少年時代 下 (文春文庫 マ 6-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167254377

感想・レビュー・書評

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  • 泣きたくなるような懐かしくて瑞々しい気持ちになる世界観の中に、自分の子供の心がワクワクハラハラするようなサスペンスもあって、飽きない上に感動で涙が出てくる。夏の終わり辺りから一気に面白くなった……!
    善悪観とか死生観とか、物凄く深いテーマまでがストンと自分の物になる。
    デイヴィー・レイが死ぬシーンや、医師が主人公を「ブロンコ」って呼ぶシーンなどが特に好き。というか、そのシーンに関わった前後の話とかも含めて……?伏線が精緻すぎて、だから死生観のテーマとかがちょうどよく「自分で気付けた」って感じになるから、自分の価値観に溶け込んだのかなあ。
    デイヴィー・レイのシーンで、忘れてた死神の事をはっきり思い出して、私も悲しくて怖くなった。
    最後の大人になってゼファーに戻ってくるところもあったの本当に良い。自分もあの頃の気持ちをふとしたところで大人になっても取り戻せるんだなって思うと嬉しい。少年時代の宝物の大切さが分かるのと同時に、大人になるのも悪くないなって思えるのがすごく良い。

  • なんと芳醇な世界であることか。
    個人的趣味とドンピシャだった幸福感。
    根気よく緻密に描写されるゼファー(※舞台となる町の名)の情景は、もはや自分の記憶なんじゃないかと錯覚するくらいに浸透してくる。
    名前がついた登場人物は160人にものぼるらしく、三国志かよと突っ込みたくなる。
    個性的なキャラが多く、神秘的な力を持つザ・レディ、老いぼれガンマン、全裸の大富豪、はたまた恐竜までが登場する、不可思議でスリリング、かつ懐かしい傑作であった。

  • 相変わらず楽しい物語が続くのかと思ったら、前半に比べると深刻な要素が増えてきたような印象が。今まででもさまざまな試練と呼べるような出来事はあったけれど。ここにきてのこれは読んでいてもつらいなあ……いずれは避けては通れない試練であるのは間違いないけど。できればこんなことは、子供の時代に経験したくはないことです。でもだからこそ、成長できるという面もあるのかもしれないけれど。
    そして例の殺人事件に関する謎もそろそろと解きほぐされてきます。最後の大団円(は予測されるので、ネタバレじゃありませんよね)へ向けてあれやこれやの要素が一気に繋がってくるのが圧巻。いやー素晴らしい!というほかありません。
    読み終わった後、少し切ないような、寂しいような、でも温かいものが残るような印象でした。

  • 独身時代に一回、結婚して子供が随分大きくなってから、もう一回読みました。
    一回目は少年の目線、二回目はそれに加え父親の目線で読めた気がしました。
    どちらもとても楽しめ、読み終わっちゃうのが惜しいと思いました。
    いつまでも少年のこころを持っていたいものです。何年かあとに、もう一回読みます。

  • 何度か読み返したはずでしたが、今回読んだらエピソードをびたいち覚えていなくて驚愕しました。重要な部分も一切覚えていなくて漠然と「面白かった」という状態でしたので、今回読んでみたらばこんなに盛り沢山だったかと驚きました。このままで大丈夫か脳細胞。

    主人公コーリーは、心配性の母、正直者の父、そして愛犬と暮らす12歳。友達も多いわけでは無いけれども熱い友情で繋がった友人が何人も居る。そして何よりも物語を作り出す才能に長けている。(これがスタンドバイミーのパクリと言われる所以か?)
    コーリーはある日父の牛乳配達の仕事を手伝うが、その時に目の前で車が湖に飛び込み沈んでいった。父は運転手を助けようと飛び込むが、運転席の男は顔を酷く潰され、首をワイヤーで絞められ、手も縛られていた。車は湖の深くまで沈み引き上げる事が出来なかった。
    この小さな町では悪意にさらされる事は無いと信じていた父は、その日から心に深い傷を負ってしまう。
    誰にも言わなかったが、コーリーは車が飛び込んだ時にそばでたたずむ人影を見ていた。顔は見なかったがその跡に落ちていた緑色の羽根を手掛かりに犯人捜しを密かに始めるのであった。

    そんな彼の前に事件が勃発するのですが、それが殆ど超常現象で下手すると恐怖新聞並です。どれもこれもあり得ない話なのですが、これがまた12歳という多感な時期とマッチしてとても楽しいのです。
    登場人物も魅力満点なんですよ。みんな大好き。

    鼻くそを食べるのを見せつける「デーモン」というあだ名の少女
    顔半分の色が違っている「ムーンマン」
    呪術を使うとあだ名される老女「ザ・レディー」
    川に住む伝説の生物「オールドモーゼス」
    移動遊園地から脱走して車を攻撃してくる巨獣「ロストワールド」、OK牧場でワイアットアープを助けたという伝説を持つ老人「キャンディースティックキッド」

    ちょっと抜き出しただけでもワクワクします。盛り沢山のエピソードですが僕はこの本終わらないように丁寧に丁寧に読みました。読み終わった時はちょっぴり寂しい気持ちになりました。また忘れたころにまた読みたいです。その頃にはすっかり忘れていたいものです。忘却万歳。

  • 上巻・下巻をまとめて。

    「少年時代」というライトなタイトルとは反して上下巻の読み応え十分の大作。

    内容はまさに「少年時代」。
    子供の頃の僕たちは愛、希望、夢、冒険、後悔、、、様々な彩り豊かな感情を抱いて毎日を生きていたと思う。この本にはそれがそのまま詰まっている。

  • 読後哀愁。アメリカの町なのにほんと哀愁。大好きな作品。

  • ・感想
    こんなに良い本だったなんて忘れてた…エピローグのカタルシスと満足感がすごい、何回も泣いた。
    変わっていくもの、変わらないもの、生きていくこと、出逢いと別れと喪失と成長の物語。
    小さな田舎町に住む12歳の少年、コーリーの1年間を一緒にはらはらどき、切なく感じながら読んでた。

    上下巻でどっちも500ページくらいあるので合わせて1000ページのくらいあるけど読みやすいし、後半の展開に読む手が止まらなかった(再読時は後半の展開忘れてたので新鮮な気持ちで最後の展開まで楽しめた)

    時代の流れそれに伴う社会の変化が変わっていくこと、変わることで喪うものも沢山あるけどそれを嘆くのではなく未来は繋がってるという希望あふれる物語だった。

  • スピルバーグの映画を思い起こさせるものがありますね…

  • ”「人生には、喜びと秩序がある一方、それとぴったり見合うほどの苦しみと混乱があるんだ。たぶん苦しみと混乱のほうが多いかもしれん、そうも思うよ。それがわかりだしたら、おまえも──」

    父はそこでかすかに笑い、悲しそうな目でわたしを見た。
    「大人になりはじめたということだ」


    それでも、信じることをやめないこと、世の中の良いものを信じ続けること。

    ”みんな大人になったように見えるかもしれませんよ。だけどそれは見せかけなの。時間がこしらえた粘土細工にすぎないの。男も女も、心のずっと深いところではいぜんとして子供なんです。”


    世界を信じること、その能力こそが子どもがもつ「魔法」の力であり、大人たちも、心のどこかにその力を残している。

    ザ・レディが魔法を使えたのは、信じることを続けたからだと思う。
    いくつになっても、世界を信じる力、魔法の力を失わないこと。


    ”光の溢れる、青い空を見上げてみる。

    翼を持つ四つの人影が、そしておなじように翼を持つ、彼ら四人の犬が、光の川のなかを旋回しながら戯れているのが見える、と思う。

    彼らはずっとあそこにいるのだ、魔法が生きているかぎりは。

    そして、魔法というのは、強い強い心臓を備えているものなのだ。

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