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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167257026
感想・レビュー・書評
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はるび(腹帯)をばつよからずまたよわからずゆび二本いるほどにしむべし
秦尚義
来年のえとは午【うま】。馬と言えば、競馬ファンは、今日のG1(重賞)競走「ジャパンカップ」の結果が気になるだろうか。読書ファンの私は、木下順二のエッセー集「ぜんぶ馬の話」を思い出す。
「夕鶴」で知られる劇作家木下順二は、長い乗馬歴の持ち主だった。1914年(大正3年)、東京生まれ。旧制高校で馬術部に入り、本格的に乗馬を開始。とはいえ学校に馬はなく、軍に通って野砲隊の馬で練習に明け暮れたそうだ。
時代は戦争へ。大学卒業後、召集で騎兵となる可能性が高かったが、良心的徴兵忌避の道を選ぶ。農家の裸馬にまたがり、敗戦までは創作案をあたため、戦後に活躍。生涯独身で、2006年に92歳で没した。
掲出歌は、そんな木下が「行き届いた教科書」と評価した、1816年(文化13年)の「騎術【のりわざ】藻塩草」より。馬術についての秘伝口伝を、秦尚義が800首を超える短歌形式でまとめたものという。今日でも、腹帯の強さは「ゆび二本」入れて計るらしく、実用的な短歌の例となっている。
ほか、シェークスピア作品には馬に関する言及が500以上あることや、「平家物語」など軍記ものに多い落馬の話は、すでにそれ以前の「宇治拾遺物語」「今昔物語」にも見られるなど、うんちくがずらり。何しろ、馬に関する書物のコレクターであり、かつ、古今東西の馬の話題を記録したカードを10万枚以上作った著者ゆえの馬ワールドだ。
午年に読みたい、読売文学賞受賞作。
(2013年11月24日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示
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