新装版 流星―お市の方 (下) (文春文庫) (文春文庫 な 2-44)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167200442

作品紹介・あらすじ

お市の方の兄である織田信長と、五年の月日を共に過ごし、四人の子まで授かった夫の浅井長政が、互いに裏切りあい、憎悪をあらわに激突した。お市は信長の天下への野望に共感しながらも、この兄の滅亡を願わずにはおられない。生き抜くためには親子兄弟でさえ争わねばならなかった戦国の世を、懸命に生きようとした女性の悲劇。

感想・レビュー・書評

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  • 姉川の戦いから賤ヶ岳の落城までの話。
    長政との「信」と「不信」の間での凄まじい愛憎劇は、読んでて息が詰まる…つらい。
    でも愛し合ってるんだ。

    織田家の女性のそれぞれの想いが語られるあたり、鳥肌が立ちました。

  • 戰國相關的小說,之前讀的還是主要從武將的角度出發,鮮少想讀戰國女性角度出發的小說,所以雖然知道這部作品但一直都沒讀過。但是在平安朝三部曲等作品漸漸被作者吸引之後,偶然決定讀這部作品,實在大為驚艷。這部作品主角お市,其實出嫁前都是用お市的角度在看信長,信長並非一帆風順而是步步險境,面對織田一族的背叛與相剋,義父死後的打擊,以及經營十年才攻破美濃,信長雖然具有行動力,但是其實是步步慎重、忍耐甚至極其寬容地。織田家與淺井家的婚事,由於美濃一時不願讓轎子經過,淺井家也一度反悔,直到信長終於拿下美濃,阿市才嫁到近江。

    作者強調,戰國女性並非我們所想像的江戶女性,而是代表實家利益的外交官,有自己的想法也有自己的戰場。這部作品另外一個很出色的部分是描寫阿市與長政的夫妻生活。淺井家受信長高度期望可以鞏固上京以及往返岐阜的道路,是重要的盟友,長政一開始當然是堅決支持信長,然而家中依然有不同聲音,最終,長政還是屈服於家中與朝倉長久的關係,並未照約定出兵。甚而,當信長進攻朝倉家時,假裝出兵協助其實是要甕中抓鱉。阿市送了信長一小袋雙邊綁緊紅豆警告信長,信長逃出生天回京,最後還從伊勢回到美濃,在路上還遭到狙擊。淺井家一再的背叛(到底為何K社的遊戲中都把他塑造成義之人?是對朝倉家嗎?),阿市也完全被斷了與生家的聯繫。而這裡的長政與阿市的夫妻關係心理描寫極其出色,夫婦愛憎交織,長政屈服於家中支持朝倉的勢力本即無法向妻子坦承,而心中負疚轉而大喊織田家才是叛徒!叛徒都該殺!以彌補自己的心虛,暗示妻子警告信長的行為是背叛,或者在信長遭受圍攻各種危機的時候,故意就來阿市面前逞凶折磨她,或者故意殺雞儆猴斬了磯野員昌的母親給她看,長政的狂暴讀起來令人毛骨悚然,諷刺的是,阿市在小豆事件後反而心中漸漸較偏向淺井家,現在的阿市是完全地了解丈夫的心意,但兩人卻是一個儼然家暴的環境。她也知道長政並不是真心厭惡她,兩人都心照不宣,如果沒有自己的兄長...兩人的關係說不定就可以回到過去....。這兩人的愛憎劇,加上信長在元龜包圍網下的戲劇性處境及步步凶險,雖然早就知道史實進展讀起來依舊撼人心弦。雖然長政總是對包圍網可以滅了信長非常有自信(應該說他的心理狀態也要逼自己相信這件事),而後信長火速滅了朝倉,小谷落城就在眼前,長政面對死亡反而變得澄明,依照當時的慣例讓妻女出城回到娘家,拒絕信長勸降的建議。六年,阿市又從當初自己出嫁的原路,回到清洲城。

    阿市所生的萬福丸,由長政另外偷偷安排逃走,卻被當時的木下藤吉郎所逮捕處死。阿市安安靜靜地在清洲城生活,這時反而可以好好地回想自己的丈夫,而她並不怨恨那段過去。姊姊お犬喪夫之後也回到這裡再出嫁。後來,信長在本能寺遭襲,總是淡然面對人生的姊姊お犬卻也因此遭受波及被夫家給暗中除掉。阿市安靜的身邊,有了吵雜的清洲會議。阿市之前雖然躲著兄長,但等兄長過世之後更知道兄長的偉大與珍貴,遲鈍的信雄與輕佻的信孝都扛不起織田家,阿市覺得此時應該由她站出來扛起織田家的危機,抵抗野心家羽柴。因此,當信孝哀求她再嫁柴田,最後她答應了,讓信孝聲勢大漲(三法師寄在這裡,轉封岐阜,又有成為親族的柴田支持),但她所為是為了讓實直的柴田再一次為織田而戰。阿市先以自己的名義替信長在妙心寺辦了百日法要,秀吉也匆匆忙忙隨後在大德寺辦了葬儀。

    與柴田來到北國,阿市其實非常勉強自己怎麼樣都無法喜歡武骨而遲鈍的他,而且總是免不了用看家臣的視線來看他,然而幸或不幸柴田並未發現。在北國冰封在大雪中時,信孝已先被秀吉所攻擊,而阿市雖然賭上鬼柴田,然而賤ヶ岳之戰勇敢善戰的柴田卻不明不白地被拖垮慘敗(這裡作者也寫得很含蓄,看來逆說裡講的前田家背叛的可能性很高..)。最後柴田逃回北庄,在面對死亡他也變得澄明,莊重地一一向要來與他一同赴死的人見面,原本急於要問今後如何防戰的阿市也覺悟事情已無法挽回。最終阿市覺得既然這是自己的賭注,也決定選擇不依照慣例出城,而是放手讓女兒們逃走,與勝家一同赴死。最後,勝家是否像她一開始所想,完全是不同心的魯鈍武夫呢?這件事也已經不再重要,在最關鍵的時刻,言語已經不再需要。

    這部作品非常出色的是,從阿市角度看信長、看長政、看勝家,看當時的戰國情勢,從夫婦間的許多細膩的心理描寫,看當時女人的戰場,看人性的糾葛,看夫婦之間外人所難解的紐帶與愛憎。意外地,作者所勾勒出來的這些男性武將,甚至比男性作家所寫出來的,更具說服力。而作者處處描寫都很細膩,包括阿市出嫁的那一段路,以及淺井家敗亡之後的那一段路,連這樣的描寫都絲絲入扣令人驚嘆,每一個細節的環節都處理得很好,而且也前後呼應,結構完整,最後勝家講起信長要他不要隨便拋棄生命,當時年幼的阿市也在現場,讓人不禁拭淚。跟著阿市走這遭,臨場感,跟後座力實在太強。讀完之後帶著哀婉、惆悵,但是又被戰國女性的堅強和毅然所震懾,有諦念,但並非放棄。一切都回歸到嫂子濃姬所說的「生きてみなければわからないことです」。非常非常秀逸的作品。

  • この時代、武家に生まれた女性は、その家の女として戦国時代を生き抜いた。お市の方は、織田家の女として、信長に近い肉親として、誇り高く生き抜いた。

  • 浅井家が滅びるようとするなかで長政との愛憎半ばだが確かに愛し合っていた2人。浅井家に嫁いだ時も織田家に戻った時も信長とは違う方法で常に織田家を守る道を模索する。冷酷な長政、軽薄な信孝、鈍感な勝家と人物描写が素晴らしい作品でした。

  • 戦国の武家の女たちが、外交要素を持ち実家と婚家のつながりを保ちつつ興隆を図る…とする筆者の主張を、主人公お市の方は全く果たしていなかった。
    連絡方法は取り上げられ、なすすべもない。特に実家から助が入ることもない。
    閨外交ですら思うままには進んでいないし、群雄割拠するあの時代の趨勢を見極めようという意思も感じられない。
    彼女より姉のお犬のほうが面白かったかもしれない。

  • 姉川の戦い~北ノ庄落城まで

  • 上巻に記載

  • 戦国時代を生きる女性、信長の妹、お市の方の物語下巻。

    兄の手によって夫長政と息子万福丸は壮絶な最期を遂げ、三人の娘とともに織田家に戻ったお市の方。信長が本能寺の変で倒れた後、かつて毛嫌いしていた柴田勝家のもとに、織田家再興を心に期して再び嫁いでいきます。その後は歴史が語るとおりの悲劇。

    現代日本では、首をとったり串刺し磔にしたりはないけれど、残忍な争いは今も世界のどこかで続いていて、争いの裏にある政治劇は、あきれるほど変わっていません。そして、今も昔も複雑で捉えどころない人の心の動き。目の前にある事実をどう捉えるかだけでなく、目には見えない他人の心をどう読み解くか、そこから起こりうる未来を描きだせるかが、その人の運命を左右するようです。

    そんなことを思いながら、息をつめて一気に最後のページまで読み終えた夏休み最終日。明日からもまた、この複雑怪奇な世間で頑張ろう、という気持になりました。

  • 兄と夫。二人の戦いに心をひきさかれるお市。やがて訪れる夫との別れの場面は必ず涙を誘われます。ひとたびは生きる道を選んだお市も、2人目の夫と運命を共にすることになります。彼女も生きることに疲れたのだと考えるのは私だけでしょうか。

  • 上巻よりお市からの視点が深く書かれていた。
    よくありがちな、長政・勝家との仲睦まじいことしか書いていない小説と違い、愛憎渦巻き、[生]を感じる内容になっていた。
    それでもなぜか戦のシーンは飽きてしまい流し読みしてしまったけど。

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著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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