遥か南へ (文春文庫 マ 6-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167218614

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  • 人はいつから自分の居場所探しを始めるのだろう。ベトナムは人の心に大きな傷を残した。人を殺してしまったベトナム帰りのダン。余命わずかと宣告されたダンは逃亡する。逃亡先で出会い、道連れとなるのは顔半分に醜いアザのある美少女、ダンを追いかけてきた3本腕の男、そしてプレスリーのそっくりさん。世間から外された異形の男女4人が南へ向かう。それぞれが自分たちの居場所を求めて。彼らは、いや私たちは自分たちの居場所を見つけられるのか。面白く切ないなんとも不思議なロードノベル。

  • 再読。大好きなマキャモンの大好きなアメリカ南部の話。『少年時代』で、勇気とは他人のために自分を犠牲にできることだと書いていたマキャモンだが、これもまたそれを伝える話ではないだろうか。マキャモンの小説は例えホラー作品でも、そうした勇気のある人間が主人公であることが多く、胸が熱くなることもしばしばで、この本も例外ではない。もちろんサスペンス的な面白さも秀逸だし、ファンタジー的な味付けもマキャモンらしいところ。そしてこの作品は、アメリカ南部の雰囲気を思う存分に味あわせてくれる。

  • マキャモンらしい作品。
    アメリカの匂いがプンプンしてくる。
    コレを読み、少年時代を読めば、
    後はアメリカに行くだけやろw

  • ヴェトナム帰りのダンは枯葉剤の後遺症に悩まされ、不況で大工の仕事にもあぶれ、今や大事なトラックすらローンのカタに差し押さえられそうになっていた。逆上したダンは銀行の担当責任者を弾みで射殺してしまう……自らが脳腫瘍と白血病とで余命いくばくも無いことを知る彼は「南へ」の逃避行を開始する。図らずも一緒に旅を続けることになった娘アーデンは顔の右半分が紫色の痣で覆われており、その痣を消してくれる(と信じている)伝説の治療師ブライト・ガールを探す旅の途中だった。一方、ダンを捕えるために追っ手が追跡を開始していた。双子の弟を脇腹に入れた3本腕の賞金稼ぎのプロ、フリントと、ボスの命令でコンビを組まされたプレスリーのそっくりさんペルヴィス・アイスリー。4人は引き寄せられるように南への旅を続ける……。

    本作は著者が「以後超自然的なホラーは書かない」と、“脱ホラー作家宣言”をしてから3作目の長編に当たる。
    原題「Gone South」とは、ヴェトナム時代のダンら仲間内の言葉で「正気を失ってしまった者」を意味する。戦争の惨たらしさ、無意味な死、後遺症で余命を削られてもなおダンは「南に行か」ずに踏み留まっていたが、大切なトラックを取り上げられそうになって一線を越えてしまう。追及の手が伸びる中で、気が進まぬながらも同行するはめになる娘アーデンは顔に痣を持ち、一方の賞金稼ぎコンビもまたそれぞれ異様な姿を持ち迫害を受け続けてきた……つまりダンを含めた4人はみな、社会から排斥されたアウトサイダーであり、南への旅の道程でそれぞれ生きる場所を探していく―そのような物語といえるだろうか。

    「資料秘宝」http://homepage2.nifty.com/ksbstr/index.htm
    の管理人さんによる
    「彼らの背負った重荷は四者四様だが、マキャモンの過去のある時期の姿がそれぞれ投影されている。プレスリーのそっくりさんアイスリーの象徴するものなどは明かだろう」という本作品への指摘には、目からウロコが落ちる思いだった。
    従って本作は―サスペンスフルな要素はあれど―決してホラーではないが、それでいてマキャモンらしい温もりある作品となっている。

  • 何度か読もうとトライしたのに冒頭数ページからその先へどうにも進めずに何年も放置。それがどういうワケか今回は無事に読み終えられた。人には時機ってあるものだ、というのが読了後の感想。読み終えることができたのもまさに時機。〈2006年3月2日読了〉

  • マキャモン版“オズの魔法使い”湿ったアメリカの雰囲気がいい感じです。

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