沈黙の王 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1995年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167259068

作品紹介・あらすじ

黙せる王は苦難のすえ万世に不変不滅のことばを得る。文字である。文字を創造した高宗武丁をえがく表題作をはじめ「地中の火」「妖異記」「豊饒の門」など五つの名品集。(磯貝勝太郎)

みんなの感想まとめ

古代中国の王子が言葉の不自由を乗り越え、文字を創造する姿を描いた作品で、歴史的背景や人物の内面に迫る内容が魅力です。特に表題作では、高宗武丁の苦難の旅とその後の成長が描かれ、彼を支える臣下の存在が物語...

感想・レビュー・書評

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  • 学生の頃から、とにかく読んだ宮城谷先生の作品。
    感想書くために、読み直しを敢行します。
    とりあえずお話の年代順に読んでいこうということで、夏の時代がある「沈黙の王」からの始まり。

    さて、近頃色々な本を読んだ後で改めて読むと、前ほどの感銘がなかったのが意外でした。この短編集はちょっと淡々と進む感じで、この人物がかっこいいとかあまりなかったなあ。
    しいて言えば、鄭の文侯様だけど、この人ならではの個性が弱かったと生意気にも思ってしまいました。

    さて次は、商建国のお話です。

    追記になります。
    感銘を受けなかったのは、もしかしたら主人公たちの研鑽があまり描かれていないからかも。
    叔向殿は特に、才能は確かに優れていたのだろうけど、やっぱりそれを磨いて、人格を作り込む研鑽があったはずで、その描写がほしかった。
    これが宮城谷先生の作品の好きなところなんですよね。
    才能に優れた人が、凡庸な人に呆れてる感があって、少し鼻につく感じ。本当はもっと優しくて大きい人物なんだろうに!
    この作品で1番好きな人物は趙武様でした。人格の深さを感じます。

  • ジュリアン・ジェインズ著『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』を読むと本書の風景ががらりと変わる。「神霊」とは右脳であり、「ことば」は左脳なのだ。「言霊の呪能」(白川静)が表象化(文字化)された時、右脳から左脳へのシフトが起こったのだろう。
    https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2025/02/16/195640

  • 全1巻

  • 1995年第一刷、文藝春秋の文春文庫。5編。主人公は順に 商(殷)の高宗武丁、寒浞と后羿、鄭の桓公友、鄭の武公掘突、叔向(羊舌肸)。春秋は諸子百家、特に儒教の孔子の時代だから少しはなじみがあるが、夏や殷はまず小説では見ない時代。最後の叔向は中編ぐらいの長さがあるからかそうでもないが、他の4編は歴史の事実(と作者が考えるもの)に沿って動かすあまりか、うまく動かされている感じがしないでもない。それでもきっちり動いている感じはするのでかなり面白い歴史小説である。

    収録作:『沈黙の王』、『地中の火』、『妖異記』、『豊饒の門』、『鳳凰の冠』、解説:「解説」磯貝勝太郎(文芸評論家)。 単行本は、1992年9月文藝春秋刊。

  • 5つの話を集めた短編集。

  • 黙の王
    地中の火
    妖異記
    豊饒の門
    鳳凰の冠

    著者:宮城谷昌光(1945-、蒲郡市、小説家)

  • 挫折

  • 「沈黙の王」「地中の火」はそれぞれ文字の発明・弓矢を発明した部族の物語。はるか古代を舞台にしており、伝奇的なせいかどこか
    中島敦を思わせる雰囲気がある。
    「妖異記」「豊饒の門」は笑わぬ美女褒?(ほうじ)と、それに振り回される王の物語、そして「鳳凰の冠」は絶世の美女・夏姫の娘を娶った晋の宰相・叔向の物語です。いかにも宮城谷さんらしい歴史物ですが、短編の割に登場人物が多く、その上一人の人物が役職で呼ばれたり、名で呼ばれたり、字(あざな)で呼ばれたりするので苦労しました。

  • 117

  • 超久々の中国モノ・・・
    初の宮城谷昌光で・・・
    彼の十八番の古代中国モノの短中篇集・・・

    今まで一番古い時代のもので始皇帝(安能 務のヤツ)だったけど、更に古い時代・・・
    夏や商(殷)、周、そして春秋の時代!
    全然馴染みない・・・
    けども面白い・・・
    小難しい?
    いえ、全然・・・
    歴史モノだけど、ファンタジー要素も混ざってるし、落ち着いたトーンの丁寧な語り、文体で、結構スンナリ物語が入ってくる・・・

    一番良かったのは、2篇目の『地中の火』・・・
    夏王朝を一時的に滅ぼした男たちの物語・・・
    中国で最初に弓矢をつくり、弓の名手だった后羿【コウゲイ】と・・・
    その側近で、権謀術数鮮やかな寒浞【カンサク】の天下制覇への物語・・・
    后羿に拾われ、后羿へ天下を獲らせるために献策し、時には手足ともなって動き回る寒浞・・・
    彼の功もあり、天下獲りにあと一歩というところまでいった后羿・・・
    その后羿を寒浞は謀殺する・・・
    寒浞はその覇業を引き継ぎ、夏王朝を滅亡させ、王となる・・・
    だが、そんな寒浞もまた、滅ぼしたはずの夏王の遺児により、滅亡の時を迎える・・・
    ・・・
    寒浞の才知のキレとその野心の遠大さ・・・
    燃えるよね・・・
    そして最期の儚さもとても良い・・・
    夢のまた夢、感が味わい深い・・・
    わずか40ページに、栄枯盛衰が詰まっておる・・・
    好きです・・・

    その他・・・
    名将、忠臣、名臣、奸臣、妖女、暗君など各篇で魅力的な人物たちが織り成すドラマが面白い・・・
    語り口がなんだか良いんだよなぁ・・・
    古代中国が題材なんだけど読みやすいんだよなぁ・・・
    すごいよ宮城谷さん!

    中国は美女が何度も国を滅ぼすね・・・
    妖しい美女に近寄っちゃダメですね・・・

  • #古代中国で最初に文字を発明した王様の話。そう聞き表題作を読んだが、言語障害を理由に追放された王子の貴種流離譚がメインで、文字制定の現場は1Pのみ。

    #明らかに白川静の著作の影響があるのに、漢字は一人の王の創造物、というマッチョな結論にとまどったが、調べてみるとこれは、最古の甲骨文は武丁の時代からの出土、というところから宮城谷が膨らませた創作らしく、そう判れば作者が文字の創成期にはどんなドラマが必要だと考えたのか、という視点で楽しく読める。でも、文字が存在しない世界のことを文字で記述できる、ってやっぱり不思議。

    (2009/03/26)

  • 50頁弱の短編小説なので、休憩代わりにさらりと読了。
    同文庫に収められている他の短編は又の機会に。

    ブラッドベリの華氏451度を読んだ直後だからであろうか、この短篇が抑揚無く淡々と進んでいく様が、ことさら心地よく感じた。

    以下、ネタバレにならない程度に、断片的な感想をば。

    流浪の旅にでた王子「子昭」が、当初の目的地にて「甘盤」に出会うも、
    「所詮、知識は人の表層に過ぎぬ」
    という虚しさに直面する。

    その後、高祖の墓を目指して西走する道中で、ついに子昭は「言葉」と出会う。

    それは、言葉を持たない王子「子昭」と、聞こえぬ声を聞き取る「傅説(ふえつ)」との出会いだった。


    そして、言葉を発することのできない王子が、あるものを発明する。

    「沈黙の王」
    なるほど、言い得て妙のタイトルだ。



    2014.07.05
    表題作以外も読了。

  • 4-16-725906-0 317p 2001・4・5 13刷

  • 5話の短編集。

    表題の『沈黙の王』は、
    言葉が出ない王が中国で初めて、文字を創造した話。

    私は、笑わない美女・褒姒の話『妖異記』が好きです。
    周の幽王の妃。
    なんか、中国には美女に溺れて滅んだ王の話が多いような気がする。
    日本だと、あまり聞かないよね。

  • 言葉を喋れない商の王子(高宗武丁)が苦難の末、文字を創造する過程を描いた「沈黙の王」、夏王朝初期、権謀術数を尽くして天下を取ろうとする男を描いた「地中の火」や周王朝の興亡と悪女と呼ばれる褒姒を描いた「妖異記」、周王朝没落の中生き残りをかける鄭の国の秘策を描く「豊穣の門」、晋王朝の太傅、叔向の婚姻を描く「鳳凰の冠」などの夏王朝や周王朝での短編が収録されている。

    「妖異記」での笑わない王妃褒姒の最後の笑いはなかなか怖かった。
    「鳳凰の冠」での叔向の母、叔姫の気の強さは反面教師としなくては。

  •  一般的な小説として読むと、ちょっと物足りないと感じるが、歴史をフィクションを交えてかみ砕いて話してもらうと考えると、ちょうどよい。表題にもなっている沈黙の王が一番おもしろかった。

  • 中国の歴史小説をあまり読まないのですが、紀元前10世紀を舞台に活き活きと物語を展開する作者の力量に目をみはりました。おそらく、文字(漢字)の起源をテーマとしているので文献なども少なくというよりほぼない状況であるわけで、立派としかいいようがない。

    他の短編も登場人物の個性が光る一品です

  •  象形文字の漢字を創造した古代中国、商の時代の物語が表題作である。象形文字イコール表意文字ではなく、漢字は表語文字と言うらしい。文字自体が形態素の発音を表しているからなのだとか。漢字と仮名文字から成る日本語は表意と表音の組み合わせなので、文字界のコウモリ的存在なのかもしれない。遥か昔のおはなしなのでファンタシジー小説の趣がある。

  •  面白かったけど星三つなのは、この方の文章は疲れている時に読むとどうしても目が字面を滑っていってしまうから……。そんな私的事情はさておき、美姫・妖姫に絡ませつつの短編五本、良作揃いでした。特に好きなのは「豊穣の門」。鄭公の人となりに、こんな人が民の上に立ってくれたらと思わずにはいられませ。

  • 宮城谷昌光作品はやっぱり良いね。短編集ですが読み応えもあり、宮城谷昌光ワールドを十分堪能できます。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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