敗れざる者たち (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209025

感想・レビュー・書評

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  • 東京五輪のマラソン銅メダリスト、「規矩の人」円谷幸吉の話が面白かった。愚直。
    そしてボクシングってとことん孤独だ。沢木耕太郎の筆を通すと、悲壮感とか、空虚さしか伝わってこない。

    円谷幸吉の遺書が印象的だったので抜粋

    父上様、母上様、三日とろろ美味しゅうございました。干し柿、もちも美味しゅうございました。
    敏雄兄、姉上様、おすし美味しゅうございました。
    勝美兄、姉上様、ブドウ酒とリンゴ美味しゅうございました。
    巌兄、姉上様、しそめし、南ばん漬け美味しゅうございました。
    喜久造兄、姉上様、ブドウ液、養命酒美味しゅうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
    幸造兄、姉上様、往復車に便乗さして戴き有難うございました。モンゴいか美味しゅうございました。
    正男兄、姉上様、お気を煩わして大変申しわけありませんでした。
    幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、立派な人になってください。
    父上様、母上様、幸吉はもうすっかり疲れ切ってしまって走れません。何卒 お許し下さい。気が休まる事なく御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません。
    幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。

  • ボクサーをはじめ、野球選手、陸上選手、競走馬、騎手のあがき苦しむ姿を丹念に描いた物語は、“追いかける”者の孤独をまざまざと見せつけ、やがて最終話のリング上で一気に燃え上がる。何といっても、輪島功一さんのエピソードが鮮やかでかっこいい。勝負の世界に生き、自分自身にけりをつけることは、なんと難しいのだろう。

  • 懐かしい作品。これぞニュージャーナリズムっていうやつなんですかね。この文庫本に収録されている解説が個人的に好きなんですが、本当にそこにも書いてあるとおりなんです。著者は取材対象にギリギリまで行動をともにして密着する一方、一歩引いた冷静な「観察者」としての視点もしっかり兼ね備えている。そこがこの絶妙な熱量の文章を産み出してのだと思うし、そこが好き。

  • 人の業や性を照らした作品を20年以上ぶりに再読。あの時間を切り取った沢木さんのルポに感動。輪島さん、こんなに凄い人だったんだと改めて感激。自分がちびだった頃の時を思い出せ、日本が一生懸命前向いていた時を再認識。読み返し甲斐がありました。

  • おそらく多くの人は、ただ誰にでも回ってくる程度の成功だったり負けそうになると逃げ出すことだったりをだらだらと続けていくだけの、完璧な勝利にも敗北にも直面することのない人生に終わるはずで、だからスポーツや何かみたいなショービズを通してしかそれらを目撃したり体験したりできない。それで、勝者の方はともかく、そういう世界ですら完全に打ちのめされた敗者を見る機会ってそうそう無いので、そういうだらだらと負けていったプレイヤー達にスポット当てて、あえて完全な敗者として「敗れざる者」とラベルを貼っていくのが自分にとって新鮮(大分昔の本だけど)で面白かった

  • ふう、沢木耕太郎読むなんて何年ぶりだろう。ん?何十年ぶり?文体が素晴らしい。思い出した、ヘミングウェイだ、、、と思ったらあとがきに本人からもその名が出てきて納得。表面だけさらっと書いたものや上から目線で批判するだけのスポーツライティングが多いなか、「敗れる」人たちをその以前から書き込んでいく手法は素晴らしい。前のめりになって一気に読んだ。短編集だけど、つながっている。

  • 敗れざる者たち・目次

    クレイになれなかった男
    三人の三塁手
    長距離ランナーの遺書
    イシノヒカル、おまえは走った!
    さらば 宝石
    ドランカー〈酔いどれ〉

  • 沢木耕太郎のノンフィクションとしては、最高の作品。これを読んで、何も感じない人は、感性が麻痺してるので、何を読んでも感動はしないと思う。

  • 2018年5月読了。

  • 勝者になれなかった者たちの話。世の中の大半はそういった人たちだし、それで世の中成り立っている。ちょっと違うか。

    取材した方たちの共通点である愚直さ。繊細さ。
    生きていく上で大切なことと勝負の世界で必要なものは全く異なるんだなと思った。
    スポーツにあまり関わってこない人生だったからか、ボクシングの試合前からの駆け引き、欺きはびっくりした。

    『人間は、燃えつきる人間と、そうでない人間と、いつか燃えつきたいと望みつづける人間の、三つのタイプがあるのだ、と。
    望みつづけ、望みつづけ、しかし、〝いつか〝はやってこない。内藤にも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも…』

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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