復讐するは我にあり 改訂新版 (文春文庫 さ 4-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167215170

作品紹介・あらすじ

列島を縦断しながら殺人や詐欺を重ね、高度成長に沸く日本を震撼させた稀代の知能犯・榎津巌。捜査陣を翻弄した78日間の逃避行は10歳の少女が正体を見破り終結、逮捕された榎津は死刑に-。綿密な取材と斬新な切り口で直木賞を受賞したノンフィクション・ノベルの金字塔を三十数年ぶりに全面改訂した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 高度成長期の日本を震撼させた。連続殺人鬼、榎津巌。78日間の逃亡劇から、逮捕、裁判、死刑執行までの一人の殺人犯のノンフィクションノベル。
    モデルは、西口彰事件。(昭和38、39年)
    こちらは改訂版で、当時30年ぶりに全面改訂され出版されたもの。
    最初の殺人事件から、全国を転々とし、その間、大学教授や弁護士などと偽り、各地で詐欺を働きながら逃亡生活を切り抜ける。
    かなりの取材をされているのでしょう。詐欺の手法から、被害に遭った人達の人柄から生活まで、丁寧に時間を追いながら書かれている。
    あくまで、事件そのものを追う。ノンフィクションということに重点を置いたためか、犯人の心情や行動動機などは、よくわからない。
    犯人は、キリスト教カトリック信者であった。タイトルも新訳聖書ローマ人への手紙から取られている。
    長い間、このタイトルからハードボイルド系の何かだと思っていたことがある。神のみぞ罪に審判を下せる的な意味だと思うけど、犯罪は法律で裁いて良いのではと思う。文章は読みやすいし流れもよくわかる。でも、直木賞はノンフィクションでない方が良いなあとも思った。

    • みんみんさん
      これは緒方拳の映画が子供心に強烈な印象だったわ
      これは緒方拳の映画が子供心に強烈な印象だったわ
      2023/11/01
    • おびのりさん
      それそれ
      それそれ
      2023/11/01
  • 重い。 

    救いがない殺人鬼。
    関わった全員を不幸にする…これが現実かと呆然とするしかなかった。

    何度も言うが…救いがない…

  • 5年ぐらい前に読んだので勘違いしてるかも。
    あちこち流れながら、ひたすら人を殺しまくる。映画版は何も考えずに見れてエンタメ色が強いが、こちらはノンフィクションぽさが全開で陰惨で読ませる。だけどなぜ彼という根本的な疑問が残った。

  • 池上冬樹編・ミステリ201から。これ、名前は変えてあるけど、実際の事件を元にしたいわゆるノンフ作品なんですよね。時系列を追っているだけと言ってしまえばそれまでだけど、次に何が起こるか分からない不穏さとか、小説さながら。不謹慎ながら、普通の娯楽作品としても十分楽しませてもらいました。

  • 事実だけが積み重なられていく構成になっている。
    殺害場面もなく、もちろん犯人・榎津が心情を吐露する場面もない。
    犯行後の現場の描写はあるものの、第一発見者をはじめとする証言などが語られていく。
    これはノンフィクションなのだろうか。
    確かに登場人物の名前は違うし、一応小説として発表されてはいるけれど、限りなくノンフィクションに近いもの・・・と言っていいと思う。
    映画化の企画が榎津の家族から抗議を受け断念するエピソードが描かれている。
    「家族まで罰するのは赦してほしい」という嘆願書だったという。
    結局、映画化は残された家族の人権を侵害するとの理由で断念された。
    犯人の人権、被害者の人権、そして残された加害者家族・被害者家族の人権。
    そんなことを考えながら読み終えた。
    逮捕され、裁判が進む中で徐々に変わっていく榎津が興味深かった。
    変われるのなら、どうしてもっと前に変わることが出来なかったのか。
    現実に起きた事件に基づいているからこその怖さが伝わってきた。
    この世で本当に怖いのは、人間が人であることを止めてしまったときなのかもしれない。
    すんなりと入ってこない部分もあったけれど、最後まで一気に読んでしまった。
    犯罪小説とでも呼んだほうがいいこの手の作品は神経が逆なでされるような気がする。
    それをどこかで感じながら、それでも読まずにはいられない。
    いつも不思議な感覚に陥ってしまう。

    ※実際にあった「西口彰事件」を題材にしている

  • 新装版となり、地名が実名になって読みやすくなりました。
    実在の事件の詳細は知りませんが、まるでノンフィクションを読んでいるかのようなリアリティーがあります。
    ここまで、人間って悪人になれるのかという印象を受けました。

  • フィクションとノンフィクションの境目が分かりにくかった。(明確な部分も少なくないけれど)やはり小説としての作品なのだろう。読んでいて最後の方は犯人に肩入れしてゆくのが不思議だったがこれは作者が意図してることなのだろうか。誰に、何に復讐するのわからないまま、己に対してなのかなと思うことにした。

  • 創作部分もあるドキュメンタリー。この世の中に榎津のような人間は多く居るのだろうけど、それを実行に移す者が出てこないだけなのだろう。新約のローマの信徒への手紙にある一節「復習するは我にあり」を題名とした著者のセンスは、榎津が犯した犯罪や、それを詳細に綴った本作の内容にも増して凄いと感じた。

  • 映画を視聴したのちに購入。
    映画版よりもこちらの方が深みがあるというか、映画版の「行間」の意味が分かったともいうか。とはいえ、映画版との展開と違うところも多いが。

  • 面白かった
    どこまでフィクションなのだろう...
    鼻唄...

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著者プロフィール

1937年4月15日朝鮮咸鏡北道穏城郡訓戒面豊舞洞167番地で生まれる。
1941年12月末朝鮮から関釜連絡船で広島県高田郡小田村へ帰国。
1950年6月広島県高田郡小田村中学校から八幡市立花尾中学校へ編入。
1956年4月福岡県立八幡中央高校を卒業して八幡製鉄所入社。
1963年5月「ジャンケンポン協定」で第3回日本文学賞を受賞。
1976年2月「復讐するは我にあり」で第74回直木賞を受賞。
1991年6月「身分帳」で第2回伊藤整文学賞を受賞。
2006年11月北九州市立文学館の初代館長に就任。

「2011年 『昭和二十年八さいの日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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