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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167209049
みんなの感想まとめ
テーマは、青年の歪んだ正義とそれによって引き起こされた悲劇的な事件です。物語は、実際の政治家が青年によって命を奪われるという衝撃的な出来事を通じて、社会や個人の内面に潜む葛藤を描き出しています。著者は...
感想・レビュー・書評
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高校時代の友人に勧められた一冊。
ノンフィクションは元から好きだったが、本件に関しては特別に面白かった!!実は以前も彼女から別の本を勧められて読んだのだが、本書同様自分から選ばなさそうなのに最後まで夢中で読み耽った。
そのこともあって、彼女のことは勝手に「読書の達人」と呼んでいる。
沢木耕太郎氏の代表作といえば『深夜特急』シリーズで、自分も2年ほど前に何とか読了した。本書も『深夜特急』と同じくノンフィクションではあるが、何と調査は7年にも及んでいる。
「特別に面白かった」と言うのは、ジャーナリスト顔負けの真に迫った調査にある。
1960年社会党委員長 浅沼稲次郎が、演説のさなか青年 山口二矢(おとや)によって刺殺された事件をテーマに加害者・被害者の経歴や周囲の人間関係、事件前後の出来事、現場にいた人々の動向までもが如実に描写されている。それはさながら再現ドラマを見ているようで、事件のことも知らなかったのに人々の表情が目の前で映像化されていた。
こうした思いもよらない事件は幾つもの偶然から成り立つものだが、いざそれらを列挙してみると二矢の悲願成就のためだけに用意されたかのように錯覚してしまう。
二矢は幼少期から大人びている上に礼儀正しい一方で、自分の意見を曲げない頑固な面があったと本書では捉えられている。あとがきでは「明確で直線的」と、まるで最初から自分で考えて行動したかのように捉えそうになる。
しかし自分には、愛国党という強烈な右翼団体と思想にいとも簡単に魅せられ、あらぬ方向に流されてしまった未成熟な青年と映った。(元々は自分より先に右翼活動をしていた兄への対抗意識だったという点も含めて)
そればかりか、以前『普通の若者がなぜテロリストになったのか』で読んだ現代の若いテロリストたちを彷彿とさせた。党員同士のテロ実行を予見させるような過激な会話に刺激を受け、最終的にはそれが自分の役割なんだと盲信しながら標的に飛び込んでいく。そして心配をかけぬよう家族には一切何も明かさない。
「自分ひとりで実行した」と言い張っているけど、それこそ(当初周りが疑惑を持ったように)黒幕だって実在していたのではないか。今更自分なんかが推測しても仕方のないことだが、自分を持った青年だとはどうしても思えなかった。
「吾等は頭の青年であると共に行動の青年でなければならぬ」
「大勢の中に居ることを望みながら、結局、あの人は独りきりだったのではないか」
浅沼もまた行動が速く、そして終生頑固な人物だった。
周囲の反応などお構いなしに、全国津々浦々遊説に赴く。刺殺事件の発端とも言える政治的問題発言も、最後まで曲げようとしなかった。
頑固さから社会党内外に敵を作っていく浅沼と、愛国党内外を信用しなくなる二矢。そんな2人が偶然が重なった挙句に交錯を果たす。そこから発せられた鮮烈な印象は、頭から離れることはない。
「読書の達人」よ、パンチの効いた読書体験を有難う。
【最後に本書をお読みになった方へ】
終章で診療所を訪ねていた「男」は、著者なのでしょうか…?つまらない質問でしたら申し訳ありません汗詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沢木耕太郎作品から1冊だけと言われたら、おそらくこれにするんじゃないかなー、と思います。
もっと緻密なものもっとリアルなものもっと感動するもの、まだまだありますが、ナゼかこれが一番、澱のように心の底のほうに沈む。
ちなみに大江健三郎の発禁本「セヴンティーン」と対をなしていまして、併せて読むと沈むことさらに。-
私も感動しました。
沢木耕太郎と山口少年、浅沼氏の組み合わせは間違いなく素晴らしい化学反応を起こしたと思います。沢井耕太郎の作品は「テロル~...私も感動しました。
沢木耕太郎と山口少年、浅沼氏の組み合わせは間違いなく素晴らしい化学反応を起こしたと思います。沢井耕太郎の作品は「テロル~」が初めてでしたが、この作品を超えるものがあるのかどうか少し不安になりました。
今度、大江氏のセブンティーンも読んでみたいと思います。2011/11/07
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山口二矢の父は、生きるため、稼ぐためにさまざまな職を転々とした。二矢少年は転居のたびに友人関係のリセットを余儀なくされ新たな人脈の構築に苦労した。それでも、お父さんが働いてくれているから生きていけるだとそんな思いでいた(数しれぬよくある不満の一つで政治的感情に発展するほどのものでもない)。二矢から見ると父は人生で為すべき目標、理想を欠いた、語り合うに足りない人物だった。
二矢のことを取材するうちに、沢木の関心は浅沼稲次郎に向かった。60年新安保条約への議論が高揚するなかに訪中で歓迎され「アメリカ帝国主義は、中国と日本の共通の敵」という高ぶった断定は中国側の満足と右翼の憤激を生んだ。 赤尾敏の塾に所属して「お国あってこそ我々日本人は生きていかれるというのに左翼の連中はわがまま放題、好き勝手なこと言いやがって許せん。/自主防衛、自尊憲法は理想だが、当面は親米で国家基盤を養うしか無いのだ」実は愛国党も二矢にとって効果的な活動を見いだせず現実に追従するものでしかなかった。
その寂しさが彼を先鋭的に駆り立てていった、とも言える。決行前に一度だけ、父に「お父さんの自由主義は結構だけど、自由主義だけでは国家を守ることは難しいんじゃないかな。左翼に重みがあるこの日本では」と言ったという。二矢は「老成」していたとも言える。礼儀正しく、あまりに純粋すぎる17歳の決行の成功したあとは「人を殺すして、生きていようとは思いません」
街頭右翼の名物・赤尾敏は、彼の大日本愛国党本部の祭壇の真中に山口ニ矢の霊と書き辞世の句を添えている。
右翼には伝説があった。「山口二矢は浅沼を一刺し二刺しして致命傷を与えたのち、抜いた短刀で自決しようとしたが、素手で刃を掴んだ警官がいた。力づくで取り戻そうとすれば自決はできても警官の指は失われる。彼は短刀を手離して逮捕された‥」終章でその真実が明らかになる
本書を佐藤優は「永遠に読み継がれるべき名著」とした。 -
1週間前から読み始めた。青年の歪んだ正義によって倒れた政治家の重鎮。
今よりも政治に関心のあった時代の実話であり、細かい情景が思い浮かべられるほど取材されたのだと思う。
今日、元総理大臣が一人の男に銃撃され命を落とす事件が発生。
日本でなぜと思うと同時に今本書を読んでいる事の何とも言えない不思議とショック。
いつの世も力で捩じ伏せることは許されない。
今日の事件を筆者はどう感じているのだろう。 -
ちょっと休憩的な読書を求めて読んだ。瞬く間に引き込まれ、一気に読み終えてしまった。当時のことは詳しく知らなかったけれど、時代背景や、彼らがどういう信念をもって活動に身を投じていったのか感じることができた。報道されなかったであろう関係者の挿話も物語に素晴らしい肉付けを行っている。誰か1人に入り込みすぎることもない程よい距離感を保った視点から描かれるノンフィクション。
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乾燥さと湿っけの具合が絶妙
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1世代前の話
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☑️
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非常に詳しく調査して書かれている。
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かの有名な写真に至るまでの二人の人生の描写。
結局テロリストたる若者への共感を覚えなかったなぁ、その経緯に今ひとつ意味不明さというかその跳躍が大きすぎるからかな。人間の不条理ということかもしれませんがね。
まぁfanaticという奴に対しては、どんな時代・場所でも目を凝らして疑うという姿勢が大事ということでしょう。 -
読了。
昭和35年に起きた、17歳の少年による、政治家殺害というテロ。
先日、その瞬間の写真を見る機会があって(テレビでだけど)、興味を引かれて調べたところ、この本に行き当たった。
ノンフィクションですが、読み物として楽しみました。
みんなが、それぞれに、理想がある、信念がある、そして間違いがある、そんなことを考えました。 -
昭和35年10月12日
17歳山口二矢が社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺した。数日後、二矢は拘置所内で自殺した。
ノンフィクション。
二矢はただの鉄砲玉だったのか。
浅沼が狙われた理由は何だったのか。
に、主に焦点が当てられていた。
二矢が右の思想に染まっていく様と二矢の実行力に魅せられた。その才能がもっと別の方向に向かえば良かったのに。浅沼の半生もまた丁寧に描かれていた。そして、不運としか言いようが無い標的となってしまった偶然の重なり。歴史が動くような出来事は、後で検証すると運命としか言いようが無いような偶然の重なりが連発するものだと思った。 -
1960年10月12日の社会党委員長刺殺事件を題材にしたノンフィクション。
加害者・山口二矢はなぜ殺したのか?
被害者・浅沼稲次郎はなぜ殺されなければならなかったのか?
双方の半生が同時進行で描かれ、彼らの人生が唯一交わるその瞬間に向かう。
「狂信的右翼テロリストと不幸な犠牲者」という平面的説明で片付けられない、己に殉じた2人の人間が立体的存在として浮かび上がる。
そこがノンフィクションのおもしろいところです。
構成、文章ともに素晴らしい。傑作。
当時の社会情勢なんかもよくわかる。
ノンフィクションをあまり読まない人にこそオススメ。 -
再読了。
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【108】
2013.5.5読了 -
表現が感情過多の部分も感じられたが、時代の気分が十分に伝わった。今の時代ならば、誰を描くのだろう。
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旧社会党委員長、浅沼稲次郎刺殺事件に迫った力作。
愚直な政治家・浅沼稲次郎と純真であるがゆえに荒々しく暴力的な17歳のテロリスト・山口二矢。
決して出会うことのない二人が偶然の積み重ねによって激しく交錯する。その二人の交点を細部にわたる事実によって構築したこの本は、ノンフィクションというより完成された一級の文学作品のように思えてしまった。 -
20080205登録
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