。ただのかわいい貴族の姫様の悠姫の駿府での生活が語られます。後半も併せて読めば戦国今川家が好きになります

  • ずいぶん前に購入したものですが(初版でした)大河ドラマになるとの事で、本棚から再び出してきました。

  • 駿河の今川氏親に嫁いだ悠姫は、武家と公家の違いにとまどいつつ激動する戦国に翻弄される…今川義元の母・寿桂尼を描く歴史長篇

    2008.7 読了

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永井路子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
和田 竜
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×