王の闇 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209094

作品紹介・あらすじ

ライヴァルを倒し、記録に挑み、ひたすら戦いつづけることで王座を手にした男たちも、やがてはその頂点から降りざるをえない時がやってくる。彼らの呻き、喘ぎ、呟き、そして沈黙が、今ふたたび「敗れざる者たち」の世界に反響する。久方ぶりに沢木耕太郎が贈る、勝負にまつわる男たちを描いた五つの短篇。

感想・レビュー・書評

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  • 凄いですね。沢木耕太郎。
    なんだかズンズン胸に押し込まれるような言葉が随所に散りばめられている。
    沢木耕太郎さんは、時に主人公達を無情に切り刻み、批判する。しかし、週刊誌の無責任な暴露記事と(比較するのも失礼だが)その読後感が圧倒的に違うのは、綿密な取材(この人の場合、ほとんどが直接主人公に付き添って行う)による真実感と、やはりどこかに暖かい眼差しが存在するからだろう。
    コホーネスの輪島。格好良いですね・・・。ブラウン管でみるヘラヘラは一面に過ぎず、その裏にある、さすが世界チャンピオンと思わせる執念

  • ・ボクシング王者のまま事故死した大場政夫を描いた「ジム」
    ・マラソンランナー瀬古「普通の一日」
    ・ボクサー輪島功一「コホーネス<胆っ玉>」
    の3篇が特に面白かった。
    この作者の書くスポーツ物はハズレがない。

  •  ボクシングに限らずスポーツの世界で頂点を極め、そして陥落していった男たちの短編集です。
     日本で一番歴史のあるボクシングジムの女性マネジャーが、昭和48年に現役チャンピオンのまま交通事故で死亡した大場政夫について述懐する「ジム」を読みたくて買いました。そのマネジャー長野ハルさんは先に読んだ「一瞬の夏」にも少しだけ登場します。
     調べてみると、80歳を越えて未だ現役ということで驚きました。どんな人なのか会ってみたい。

  • 沢木耕太郎さんの本は初めて読みました。

    「深夜特急」を読みたいなとは思ってたのですが。

    本書を読んでみたきっかけはどこかで読んだ前溝 隆男さんのこと。

    国際プロレスのレフェリーだった人です。

    国際プロレスはかつて日本のプロレスが3つしか団体のなかったころのマイナー団体。

    あまりテレビがつかず、ほとんど観ることができませんでした。

    試合自体も近所に来た記憶がない。

    ただ、昭和のプロレスファンは馬場派猪木派に分かれてはいても、決してないがしろにできない団体であります。

    現在、ある意味プロレスラーの代表みたいに扱われているアニマル浜口も「国際」のレスラーでした。

    あと、有名どころではラッシャー木村やストロング小林(金剛)も。

    外国人では、カール・ゴッチ、アンドレ・ザ・ジャイアント、ビル・ロビンソンも国際のスター選手でした。

    レフェリーも非常に濃い人達を揃えていたと思います。揃えていたわけではないでしょうが、結果的に個性的だったと。

    その中にあっては、地味な存在として前溝隆夫さんの名前は記憶に残っていました。

    でも、ほとんど忘れられた存在で、今ググってもほとんど情報は出て来ません。

    ところが、実はスゴイ人なんですよね。

    この人に、ほぼ唯一スポットライトを当てたのが、この中編集に入っている「ガリヴァー漂流」という一編。

    もしかしたら、国際プロレスの中でも最もスゴイ経歴の持ち主かも知れません。

    戦争中のトンガ王国に日本人とのハーフに生まれたのですが、外見的には縄文人の見本のようで、どこから見ても日本人です。

    和歌山県で育ち、中学卒業と同時に大相撲に入門します。

    割りと順調な番付の上がり方をするのですが、大した理由もなく若くして引退。

    その後、ほとんど経験のないプロ野球に挑戦し、続いてプロボクサーになります。

    大相撲力士からプロボクサー。

    こんな経歴を持った人、日本のスポーツマンにいるでしょうか。

    しかも、ボクシングでもかなりの強さを誇り、ミドル級の日本王者に上り詰めます。

    「はじめの一歩」は前溝さんをモデルにしたのではないかと思うほど、気が優しかったようです。

    もっと貪欲であれば、その当時の日本ボクシング界に力があれば、竹原慎二以前に世界ミドル級のチャンピオンになれたのかも知れません。

    最終的には国際プロレスのレフェリーになるのですが、その時々のエピソードがかなり面白く描かれます。

    そして、今回ボクは前溝隆夫さんを描いた小説であることを知っていたのですが、その名前がでてくるのは物語の半分を過ぎてからです。

    ほとんど感情移入できないままここまで引っ張ってこれる力のある小説(モノローグ)ではあると思いました。

    その他の作品としては最後の表題作「王の闇」。

    ジョー・フレイジャーの没落した侘しさを彷彿とさせる佳作です。

    「深夜特急・ボクサー編」という感じです。

  • 増田係長のお薦め本。輪島の生き方、負けてもボロボロになっても挑戦し続けることこそ大切であると伝えたかった。綺麗じゃない辞め方も生き方としてもいい。

  • 小さい頃から、周りにヒーローがいた。

    チェンジマンとか、ドラゴンボールの悟空とか。

    それで、自分もヒーローになりたくて、変身ごっことかしてた。

    そんな風に、憧れの、絶対的な存在として
    ヒーローはいた。

    現実世界では、プロスポーツ界の選手が
    ヒーローとしてよく捉えられる。

    イチローとか。カズとか。

    彼らは同じ人間なのに、
    ヒーローとして存在してほしいという周りの願望故に
    彼らが持つ闇は考慮されないことが多い。

    それでも同じ人間だし。
    闇を見てもらえない分、彼らの孤独は強いんだ。

    っていうことで、
    この本は、プロスポーツ界のヒーロー=「王」の闇が、
    本人や周囲へのインタビューや沢木さんの目を通して
    描かれている本。

    面白い。

    人間って面白い。

    同じ人間だけど、持つ能力と環境と
    求められているコトのプレッシャーゆえに、
    彼らの闇は私が持つ闇とは全然違う。

    うん。
    沢木さんの切り口が、王を「王」として扱っていなくて面白い。

    さらっと読んでみてください。

  • 沢木耕太郎のスポーツノンフィクション短編集の中でくりかえし読んだ本。
    元世界チャンピオン輪島功一のところはページが擦り切れるくらい読みました。  

  • とても読みやすい本です。
    短編集になっています。
    スポーツ人生について・・・・
    スポーツ選手として活躍した、その後を書いてある作品集です。
    あっという間に読めてしまいます。

  • 090228(n 090424)
    100817(n 101017)

  • 凄く気遣いの人に見える。
    他人の無神経さが許せない人に見える。
    そういう神経質さがなければ作家になれないかもしれない。
    でも大場政夫に関した章では自分自身はどうなの?と首を傾げたくなる。
    まぁでもボクシング好きだし、一気に読み終えれた。
    輪島を尊敬する僕としては輪島までケチョンケチョンな書かれ方をされてたら許せないと思ったが、事実そうなりそうに見えながら、結局は著者本人が一本とられるような形での結末。内容も良くて収録された作品の中で一番面白かった。
    クセがあって気になる所はあるけど、結局なんだかんだでこの人の作品は好きなんだなぁ。

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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