ビート・オブ・ハート (文春文庫)

  • 文藝春秋
4.03
  • (11)
  • (8)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167218355

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 勧められて初読みの作者さん。トレーラーハウスで育ち、17歳で妊娠し、知らない街で彼氏に置き去りにされた女の子と、彼女の周りにいる優しい人たちのお話。
    読みながら途中で彼女の愚かさに腹立ちも覚えた。けれど彼女も、彼女の友達も自分たちの愚かさも他人に騙されやすいことも知っていて、嘆いたり憤ったりする。幸せを手に入れるとすぐ、それが失われるのではないかと暗い予感におののく。
    そういうふうに育ってしまったのは彼女たちの罪ではない。貧しさとか育った環境とかそういう自分では選べないもののせい。
    たまたまそうでなかった私は「どうして私たちはこんな目に遭わなくちゃいけないの」という彼女たちに答える言葉を持たない。
    それでも滴る水が川になるように、ちいさな努力が、幸運が、不運までもが物語の終わりに彼女たちを運んでいくのを祈るように見守った。

    読後感は悪くないけど、たくさんのノヴァリーたちのうちで幸せにたどり着ける彼女はいったいどの位いるんだろうと心に重たいものが残った。

  • 17歳のノヴァリーに起ったこと出来事が、決してその人の人生を不幸の道へ誘い込むものではなかったことにホッとした。

    人の人情や温かさみたいなものが相変わらず大好きで、この物語にも、大きさや色の違うたくさんの手が主人公に差し伸べられることにいちいち胸アツにならずにはいられなかった。

    シスター・ハズバンドの少し変わっている青色の髪や口調も全部大好きになりました。物語の中では、アルコール依存症やお兄さんがいたこと以外に、彼女の過去について多くは語られない。
    でも、ノヴァリーと出会ってからの彼女の姿は、シスターだからという訳ではなく身体中から溢れ出す、若い母娘への愛情で満たされていた。

    フォーニィもレキシーもホワイトコットンもベニー・グッドラックも、それぞれが愛すべきキャラクターでした。

    心が若返る小説。

  • 17歳、家族も友達もいない妊娠7カ月の女の子。彼氏と子供との新しい生活を夢見てカリフォルニアへと移住する途中で、セコイアの町のスーパーマーケットで、彼氏に置き去りにされてしまう。お金も知り合いもいないその町で、ぽつんと一人佇む彼女に、その町の風変わりな人々が彼女に手を指し伸べてくれる。辛い出来事も沢山あるが、その度彼女は支えを求めたり、自分が支えになったりする。与えるだけでもなく与えられるだけでもない。生きてくってこういう事なんだって思った。

  • なんか割とかったるいなー的な展開で、前半から中盤から後半に至るまで、もう何やらもやもやするばかりで、ってもう全体的にもやもやしっぱなしじゃん!ってとこなんだけど、最後の数ページがある意味で肝というか、そこに全てが詰まっているというか。しかしそこに至るまでが長すぎるような、というかこのお姉ちゃんは最初は17歳というめっさ若いんだけど、その若さとか、女性の苦労みたいなのがちっとばかし感情移入できなかったかも。

  • 再読了。

  • 主人公が彼氏においてかれて行き着いた街で子供をうみ、だんだん強くなっていくお話。大きな出来事、小さな出来事、いろいろ経験して徐々にかわっていく様子が好き。

  • 1999年6月読了。

  • 17歳でお腹の子供の父親に「ゴミ屑みたい」にポイと捨てられ、「そ、そんな場所で?!」出産し、幼い頃にネグレクトされていた母親にまたまた踏みにじられ、、、、その他、DVあり、災害あり、事故あり。
    どんだけ悲惨だよ!
    な、はずなのに、なぜか湧き出てくるのは、元気とクスクス笑い。

  • 「その赤ん坊には、なにか意味のある名前をつけておあげなさい。しっかりした名前、強い名前を。いろんな悪い時期も、つらいことも、ぜんぶ乗り越えていけるような名前を」


    17歳の少女ノヴァリーは、身ごもって七ヶ月目に、たまたま立ち寄ったオクラホマの小さな町のウォルマートで、赤ちゃんの父親でもあるボーイフレンドに置き去りにされてしまった。
    お金もなく知り合いもなく、当然住む場所も行くあてもなかった彼女は、なんとそのウォルマートの店に隠れ住み、とうとうそこで赤ちゃんを産んでしまう。その展開が意外でおもしろかった。

    彼女はいつかちゃんとお金を返せるようにと、自分がその店で飲み食いした物や使ったマタニティ用品をいちいちノートに書き印しながら、その巨大スーパーで生活する。そしてその間にいろんな人と出会い、彼らとの交流が彼女の人生をどう変えたのか、がこの話のメインテーマとなる。

    最初にこの店に置き去りにされた日に知り合ったアメリカンネイティブの少年。
    その少年に貰った苗木が病気になって葉が落ちてしまい、その原因を調べようとして彼女が訪れた町の図書館で出会った青年。
    親切だけど言動がどこか奇妙なシスター。
    そして、生まれてくる子供にドラマに出て来るようなお洒落でステキな名前をつけようと考えていたノヴァリーに「つらいことがあっても乗り越えていけるような、強い、意味のある名前をつけてあげなさい」と言った老カメランマン。

    この「しっかりした名前、強い名前」のエピソードが、私にとってこの本がただの「ちょっといい話」ではなくなった理由だ。
    読めばわかるが、その老カメラマンに言われて彼女が生まれた娘につけた名前がとにかく凄い。普通の人ならまずつけない名前だ。
    そんなものスゴイ名前をつけた彼女を、貧しく教養のない典型的な「プア・ホワイト」と断じてしまうのは簡単だ。
    幼い頃に母は男と逃げ、学校も中退し、将来設計なぞ考えもしないで最初に好きになった男の子供をわずか17歳で身篭り、揚句の果て新天地を目指すその男に見知らぬ田舎町で置き去りにされてしまったノヴァリー。
    確かに頭はよくない。計画性もなにもない。でもこの話の中の彼女には、お金も教養もある「上等な人たち」に負けない美点がある。
    それは人の善意や言葉を素直に受け取ることができる心と、不安や不運に負けない強さだと思う。
    だから彼女が娘につけた突飛な名前を、私も素直に「ああ、確かにそれはしっかりした、強い名前だ」と思えた。

    この小説の原題は『Where the Heart Is』、心のある場所。
    このタイトルの意味はちゃんと本編の中でわかる。
    「若く貧しい娘が暖かい心の交流を経て幸せをみつける話」と書くと、所詮作り物の単なるお伽話のようだけど、それだけとは言えない力強さがこの小説にはあると、私は思う。

全15件中 1 - 10件を表示

ビリー・レッツの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
東野 圭吾
ジェイムズ・P・...
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×