- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167254223
作品紹介・あらすじ
ギリシャのロードス島山頂付近で姿を消した娘ヘザーの謎を解くべくイギリスへ戻ったハリーの前に立ちはだかる疑惑の壁。だが、戦友にだまされ、上司の息子の讒言で会社を追われ、酒に溺れる冴えない中年男にも骨はあった。次第に明らかになる大いなる陰謀とは?人の善意の恐さを語って尽きない鬼才が展開するゴシック・ロマン。
感想・レビュー・書評
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これも図書館で。
処女作「千尋の闇」は、超えられなかった印象。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
でゴダードの「蒼穹のかなたへ」
「闇に浮かぶ絵」が、ものすごい評判になっていて、それで名前に記憶がありました。で、古本屋で「リオノーラの肖像」をゲットして…打ちのめされました。
圧倒的な筆力と構成力、ただのゴシックホラー小説になりそうなテーマを、しっかり社会派でしかもヒューマンにまとめるなんて、どんな人なんだと驚愕しました。
そしてわくわくして、ゲットした「蒼穹のかなたへ」
ギリシャの島で、落ちぶれた男がイギリス女性を観光案内する。その女性が、突然姿を消し、男は誘拐したと疑われる…。
ゴダードは、だめ男を描かせると上手いんだけど、この主人公は特にぴかいちです。
だらしないのに、かたくな。いい加減なのに、くじけない。人は、相反するものをそれぞれに抱えて、それのバランスを取りながら生きているのだと、へんに気づかされます。
そして、衝撃のラスト。
実はこの帯はね、って思うところがあるんだけど、帯を考えた人も、これ以外に言葉がなかったんだろうな。うん、絶対そうに違いない。そういうラストです。
ラストは、号泣もんでした。
この主人公、のちに「日輪の果て」で再登場します。
自分の知らない間にできた子供に翻弄される話。
これも、泣けます。 -
後半、真相が見え隠れしてくるとどうにも止まりませんね、ページをめくる手が。
「千尋の闇」もそうだったけど、ゴダードの作品って皆こうだったら凄いな。 -
フォーマットはミステリではあるものの、文芸作品に分類した方が納得できる重厚さです。やたらと多い登場人物と錯綜した人間模様、こんがらがったプロットが印象的。読みきるのになかなか体力を要するゴダードの名品です。