天智帝をめぐる七人 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167224233

感想・レビュー・書評

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  • 今ちょうどやる夫大海人皇子を読んでいるのでそのキャラに脳内置換されてしまうので、いまいちこの本とはまらないでいる。特に魔王さららたんに対して冷たいじゃないかと理不尽なことを思ってしまっている。
    キャラはともかく、この小説の中の説明的なセリフと現代的な思考が目についてしまうところはある。これは決してこの小説が稚拙なわけではないし、むしろ逆なのだが、小説とやる夫の表現形式の違いだ。表現そのものの改革者としてのやる夫はもっと注目されるべきだと思うなあ。やる夫そのものは下火だけど、最近のやつのレベルはすごいよ。

  • 大化の改新から壬申の乱前夜までを、関係者7人の視点で綴った連作。蘇我鞍作(入鹿)を倒したあと即位できなかったのは、実の妹、間人皇女との関係(いわゆる畜生道)による穢れにあったこと、宝大王(皇極天皇)に建築狂の性癖があったこと、中大兄が大海人から額田を奪ったのは「弟の妻と婚いて、日嗣ぎの御子の身の穢れを攘い清めよ」との神託によったこと、廃人となった間人皇女が中天皇として即位していたこと、鵜野皇女(のちの持統天皇)が「口かずが極端なまでに少なく、陰気で、強情で、女らしい柔軟さ温かさに乏しい」人物であることなど、これまで読んだ小説にはなかった点。いろんな見方、解釈の仕方があるんだなあ。

  • 「天智帝をめぐる七人」とは、

    軽皇子、有間皇子、額田女王、常陸郎女、鏡女王、中臣鎌足、鵜野皇女の七人。

    時の流れに沿って 七人それぞれの人生が描かれるなかで、
    歴史の渦の中心にいた 「天智帝」の姿が 浮かび上がってくる。

    個人的には、「常陸郎女」や「鏡女王」といった、あまり歴史の表舞台には出て来ない人物にスポットが当てられているのが嬉しいところ。

    この小説の中では、天智帝と同母妹・間人皇女との禁断の愛が重要な要素として描かれていますが、(←天智帝が数度即位を見送ったことと、額田女王を弟の大海人皇子から奪うことになる理由として)、間人皇女の立場から描かれた天智帝像は残念ながらありません。

    そのせいか、この小説の天智帝は 前半かなり冷酷非情な印象です。
    鎌足の章まで読んで、はじめて 少し甘えたような表情を見せ、おや?と思いました。心許した人にだけ見せる顔を、もうちょっと読みたかったかな。

  • 世界の伝記 藤原鎌足と前後してしまったけれど…書く人が違うと同じ歴史も多方面から見られておもしろいです。

  •  中大兄皇子(天智天皇)を軸に、彼に関わる者7人の目を通して、その為人(ひととなり)が語られる、連作歴史短編集。
     誅殺された蘇我馬子・鞍作(入鹿)父子を好人物とする反動で、皇子を冷酷な野心家として描いているため、周辺の多くの者らがその策謀に翻弄された心情を吐露する内容となっている。
     乙巳の変の解釈には諸説あるが、ここでは皇子(と中臣鎌子)の野望に端を発するシンプルな説を採っている。
     但し、皇子が幾度も即位を見送った理由を、実妹・間人皇女との姦淫に一元しているため、その点に説得力を感じるかどうかで感想は変わるかもしれない。
     また、登場人物たちの交友関係や懸想相手に、通説に限らない設定を行っている意外性も影響しそうだ。
     正直なところ、ピカレスク系としては、後半につれてインパクトや吸引力が薄れていった感があるので、その辺りを徹底させてほしかった気がする。
     だが、常陸郎女の章では、皇子が往く修羅の道に静かに随行する決意を固める彼女の心情がしめやかに美しく、表題の如き煌めきを放つ。

  • その人生において何らかの形で天智帝と関わりを持った人物を主役にした七つの短編集。主役である天智帝をあえて影の立場において描くことで、より実態を伴った「人間天智」が垣間見えてきます。

  • 歴史には、それを紐解く人間がいるだけの解釈があると思います。

    数年前、某ニホン放送で放映された古代ドラマのような解釈:大王家こそすべて正義で蘇我宗家が諸悪の根源、みたいな解釈もさもありなん、です。
    つい半世紀ほど前の戦前まで、日本には天皇に関する厳しい言論統制があり、違反は不敬罪で取り締まられてたし、楯突いた勢力は文字通り賊軍だったし、猫もしゃくしも天皇バンザイなのが普通だったんですよね。

    でも、それでは面白くないなと思う人間がここに一人。

    前置きが長くなりました。
    ここからはあくまで個人的思想です。
    反感を恐れずに書きますが、私にとって葛城皇子とは、腹黒い・陰湿・ドS・残忍…と、かなりダークであってほしいお方なのです。
    小栗旬が演じるような、爽やかで正義感あふれる葛城皇子もたまにはいいでしょう。
    でも、ダークであればダークであるがこそ、秘めたるポテンシャルがハンパない。そんな皇子に圧倒されたいんです。
    闇を背負って、目を光らせ、仰々しく登場して欲しい。
    そして稀に「意外!」ともとれる優しさを見せて欲しい。
    失礼な書き方ですが、これ全部褒め言葉です。
    心にMっ気を秘めた方には解っていただけるかな…。

    この本は、そんな私の願いを叶えてくれる素晴らしい歴史小説の中の一冊です。
    入鹿=大郎鞍作(この表記もイイ!)や他の皇子たち、皇女たちの性格もかなり好みです。
    女性ならではとも言える、さらさらと軽やかなセリフまわしややわらかく繊細な筆致も読みやすいです。

    なんだか今回はいつにもまして妄想全開なレビューで失礼いたしました。

  •  黒岩重吾「中大兄皇子伝」でもそうでしたが、やっぱり天智帝は狡猾な頭脳派で、弟の大海人皇子(天武帝)は武芸の得意な肉体派(?)でした。三人称で主人公が別の人物であるからか、中大兄皇子は黒岩版よりもより余裕綽綽でイヤらしく見えました。女性の名前が覚えにくいのは時代柄しかたがありません。

  • 図書館にて貸出。

  • 軽皇子(孝徳)、有間皇子、額田女王、常陸郎女、鏡女王、鎌足、鵜野皇女(後の持統)という七人の立場から、中大兄皇子を中心とする歴史の流れを描いていきます。
    なかなかわかりやすくて、面白い。
    中心となる中大兄(後の天智)は冷酷で果断、周囲に恐れられる人物。
    ここでは額田は武骨で誠実な大海人(後の天武)の恋女房で娘と3人で幸せに暮らしていたのに、大海人が百済救援の出兵に反対して都の留守居役になっている間に、筑紫でのお告げにより、やむなく宮廷に上がることになっています。
    鏡女王は鎌足の正室。額田の同母姉という通説に従っています。
    軽皇子は中大兄の母・皇極女帝の弟。蘇我入鹿暗殺の後に天皇になりますが、元は入鹿と親しかった間柄。傀儡としての王でしかなく、特にこの本では間人皇后と中大兄の愛人関係が繰り返し語られているので、立場ないです。
    常陸の郎女は蘇我の赤江の娘で、中大兄の妃の一人〜赤兄というのは有間皇子謀反を讒言した人物。蘇我の娘は目立たない存在でも勢力争いの渦中にあったんですね。

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