新装版 テロルの決算 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 720
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209148

作品紹介・あらすじ

ひたすら歩むことでようやく辿り着いた晴れの舞台で、61歳の野党政治家は、生き急ぎ死に急ぎ閃光のように駆け抜けてきた17歳のテロリストと、激しく交錯する。社会党委員長の浅沼稲次郎と右翼の少年山口二矢。1960年、政治の季節に邂逅する二人のその一瞬を描くノンフィクションの金字塔。新装版「あとがき」を追加執筆。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 刺す方、刺される方、両者に等しい眼差しをあて、イデオロギー的に立場を取らず、クールに、しかし情熱的に文章を編んでいく。実に素晴らしいドキュメンタリーだ。ちょっとした一文が優しく、かつ重い。

    浅沼は幼少の一時期を除いて、血のつながった人間との「狎れ合った」関係の中で生活したことがなかった。義母という他人、友人という他人。結婚しても子供が生まれなかったから、彼の身の回りには妻という他人、幼女という他人、秘書という他人しかいなかった。234ページ。

    みたいな、ちょろっとでてくる、どきりとする文章が。

  • 事件としては一瞬で終わる話なのに、全ての登場人物の背景を深掘りしていって、ここまでの話にまとめたのはすごいと思う。
    当時の世相などもわかって良かった。

  • 政治家の浅沼稲次郎さんと、その浅沼さんを殺害した山口二矢の物語ですが、それぞれの心理的情景と行動、そういう行動を生み出す時代背景がとてもよくかけていると思いました。
    まだ自分が生まれる前の時代になりますが、戦争が終わり、戦後の高度成長に移る時代で、国民が政治というものをいまよりもずっと真剣に考えていた時代であると感じます。
    ソ連と米国の冷戦、それに中国という強大な国が日本をとりまくなか、国が左にいっても右にいってもおかしくない時代の雰囲気がよく伝わります。
    今の若者が読むとどう感じるのだろうか?と、思わせる本でした。

  • 1960年、左翼の運動が盛んだったころの話。17歳の少年・山口二矢(やまぐち・おとや)は、共産主義(左翼)が日本を滅ぼすものだと断定し右翼活動に没頭する。そして、社会党委員長であった浅沼稲次郎を演説中に刺殺するという前代未聞のテロ事件を引き起こす。
    この作品では、山口二矢が事件を起こすに至った心理描写や浅沼稲次郎の政治人生が克明に読み取ることができる。山口二矢という少年は、おそらくとても純粋な少年で、当時流行だった左翼の偽善や暴力性がどうしても許せなかったのだろう。また、右翼団体の腰の重さにも次第に絶望し単独での凶行に踏み切る事になる。その凄まじいまでの行動力。
    その後次第に左翼が勢力を失っていった事を考えれば、この17歳の少年が少しは歴史を動かしたと言えるかもしれない。

  • 山口二矢に焦点をあてた作品であるかのように思えたが、
    著者があとがきで記している通り、浅沼稲次郎の作品でもあった。

    60年代という時代世相がどういうものであったか、
    それを少しでも垣間見るための作品でもある。

    山口と浅沼の両者を比較した場合、どうしても山口には共感できない。
    浅沼のほうがより人間臭さが感じられてしまう・・・

  • 刃を持った17歳の右翼少年と、刺殺される社会党党首/ 両者を掘り下げてその悲劇をリアルにする/ 左翼活動全盛期の追い詰められた右翼がよく描かれている/ 

  • 面白かった。当時の状況をもっと勉強していればもっと楽しめたはず。

  • 「凍」が面白かったので、引き続き沢木氏のノンフィクションをと思い読んでみる。社会党委員長の浅沼稻次郎を刺殺した、元大日本愛国党員山口二矢の話。
    最初は学生運動盛んな時代を興味深くは読んでいたが、浅沼山口両氏の詳細な背景などは、いまいち興味が持てず、途中で読むの断念。

  • 何とも言えないノンフィクション。とにかく丁寧で緻密な人物描写が凄かった。山口二矢と、浅沼稲次郎という人はどちらも極端な思想家でもテロリストでもなくて、ただ単純に自分の信じる道とか、正義感みたいなのがすごく強い人だったんだなあとか、どっちも実直で不器用で、時代がそういう時代だっために起こってしまった事件だったのかなあとしみじみ思うわけで。

  • 沢木耕太郎 「テロルの決算」
    山口二矢によるテロル(自分と異なる政治信条は認めず、殺すことで決着を図る)の前後を再現し、被害者の浅沼稲次郎の実像も含めて 総括した本

    著者が読み手に伝えたかったのは 次のことではないか
    *二矢が若くして、テロルを単独決行し、自決したことの是非を問うた

    *ニ矢伝説の真偽を検証して、伝説は 事実を粉飾している と結論づけ、粉飾意図を問うた

    二矢伝説とは
    「ニ矢の刀を 護衛の刑事が掴み、ニ矢は 刑事の手を守るため 刀を手放し 自決を断念したという伝説」
    この伝説により 二矢は 英雄視され、浅沼は テロリストに殺された社会主義者としての栄光を手に入れた

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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