孟夏の太陽 (文春文庫 み 19-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259051

作品紹介・あらすじ

中国春秋時代の大国晋の名君重耳に仕えた趙衰以来、宰相として晋を支え続けた趙一族の思想と盛衰をたどり、王とは何か臣とは何か、政治とは何かを描き切った歴史ロマン。(金子昌夫)

感想・レビュー・書評

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  • 「沙中の回廊」の反対面から描いた本。

    中国春秋時代の大国晋の名君重耳(文公)に仕えた趙衰の子・超盾は、父同様に晋の宰相となるが、自らが王に推戴した夷庚(霊公)と対立せざるを得なくなる。


    王とは何か、臣とは何か。
    宰相として国を支え続け、歴史とかかわってゆく趙一族の思想を盛衰を、透徹した史眼と清冽な筆致で描いた一作


    重耳に仕えて各国を放浪した趙衰の子(趙盾から)を描いた本です。
    晋のお国芸ともいえる内乱の中で、どうしたら自家を存続させることが出来るのか?
    「絶えてのち好し。」という占いの結果はどうなるのか。

    趙衰から隆盛をきわめた趙氏の家、血が絶えたかと思われましたが、ひっそりとその血はつながっており(その展開がまた泣ける!)、再び隆盛を取り戻します。
    しかし、国同士も血で血を洗うような世にあって、家同士も権力をめぐり血で血を洗う闘いが続く時代。
    家を絶やさずにいくということは、とても難しいものなのですね。
    趙衰から7代目の当主である趙無恤(趙襄子)が戦国時代の趙の国祖ですし、ここで事実上、春秋時代から戦国時代へと突入します。


    歴史は視点を変えて見るとますます面白く感じるということを、再認識させてくれた1冊。

  • 前600〜前400年頃。晋の文公(重耳)に仕えた趙衰の息子である超盾の話から始まり,超盾の子趙朔,趙朔の子超武,超武の孫趙鞅,趙鞅の子無恤と進み,晋が韓,魏,趙に分かれ,春秋時代が終わり戦国時代に突入するところまでを追っている。
    趙氏は趙朔の時に一旦滅びるところまでいくが,趙朔の友人である程嬰の働きにより,超武は生き残り,趙氏が復活することとなる。
    『聖人が国を治める場合,民に蓄えさせて,府庫にたくわえず,民の教育に努力しても,城郭作りに熱中しない。』この言葉が好きだ。

  • 趙一族を短編形式でまとめたお話。
    なんとなく聞き覚えのある話があり「あ、これはこの人の話だったのか」と再発見。
    重耳や夏姫春秋を先にお読みいただくことをおすすめします。

  • 全1巻

  • 何度読んだだろう。
    宮城谷昌光さんの作品は沢山読んでますが
    間違いなく一番好きな作品です。
    個人的には短編〜中編の作品がグッと詰まった感じと言うか、必要な情報だけが残されぴたっとピントがあっていて好きです。

  • 春秋時代の大国・晋の名族、趙家の歴代当主の事績を追う連作歴史小説集。同時代のたとえば士会や子産などと比べれば影が薄いと思っていた趙盾から始まる当主たちの人生の苦難や喜びが、意外なほど精密で鮮やかに描かれ、趙家の盛衰が生き生きと浮かび上がってきて読み応えがあった。

  • 同著者の「重耳」の後日談のようなもの。
    短編集ですが、主人公はすべて名前に趙がつく趙一族の人々で、繋がっている。
    各主人公の個性もそれぞれ違っていて面白いけれど、それよりも趙一族を支える忠臣たちの活躍が光ります。

    この作品で描かれた趙一族の奮闘が、後に趙という国の建国につながり、「楽毅」に出てくる武霊王を生む。
    短いですが、春秋戦国を描く宮城谷さんの作品群を繋ぎ合わせる作品。
    読んで良かったです。

  • 春秋時代の晋国の趙氏一族の盛衰史.ざっくりした記述ながら格調高く,些細なエピソードでくっきりと人物を際立たせて,歴史の偶然必然の機微がさっと目の前に広げられた感がある.最初と最後の文章の呼応もお見事!

  • 短編集であるが晋の豪族,趙氏の栄枯盛衰を時間を追って記した一編の物語である.重耳の時代の趙衰から晋の有力者である知氏を滅亡に追い込み魏,韓,趙の戦国時代に持ち込んだ趙むじゅつまでを描く.もう少し戦闘が具体的に書かれていればもっと良かったと思う.

  • 趙を建国するまでの趙氏の7代記(になるのかな?)。各世代の当主の生涯の短編を繋げて年代記とするこの手法は素晴らしいです。春秋の歴史が晋の一家臣の家の姿から浮かびあがり、徳と礼のあり方を示してくれる一品です。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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