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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167200503
作品紹介・あらすじ
永井路子の代表作、大きな活字の新装版で登場
頼朝の挙兵、それはまたたくまに関東の野をおおい、鎌倉幕府が成立した。武士たちの情熱と野望を激しく描く、直木賞受賞作
みんなの感想まとめ
権力争いと人間ドラマが交錯するこの作品は、鎌倉幕府成立の背景を深く掘り下げ、四人の人物に焦点を当てています。各章が異なる視点から描かれ、特に阿波局保子の複雑なキャラクターや、北条家の内部の確執が印象的...
感想・レビュー・書評
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鎌倉時代を勉強しよう第4弾
そろそろ小説を読んでも良かろう
知識のないまま歴史小説を読むと、そのイメージが自分の脳に定着してしまうので、我慢して最後に取っておくことに
剥き出しの野望と血で血を洗う時代にふさわしく妖しく激しく美しいタイトルと装丁
こちらは4編から成り、それぞれの人物の視点で描かれ、歴史を動かされる構図
阿野全成(僧侶である源頼朝の弟)
梶原景時
阿波局(全成の正室であり北条政子の妹)
北条時政、義時親子
頼朝や政子じゃないところがイイですね
ここでの阿野全成は野心をひた隠し陰鬱でダークなキャラになっている
梶原景時は割とイメージ通り
一番小説の醍醐味的に読めたのが阿波局のストーリー
痩せ型のきりっとした美人と描かれる姉北条政子と真逆の容姿をもつ妹保子
ふっくらした色白の底抜けに明るいお喋りが止まない屈託のないキャラ…
阿野全成の正室となり阿波局と呼ばれる
少しずつ少しずつ阿波局が「お喋り」と「平凡な女」という武器をフルに使い無意識のうちに、仕掛け出す
他意があるのかないのか
阿波局の口からは一言も本音が出ないため、読み手にもわからない
が気付けば彼女の意に沿う展開に…
小さな蜘蛛の子が気付かぬうちに蜘蛛の糸を張り巡らせ、敵が気づいた時にはもう身動きが取れない
その影に隠し持つ計算高い野望とは…
まるで北条家の黒幕かのように描かれ一番小説らしさが見える
政子、娘大姫、阿波局
それぞれ女性の個性と強さと弱さ…
また湿度と粘度あるドロっとした部分が見え隠れする
最後の北条親子
こちらだけ他の3編と比べるの異質感があり
どうやらこちらのみ後から付け加えた一編とのこと
ここでの北条義時の描き方も実に興味深い
父時政の心情は描写されるが義時の心情は全く描写されない
頼朝や政子に対する観察や気持ちは描かれるが、自身については語られない
人の話しをよく聞き、よく観察、洞察し、無口でスルリと逃げるのが上手く、何を考えているのかよくわからない義時
父以外の兄弟たちからの受けは良い
頼りにならない義時にいつも歯痒くやきもきしていた父時政だが、いつの間にか冷静で計算高くなった義時に気づき距離を置くように…
本人の心情を描かぬことで浮かび上がる構図は好みだ
恐らく永井路子氏は義時の性格や人柄をこう想像しているのだろう
今まで知り得た北条義時像と異なる部分もあるが、この想像力と解釈はなるほどなぁと実に面白い
そして義時は冷たい炎を燃やし、権力の道を上りつめたのだ
この時代はわからないことも多いため、エンタメ要素を入れ盛り上げやすいだろうが、そこを結構グッと堪えて堪えて際どいあたりを攻めている内向きの圧が何とも良い
永井路子氏のあとがきを見ると
昭和39年とある
ここにも歴史を感じる
この積み重なって層を成す時代に感動を覚える
年を取るとこんな風に歴史を捉えられるんだ
なんだか新鮮である
さて三谷大河のそれぞれの人物像はどう表現されるのか…
引き続き楽しみである詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さらに奥を観た一冊。
4人の人物にスポットをあて、それぞれのあの時、そして野望に迫る今作は権力争いのさらに奥を観たよう。
大河ドラマのキャストのおかげで物語に入り込めたのも良かった。
中でも、阿波局 保子に迫った章が心に残る。したたかだな。前から嫌いだったけれど、もっと嫌いになった。
時政の義時への胸の内、義時の人物像もちょっと知れてなんだか意外感を味わう。
今後のドラマの楽しみも増した。
あとがき、解説を読むとこのタイトルがぐっと際立つ。
いつの時代もこうやって歴史が創り上げられてきたのかと思うと感慨深い。 -
大河鑑賞の副読本として2冊目だが、鎌倉幕府の初期の4人を主役とした連作形式だった。「悪禅師」は阿野全成(源頼朝の異母弟)、「黒雪賦」は梶原景時、「いもうと」の北条政子の妹の保子、そして「覇樹」は北条時宗と北条義時らが主人公。
4編ともそれぞれの視点で面白かったが、特に「黒雪賦」と「いもうと」が印象に残った。読み始めたころ、石橋山の合戦で梶原景時が源頼朝を見つけながら見逃すシーンがオンエアーされていた。景時は大庭に頼朝の首を差し出せば殊勲を立てられたはずなのに、どんなつもりで頼朝の命を救ったのか表情から察することができなく図り兼ねた。しかし本作で、旧知の仲である土肥実平が頼朝を買っていたからとの筋書きになるほどそうかと合点。
歴史書『吾妻鏡』をもとに、小説家がさまざまなフィクションを展開していくのが面白い。小説家の手腕に驚きながら、真実を知りたくなり、また別な本を探して読みたくなるのだ。
「いもうと」の主人公・保子は「悪禅師」で主役だった全成の妻。彼女のおしゃべりは単なる話し好きからではなく、計算された悪意あるおしゃべりだったと匂わせてある。”尼将軍”と呼ばれた政子に隠れ、目立たぬ曲者のよう(笑)。保子は実朝の乳母となり夫の全成と共にのし上がっていく。権力を持つ者同士の姉妹の確執は想像に難くない。
泰時は裏で巧みに北条家を動かしているように感じられて仕方がない。永井路子さんの文体も読みやすく耽読し、鎌倉時代を行きつ戻りつしました。さてさて、三谷幸喜さんはこれからどう描くのだろう? ずっこけるのはほどほどにして下さいな。 -
先日ふらりと立ち寄った書店で、POPに来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の文字を見つけ、素通りできずに手にとった作品。
歴史好き、大河ドラマ好きではあるが、『鎌倉殿の13人』の登場人物のイメージがなかなか湧いてこず(もちろん頼朝や政子といった超メジャーな人はわかるんだけど、有力御家人クラスとかがあやふや……)、そろそろ予習をしなくちゃなーと思っていたところで。(←マジメか!)
読み始めたら、なんとまあ面白い!
不勉強ゆえ著者の名前を見ても、まったくピンとこなかったのだが、私が生まれる前に直木賞をとった作品でした。
やっぱり直木賞(特に昔の)は面白いなぁ。
読み始めは、登場人物の大河ドラマHPの人物相関図や歴史人物図鑑と首っ引きで読む。(何せ予習なので・笑)
そのペースでも、読む熱量はまったく失われず、著者の落ち着いた筆致のなかであぶり出される人間らしい感情が、なんだろう、じわじわくるというか。
これまでもっていた頼朝像も政子像も、ちょっぴり覆され、「本当の黒幕は誰だ……?」と心がざわざわして。
連作短編という構成も素晴らしく、「あとがき」「文庫版解説」も必見。
このタイミングでこの作品と出会ったのは、私の中ではちょっとした運命だったのでは、とまで感じてしまった。
この年の瀬に、文句なしで★5つの作品に出会えてよかった! -
久しぶりの永井路子さん。
苦手な時代だが、大河ドラマで少し触れたので挑戦してみた。
が…やはり前半はページが進まず苦しみました。
全成、景時、保子、などの目線での短編集のよう。
感情移入し始めたところで次の人に移ってしまうのが、長編好きとしては辛い。
ただ歴史というものは、こうやってそれぞれの人の中に、自分なりの軸があるのだなと、改めて感じることが出来た。
そして永井路子さんは、特に女性の描き方が上手くて引き込まれる。 -
当然ノンフィクションなので、史実とは違う部分もあるのだろうが面白く読めた。
まさに歴史の影に女あり。
全く知らなかった政子の妹の物語が一番面白かったかな。
北条というと、とかく陰湿な権謀術数を駆使してライバルを葬ってきたイメージしかないが、武家政権を確立し、時代を安定させる為には必要な一族であったのだろう。そんな事を感じさせる物語でもあった。 -
「悪禅師」・・頼朝の異母弟、全成(幼名今若)
「黒雪賦」・・梶原景時
「いもうと」・・北條保子(政子の妹で、全成の妻となる)
「覇樹」・・北條義時
4つの題名をつけ、それぞれに主人公を据え、鎌倉幕府の中での消長を描く。いやー、おもしろかったです。大河「鎌倉殿の13人」がおもしろく、図書館の大河コーナーにあったので読んでみましたが、政子の妹保子、アリャー、こんな人でこんな人生を送った人だったのか、けっこう鍵の女ですね。宮沢エマさん、これからどんな風になるのか楽しみです。
梶原景時が石橋山の戦いで敗れた頼朝を岩穴で見つけて見逃す、といった、よく言われている場面も出てきます。ここらへんの景時の心理とか、その後の景時の心理、頼朝に対する感情が微細に描かれています。これから獅童さんがどう演じるのか、楽しみ。
頼朝は主人公になっていませんが頼朝との関係性で描かれるので、頼朝の人間像も浮かび上がっています。
永井さんは「吾妻鏡」とか読んで想像をふくらませたのでしょうか。「覇樹」の章では、頼朝が挙兵だ、といって兵を募る時、やってきた武将に
「今日の忠節、頼朝生涯忘れはせぬぞ」
「頼りになるのは、そなたたちだけなのだ」
「誰にも言っては困るが・・・」
「そなたたちだけ打ち明けるのだが・・」というのを小四郎(義時)が部屋の前で聞いている場面があります。これ、もう放送されましたが、セリフもけっこうこんな感じでした。
それぞれの主人公の心理が微細に描かれ、またそれを俯瞰する感じで、〇〇はこの時そこまで考えていたのかどうか・・ という2重の書き込みで、複雑な人間関係、当時の東国の武者たちの様子が、静かな文面で伝わってきました。
あとがきには、
「近代説話」に発表したもののうち、最後の「覇樹」を加えた四編。それぞれ長編の一章でもなく、独立した短編でもありません。一台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆくーーそうした歴史というものを描くための一つの試みとして、こんな形をとってみました。とある。・・ちょっと米澤穂信氏の「黒籠城」の読み口と似ていた。「炎環」は1964年第52回直木賞。
1978.10.20発行 光風社刊 図書館 -
年明け一発目に読むのって、この辺りの時代が多い。なんか、冬に読みたくなるんですかね。
しかし、自分でも意外なんだけど、頼朝の話って読んで来なかったことに気付く。
弟の全成と、その妻阿波局が視点人物になる話がそれぞれ入っていて、頼朝の台頭から、実朝が殺されてしまうまで、一気に読めてしまう。
敗者の儚さ。親子の野望と絆。
きれいな部分だけでなく、支える者の陰謀や、妬みまで……ドラマだなぁ。
この作品中で北条政子は、阿波局の策略?にはまり、うまく精神を削られていく役所だけど、表舞台ではどんな活躍をしていたんだろう。
確かに、こちらも読みたくなる!
他の方のレビューを読んでいると、ファンの多い作家さんなんだということも知った。 -
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阿野全成、梶原景時、北条保子、北条義時をメインとして鎌倉の勃興・動乱期を描く。あとがきにもあるように、それぞれが独立した短編ではなく、全てが「歴史」という大きな流れの中で繋がり1つの物語。
鎌倉府を興した源氏と頂点を極めた北条氏という点で3篇はそれぞれで分かりやすく繋がっている一方で、景時を描いた『黒雪賦』だけが少し異質に感じていた。が、4篇目の『覇樹』を読んでこの作品の意義が分かった。景時と義時はどちらも頼朝、時政の意図する所を先んじて行うという意味で似た行動を取っていった。その中で「誰か」の意図を越えていったのが義時であり、「誰か」の下に居続けたのが景時であるように感じた。
また、北条保子という存在が非常に物語を魅力的にしている。彼女の「お喋り」は一つの政治の道具であり、武器である。それにより男達の人生を翻弄していく。そして「仲良し」の北条政子との姉妹関係にも深い影を与えていく。弱気な政子という側面も新鮮で面白かった。
それでもベスト作品は北条義時を描いた『覇樹』である。影のように掴もうとしてもスルリと抜け出してしまう。この観点で全ての歴史的事件が語れるのが非常に面白い。 -
鎌倉幕府創設時代のキーパーソンを主人公にした4作。ただし、その4作が折り重なって命の炎を燃やし尽くした彼らの縁を表している。
強い女北条政子が意外に脆く、執権北条義時が物事の盛衰をしっかり観ていることが、教科書的な歴史観では窺い知れないところか。 -
1964年下半期の直木賞受賞作で大河ドラマ『草燃える』の原作のひとつになった作品だそう。鎌倉幕府創成期のお話。
『草燃える』は観てないので、やっぱり『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶ。人物像が全然違うのかな?と思っていたけど、案外、自分の持っていたイメージと遠からずだった。
章ごとに主役が変わり、それぞれ全成、梶原景時、北条保子(阿波局)、北条義時を中心に語られる。読み始めは、拍子抜けするほどあっさり話が進む。でも同じ出来事を視点を変えて語られるごとに厚みが増していき、読み進むほどにこの小説の凄さを感じた。
ドラマ観てたから、すごく面白かった。
文章は読みやすいけど、登場人物も多いし予備知識ゼロだとちょっと難しいかなと思う。 -
武士政権として誕生した鎌倉幕府ですが、これまでは源頼朝が「坂東の武士たちよ我についてこい」的につくったとものだと思っていました。
しかし、この本を読んで頼朝の辣腕以上に頼朝の取り巻きの者たちの権謀術数が幾重にもかさなり、それがつながった結果できた幕府なんだと自分には思えました。 -
いい時期に読むことが出来ました。
「鎌倉殿の13人」で阿野全成最期が放送されたこの時期に読めて良かったです。
なるほど、阿野全成と若狭局のイメージは、これまでこのようなイメージだったのか。と思いました。
私はてっきり北条政子が主役の作品だと思っていたので、"脇役"だったのは意外でした。あと人物造形も。
「北条政子」の方でもこのキャラでいくのかな。それを楽しみに、「北条政子」も読んでみたいですね。 -
おもしろかった!
大河ドラマはみていないが鎌倉時代当初についてをよく理解することができた。
登場人物全員が時代に翻弄されている。正解が何かが端からみてもわからない。
諸行無常の響きありとはよく言ったものである。
50年以上の前の作品だが古さを全く感じない。時代小説の魅力だなあ。 -
第52回直木賞受賞作であり、永井さんが初めて出した本、だそうです。そしてこのタイトルは造語だとのこと。
本書は、鎌倉時代を描いた連作短編集で、4編収録されています。頼朝の異母弟で義経の実兄、阿野全成の「悪禅師」、梶原景時の「黒雪賦」、北条政子の妹で全成の妻、保子(阿波局)の「いもうと」、北条義時の「覇樹」。
先に、永井さんの論考『つわものの賦』と、エッセイ集『源頼朝の世界』を読んでいたせいか、どうも小説としてのおもしろさをあまり感じることができませんでした。小説のはずなのに、なんかずっと説明を読まされているような……。私が読む順番を間違えたのかもしれません。
心が熱くなったシーンもあったんですけどね。中でも、武士とは違った視点で書かれた「いもうと」はおもしろかったです。
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新しい大河ドラマが鎌倉時代、主人公は北条義時、と来れば永井路子さん。43年前(1979年)の大河「草燃える」の原作本の一つにして直木賞受賞作です。時代は頼朝挙兵から承久の乱までの間。義時の他に阿野全成、梶原景時、北条保子にスポットが当てられた連作で、とにかく鉄板の歴史小説。読み易いし面白い、いつまでも色褪せることのない傑作です。次は「北条政子」。
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2022年NHK大河ドラマ、鎌倉殿の13人関連の一冊として。
好きな鎌倉時代を改めて読む。
頼朝嫌い、北条嫌いは変わらないが、歴史を身近に感じて面白かった。新たな人物発見にもなった。
やはり歴史の影に女性あり!
政子の妹の阿波局が気になる!
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悪禅師 で頼家に詰め寄られるところでゾッとして、そこからずーっと怖かった。気になってどんどん読めるけれど、ドロドロしていて怖い。特に女性陣…
怖い怖いと思っていた鎌倉殿の13人。
この本に比べたら、兄弟姉妹が互いとその家族を心の底から思いやっている時点(5月時点)で、もはやあたたかいドラマに見える…
著者プロフィール
永井路子の作品
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