敗れざる者たち (文春文庫 さ 2-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209025

感想・レビュー・書評

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  • おそらく多くの人は、ただ誰にでも回ってくる程度の成功だったり負けそうになると逃げ出すことだったりをだらだらと続けていくだけの、完璧な勝利にも敗北にも直面することのない人生に終わるはずで、だからスポーツや何かみたいなショービズを通してしかそれらを目撃したり体験したりできない。それで、勝者の方はともかく、そういう世界ですら完全に打ちのめされた敗者を見る機会ってそうそう無いので、そういうだらだらと負けていったプレイヤー達にスポット当てて、あえて完全な敗者として「敗れざる者」とラベルを貼っていくのが自分にとって新鮮(大分昔の本だけど)で面白かった

  • ふう、沢木耕太郎読むなんて何年ぶりだろう。ん?何十年ぶり?文体が素晴らしい。思い出した、ヘミングウェイだ、、、と思ったらあとがきに本人からもその名が出てきて納得。表面だけさらっと書いたものや上から目線で批判するだけのスポーツライティングが多いなか、「敗れる」人たちをその以前から書き込んでいく手法は素晴らしい。前のめりになって一気に読んだ。短編集だけど、つながっている。

  • 敗れざる者たち・目次

    クレイになれなかった男
    三人の三塁手
    長距離ランナーの遺書
    イシノヒカル、おまえは走った!
    さらば 宝石
    ドランカー〈酔いどれ〉

  • さすが沢木先生。興味深く読ませていただきました。、

  • 闘う人たち
    負けられない人、燃えられる人、燃えられない人、人によって燃やされる者、燃焼する人、消耗する人…
    あなたには、彼らの曵く長い影が、はたして見えるだろうか。

  • 友人に薦められなければ絶対手に取らなかったであろう本。タイトルからして「諦めなければ負けることはないのだ」みたいな説教飛んできそうだし。読み終わってそんな先入観を恥じました。

    アスリートは人間のある側面が極端に先鋭化された生き物と捉えることもできるから彼らを写し取ったスポーツルポは必然的に人間、人生に対する深い示唆を与えるのだろうな。

  • 「沢木耕太郎」のスポーツノンフィクション作品『敗れざる者たち』を読みました。

    『知と熱―日本ラグビーの変革者・大西鐵之祐』に続きスポーツノンフィクション作品です。

    -----story-------------
    勝負の世界にその青春のすべてを賭けて燃え尽きていった者たちを若き大宅賞ライターが哀借こめて描くスポーツロマン。
    現代の若者に圧倒的な支持を得た情熱的作品
    -----------------------

    「沢木耕太郎」作品は、『血の味』以来なので2年振りくらいですね。

    本作は「沢木耕太郎」が≪勝負の世界に何かを賭け、喪っていった者たち≫という主題に沿って書きつづけた作品で、以下の六篇が収録されています。

     ■クレイになれなかった男 (カシアス内藤)
     ■三人の三塁手 (長嶋茂雄、難波昭二郎、土屋正孝)
     ■長距離ランナーの遺書 (円谷幸吉)
     ■イシノヒカル、おまえは走った! (イシノヒカル)
     ■さらば 宝石 (榎本喜八)
     ■ドランカー<酔いどれ> (輪島功一)

    ボクサーやプロ野球選手、長距離ランナー、競走馬の滅亡の美学、敗北の美学が描かれていますが、、、

    発表された時期が昭和40年代後半~昭和50年代前半ということもあり、描かれた人物(馬含む)のほとんどは、この作品を読んで初めて知ったということもあり、やや感情移入し難かったですね。

    知っているのは「長嶋茂雄」、「円谷幸吉」、「輪島功一」の三人ですが、いずれもプレーをする姿を見たことはないですからねぇ。

    でも、(レベルは全然違いますが… )同じスポーツマンとして、共感できる部分が多々あったのも事実。

    そんな作品の中で印象に残ったのはボクシングを扱った『クレイになれなかった男』と『ドランカー<酔いどれ>』の二篇でした。


    『クレイになれなかった男』は、卓越した才能に恵まれながら「カシアス・クレイ(モハメド・アリ)」になることは叶わず、引き際を誤り惨めね敗戦を繰り返しながらボクシングを続けた「カシアス内藤」の人生。

    もどかしさを感じつつも、自分のラグビーとの関わりにシンクロする部分があり、理想と現実の厳しさを感じさせられました。
    引き際って、本当に難しいですよねぇ。

    「矢吹丈」のように、"真っ白に燃え尽きる"幸せを味わって一線を退くのが理想なんでしょうけどね。


    『ドランカー<酔いどれ>』は、「輪島功一」が「柳済斗」に敗れて失ったWBAジュニア・ミドル級のタイトルを、リターン・マッチで奪い返した闘いをテーマにした作品。

    「カシアス内藤」と違い、強い精神力をもち、圧倒的に不利と言われた状況の中、熱く燃え、意地と根性(本人曰く「日本魂」)で、勝利を勝ち取った「輪島功一」の人生には感動をもらいました。

    精神面で見習うべきところがありましたね。


    どの作品も、本人や遺族に密着取材を敢行してあり、なかなか読み応えがありました。

    スポーツをしている人にはオススメの一冊ですね。

  • ノンフィクションの良さが詰まっている。描かれている対象はそれほど有名ではないが、密着して調べた事実がドラマをより引き立たせている。円谷や競馬の話にのめり込んだ。

  • 沢木さんの初期の作品です。スポーツ、旅、ノンフィクション作家としては、最高です!

  • ミニコメント
    勝負の世界に賭けた人たちの物語。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/288860

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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