新解さんの謎 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1309
レビュー : 180
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167225025

作品紹介・あらすじ

辞書の中から立ち現われた謎の男。魚が好きで苦労人、女に厳しく、金はない-。「新解さん」とは、はたして何者か?三省堂「新明解国語辞典」の不思議な世界に踏み込んで、抱腹絶倒。でもちょっと真面目な言葉のジャングル探検記。紙をめぐる高邁深遠かつ不要不急の考察「紙がみの消息」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 辞書から飛び出した、というか辞書そのものの新解さん。一つ一つの答えがツボ。挿し絵もツボ。大真面目に語っているところが素晴らしい。
    後半の赤瀬川さんのエッセイ集も秀逸。20年前の空気がやって来たようで、なかなか。

  • 201334.久しぶりに本読んで大笑いしてしまった!息子が「ママ、なに本見てわらってんの!」ってすごく興味を示されて・・。確か実家は新明解国語辞典だった!今度帰ったら絶対辞書読書しよう♪

  • おもしろい。とにかくおもしろい。
    新明解国語辞典にはコアなファンが付いていることは知っていたけれど、辞書はあくまで「引くもの」であると思っていたし、電子辞書が台頭してきてからはますます紙の辞書から遠のき、ネットの辞書が充実してきた最近では電子辞書で調べることもあまりしなくなっていた。
    けれど、この本を読み、久しぶりに紙の辞書に触ってみた。もちろん「新解さん」に。
    今本屋さんに置いてあるのは7版だけれど、7版の新解さんにもやっぱり中の人がいるなと感じさせる。新解さんは生きている。
    新明解国語辞典は読み物としてもおもしろい。この本を手引書として読むと一層おもしろくなった。

  • 自己主張する辞典「新明解国語辞典」、「新解さん」をもっと知りたくて読んだ。これは新しい世界だ、あぁびっくり。
    我が家の書棚に静かに鎮座していたのは世間の荒波に揉まれて少々〝丸くなった〟第五版(第五新解丸)だった。第四版をぜひ〝読んで〟みたい。


    ところでこの本、「新解さん」以上にインパクトがあったのが後半の「紙がみの消息」だ。体裁はユーモアを織り交ぜた軽いタッチの「紙」に関するエッセイなんだけど、さすがは赤瀬川さん、その飄々とした風貌の下から現代人の「地球に対する甘え」を見抜き「チクリ」と突っついてくる。
    あまりにも身近に、大量にある「紙」。だがこれも間違いなく限りある地球の資源なんだ。自分の生活を省みて「ドキリ!」とさせられた作品だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「後半の「紙がみの消息」だ」
      確かに、、、
      赤瀬川原平の目の付け所って凄いよね。。。
      「後半の「紙がみの消息」だ」
      確かに、、、
      赤瀬川原平の目の付け所って凄いよね。。。
      2012/08/30
  •  三省堂の『新明解国語辞典』の面白さを世間に広めた本。
     その筋では有名な、第四版の「恋愛」の語釈がこれです。

    《れんあい【恋愛】 特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。「―結婚・―関係」》

     最近の版ではもう少しおとなしくなったようですが、この頃はかなり尖った語釈を展開しており、その面白さを著者がリアクション(ツッコミ?)を通じて最大限に引き出しています。

     語釈の他にも、例文がこれまた妙なのが多いのも特徴。

    《ぬらぬら (略)「先刻小屋へ入って世話をしましたので、―した馬の鼻息が体じゅうへかかって気味が悪うござんす」》

    《つぎつぎ (略)「クロウして建てたマイホームが―と〔=Aの部屋ばかりでなく、Bの部屋までも〕シロアリに食われている」》

    《どっぷり (略)「おそばのタレは、たっぷりとつけたい。たっぷり、というより―といった方がいい」》

     ネタばらしになっちゃいますので、是非本書でめくるめく新明解ワールドをご堪能下さい。


     ちなみに、『新明解国語辞典』がここまで変な…失礼、攻めの語釈を展開するのにはちゃんと理由があります。
     国語辞典の語釈には著作権が認められないそうです。
     似たような事件で「城」の定義に著作権が認められるかという裁判があり、否定された判例があります。学術用語の定義というのは、簡潔にその特徴をまとめたものであり、一定の学識を持った人間が要素を抽出して作れば必然的に同じようなモノになってしまいます。しかし、これに著作権を認めて保護してしまうと、学問上の議論が阻害され、引いてはその分野の学問上の発展が妨げられてしまうことになるからです。
     国語辞典の語釈も、言葉を簡潔に定義するとだいたい同じようなものに行き着かざるを得ません。だから国語辞典の語釈には著作権が認められない、という理屈なんだと思います。
     が、ここでそれにぶち切れた人がいます。新明解国語辞典を作った山田忠雄です。
     「ふざけんな! 俺たち辞書屋がどんだけ苦労して辞書編んでんだと思ってんだ! 誰がやっても似たり寄ったりぃ? 上等だ、じゃあこれでもかってくらいオリジナルな語釈してやる! パクれるもんならパクって見やがれっ!」
     …と、(表現はかなり下品になっちゃいましたが)こういう思いから「個性的な」語釈を展開した…というのをテレビ(ビーバップ・ハイヒール)で見ました。

     この本に出合わなければ、辞書を読むなんてこと、一生しなかったと思います。
     新明解国語辞典のヘンテコな魅力をこれでもかと紹介した本書。ご存じない方は是非一読を! これ読んでないのは人生損してますよ!

  • 岡本太郎が言うように「なんだこれは?」と思わせるのが芸術ならば、新明解国語辞典は立派に芸術だし、この作品はもっと芸術です。新明解国語辞典の例文や構成だけでも面白いけれど、その紹介の仕方がまず笑えるし(いきなり「あばら屋」の数え方を持ってこなくても)、作中で入れられる突っ込みや感想の妙に大爆笑しつつも興味をそそられます。後半の紙についての考察にも言えることですが、表現が的確で分かりやすい。読み手が感じる「何か」をそれこそ明快にしてくれる。多才な方に特有の、本気なのか冗談なのかわからない飄々とした魅力も含めて楽しませていただきました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「本気なのか冗談なのかわからない」
      勿論、全部100%マジでしょう、だって「超芸術トマソン」の方ですから。。。
      「本気なのか冗談なのかわからない」
      勿論、全部100%マジでしょう、だって「超芸術トマソン」の方ですから。。。
      2013/07/06
  • 赤瀬川さんって、どんな分野でも任せとけ!って感じ、今回も面白おかしく読了♪ 辞書をひいた思春期の頃が懐かしくなること、請け合い(笑)

  • これ!最高に笑った!病院の待合で読むものではなかった・・声に出して笑ってしまうほどの面白さ。私は「国賊」が気に入った!家にある新明解でも調べてしまった。昔辞書って意外に面白いと思って読んでいたことがあったのだけど(暇人)ここまでいいツッコミは思いつかなかった。出来れば1冊全部新解さんにしてほしかったなあ。

  • 新明解国語辞典は読み物になる。お金のない「新解さん」のくだりなどひとつのストーリーだ。ただ、見出し語を並べてストーリー仕立てにするには辞典の内容を熟知しておく必要があるわけで。徹夜で読み耽り、電車での熟読までこなしたというSM嬢の熱意に脱帽である。

    そのSM嬢による新明解国語辞典の分析本もあるようなので次はそれを読んでみたい。

    この本は一冊丸々が「新解さん」の考察なわけではなく、後半は筆者の「紙」にまつわる雑誌連載をまとめたコラムが収録されている。知らずに読んでいたらいきなり毛色が変わったので驚いた。「新解さん」に比べたら大して面白いとも思わなかったので読むのをやめようかとも思ったが、読み進めるうちだんだんと面白くなってきた。これが感染するとなかなか抜け出せない赤瀬川菌というやつだろうか。俄然興味が出てきた。第一、千円札の緻密模写で通貨偽造罪に問われる芸術家とか面白すぎる。

    こちらのコラムをまとめた本も出ているらしく、ほかにも幅広いジャンルの著書があるようなので、この機会にいろいろ手に取ってみたい。

  • 前半は新明解国語辞典の一風変わった語釈を紹介する。辞書なんかどれを引いても同じだと思っていたがさにあらず。後半は紙に関する諸々のエッセイ。そこで語られるエピソードは今から見ると時代が変わったことを実感するが、今でも変わらない紙の価値をあらためて認識させられた。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわげんぺい)
1937年横浜市生まれ。本名・赤瀬川克彦。愛知県立旭丘高等学校美術科卒業、武蔵野美術学校油絵学科中退。画家・作家。60年代はネオ・ダダ、ハイ・レッド・センターに参加、前衛芸術家として活躍する。70年代は、『櫻画報』などでパロディー・漫画作品を発表。1979年作家・尾辻克彦として執筆した『肌ざわり』で中央公論新人賞、81年『父が消えた』で芥川賞受賞。86年路上観察学会創立に参加。その後ライカ同盟、日本美術応援団を結成。
主な著書に『オブジェを持った無産者』『超芸術トマソン』『カメラが欲しい』『赤瀬川原平の名画読本』『正体不明』『新解さんの謎』『老人力』『四角形の歴史』『東京随筆』など他多数。2014年10月「尾辻克彦×赤瀬川原平 文学と美術の多面体」展(町田市民文学館)「赤瀬川原平の芸術原論 1960年から現在まで」展(千葉市美術館)開催。同月26日逝去。

「2018年 『赤瀬川原平 カメライラスト原画コレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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