王家の風日 (文春文庫 み 19-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259044

作品紹介・あらすじ

王朝存続に死力を尽す哲理の人箕子、倒さんと秘術をこらす権謀の人太公望。紂王、妲己など史上名高い人物の実像に迫り、古代中国商王朝の落日を雄渾に描く一大叙事詩。(遠丸立)

感想・レビュー・書評

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  • 受王は本当に暴君だったのだろうか。滅ぼされた側の悲しさか、多くの事実が勝者である周に色づけされたのではないだろうか。受王の箕子に対する温情や先祖子孫と王朝への想いはひとびとには伝わらない。
    商王朝が栄えるべき時代は去り、新時代にあった周が勢力をのばす。そのことに既に気付き、また新時代でも才を発揮できたであろう受王が商の体質に縛られ滅びゆくさまが切ない。

  • 商の終焉。

    この本が出た頃は、商の最後の王・紂王側から世界を眺める作品は少なかったように思う。そこに、悲しい滅びの物語として、紂王の視点を描いたことがおもしろい。
    商は神に助けられ、生かされた王朝。対して次代王朝の周は、人間の王の力が強まったことを示すような始まり。紂王がそこまで悪でなくとも、神の時代の滅びと共に商が滅ぶのは自然なことだったのではないかと思わされる。

    宮城谷氏の比較的初期の作品で難しい漢字が多いが、慣れれば調べたくなるだろうから、最初は飛ばしても問題ない。勢いにのって、王家の風日の空気をぜひ味わってみてほしい。

    太公望と合わせて読むとまた面白い。

  • 全1巻

  • 殷の箕子。

    殷の紂王。

    周の太公望。

    周の文王、武王。

    それぞれに生き様があって、歴史を紡ぐ。

    易姓革命の1つといわれる殷と周の戦いは、激しい。

    烈しさと儚さとそんな歴史の小説だった。

  • 太公望の裏側を知れるかと思って読んでみたが微妙でした
    これを読んでから太公望の方がいいです

  • 六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、振興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うために死力を尽くす。稀代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮やかに甦らせた長編歴史ロマン。

    商王朝から周王朝への商周革命です。


    暴君と呼ばれる人物が王として君臨すると、王朝が滅びる前兆ともいえるかもしれませんね。
    紂王だって王子のときはどちらかといえば頼もしいとも言える人物であり、箕子から積極的に教えを受けていたともいえます。
    権力を握ると人はこうも変ってしまうのか・・・・・
    滅び行く王朝を支えるべく箕子や比干がどれほど正しい意見をしても、紂王は聞き入れず、挙句の果てに比干や九候や顎候を悲惨きわまりないやり方で殺し、周の文王までも殺そうとする。
    土候が、「商に入朝する気はない。箕子どのにのみ従うつもりである。」と言ったのもうなずけます。

    商王朝が崩れゆく様を、ありありと描いてくれた一冊です。

  • 六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、新興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うため死力を尽す。希代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮かに甦らせた長篇歴史ロマン。

    殷が滅び、周が興る時代を殷王朝側の視点から描いている。同じくその時代を周の側から見た「太公望」は冗長なので(文庫で全3巻)、こっちの方がよいと言う人もいるが、個人的には「太公望」の方が好みでした。
    純粋に歴史を楽しみたいならこっち、物語を楽しみたいなら「太公望」という感じかな

  • 久しぶりに歴史ものを読んだ。
    漢字の意味や 神が治めていた時代の面白さ

  • 宮城谷さんのデビュー作のようです。
    そのためでしょうか、ある種の「硬さ」のようなものが感じられます。
    そのひとつは、やはり漢字の難しさでしょう。本意に近いことを前面に押し出した漢字使いなのだそうですが、意味不明の熟語が多く困ってしまいます。
    もうひとつは占いの扱いです。この時代、占いを中心に政治が回っていたようで、やたらと占いが出てくるのですが、それを信じる立場に立てば、なにやら超自然現象小説になりそうですし、占いを信じない立場にたてば、主人公たちが非論理的人間になってしまいます。そういう意味で扱いにくいのだとは思います。
    全体に今一つ盛り上がりにかけるのは、おそらく悪人対善人というありたきりな構図を著者が嫌ったせいもあるようです。紂王とそれを諌める人民の味方・箕子という単純構図にすれば物語としては面白かったように思います。

  • 2016/1/14

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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