太公望 上 (文春文庫 み 19-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259105

感想・レビュー・書評

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  • 太公望ってかなり昔の人物であるため、残っている情報は少ないと思うんだけど、その残された事実を上手く活用して、よくもまぁ、ここまで豊潤な物語をくみ上げているなぁ、という印象。この方の書いている物語は読んでいると無類に面白いんだよね。良い意味での勢いがあるというか。ただ、今作は登場人物が多すぎる傾向があり、しかも漢字一文字(かつ読み方も独特)と来ているので、なかなか登場人物が頭に入ってこないんだよなぁ。まぁ、中巻・下巻も楽しみながら読み進めたい。

  • 太公望の青年時代を描く上巻。

    一族を商によって殺された望は、商王を倒すという復讐心を持ちながら各地を放浪。
    しかしその旅の中で、商という国の絶対的な力に触れ、ときどき不安になりつつも、なんとか折れずに精神的に成長していきます。

    一応歴史小説なのですが、冒険記のような感じもあって、熱いシーンが多々ありました。

    それにしてもまだ若造であるはずの望の能力に、偉いおじさんたちが次々と引き込まれていくところは、非現実的ではあるけれど、太公望の最強っぷりがよく現れていて、いいと思いました。

    ここから望がどうやって商との因縁を晴らしていくのか、非常に楽しみです。

  • 2024年
    鑑賞作品 No.9

    《感想》
    高校時代の恩師の勧めを突然思い出し鑑賞。
    望の人としての生き様を見せつけられる。
    周りを次々に味方にしていく姿はまさに主人公の中の主人公。
    持って生まれた力とそれを伸ばす努力、学ぶことは多い。

    フィクションであるとはいえ、時々歴史の資料に立ち返って原典を引用しているため、臨場感がぐっと湧いてくる。

    《印象に残ったシーン》
    ▼ 望が洞人から剣術を習うシーン

    《MVPキャラクター》
    ▼ 継
    幼いながら聡明かつ清廉な女児として5人の中で一際存在感がある。
    一方、ときに子どもらしく望や周りの大人に甘える姿が愛おしい。
    これからどんな成長を遂げるのかが楽しみ!

    《ぐっときたフレーズ》
    「有心を有心でうけとめようとするから、起居に破れや隙が生ずる。無心でいれば、相手の有心はありありとわかるというものではないのか。」

  • 三国志や春秋戦国時代をさらに遡り、時代は殷。暴君紂王が悪虐の限りを尽くし、天も人も新たな風を求めた世において、後世にも不滅の光芒をはなつ人物があらわれる。王朝の殺戮から逃れた羌族の少年、太公望がそのひとである。

    中国史においては、三国時代や春秋戦国時代が有名で多くの書物やゲームでも題材にされているように思います。実際、私もこれらの時代はいろんな媒体を通じて楽しませてもらっているところですが、私にとってのはじめての中国史は藤崎竜氏の漫画「封神演技」でした。基本はバトルものですが、緻密な構成にギャグ要素もあり、週刊誌に掲載されていたこともあって、子供だった当時は毎週ワクワクしながら読んでいた覚えがあります。主人公の太公望は、策士として時には汚い手も使いますが、とても魅力たっぷり。私にとって太公望とは、この漫画のイメージが強くあるのですが、宮城谷昌光が描く太公望も、これまた素敵な人物。族長として、軍師として、様々な立場で人を導いていく太公望。彼が投げかける言葉はときに物語を飛び越えて、読者の心をうつことがあります。宮城谷昌光の特徴なのかもしれませんが、本書では太公望に限らず、多くの信念を持った人物が登場し、彼ら彼女らの言葉にとても心を揺さぶられました。信念を持って、苦難に立ち向かいながらも正しいことを行うことの大切さを勉強させられました。

    個人的に感じている宮城谷昌光のもう一つの特徴は、終盤が尻窄み傾向にあること。本書でもその印象があり、それまでの盛り上げが素晴らしかっただけあり、牧野の戦いも含めた終盤は、もっと膨らませて欲しかったなぁというのが率直な思い。
    とはいえ、非常に楽しめた全3巻。引き続き宮城谷昌光の中国史を読んでいこう。

  • 匡救する(きょうきゅう)- ただしすくう。
    紊乱を匡す。

    匹夫な男に嫁すものが
    輿望があるもの、尊崇されているもの
    謙譲の中に剛毅がある人間。

  • 太公望の青年時代を書いた上巻。商に父と一族を殺され復讐を誓う。父の遺言に従い生き残った子供達5人と狐竹へ向かう途中で馬羌族や鬼方、土方などに助けられたり時には騙されたりし目的地を目指す。その後商王の一族と思われる老人から剣と文字を伝授される。自然や人をよく観察する事で兵法の原型を少しずつ現してゆく。

  • のちに「太公望」と呼ばれることなる主人公「望」は羌族の族長の息子として生を受けます。
    殷王朝の宗教的儀式の狩りの対象とされ、しかし平和なときは短く、少年とも言える年齢で同じ族の小さな子供5人を連れて襲撃を受けた自分の村から逃げ出すところから物語は始まります。

    中国で商(殷)王朝の末期のこの物語は、「望」に様々な試練を与え、成長する様が描かれています。その過程での考え方・物事の捉え方はとても考えさせられます。またそこに魅力を感じずにはいられません。「天」「地」「人」のありかた、「信念」「父母への情と接する思い」「友人とは」・・・とにかく様々なことを自分に置き換え考える。そしてその中で「望」という人物に惹かれてしまう。
    読み進める程に「人とはかくありたい」と思えてくる、中国史でありながら自己啓発本の要素も併せ持つ1冊です。

  • 太公望全3巻の上巻

    商への復讐を胸に近い、様々な困難に立ち向かいながら心身ともに成長していく望の生き方は、とても惹かれるものがあります。
    冷静沈着に物事を広く見据えることの出来る太公望の目線で語られる物語。物語の展開も面白いですが、望の生き方からも目が離せません。

    先の展開が楽しみです

  • 20191012

  • 宮城谷氏の著作はもともと気になっていたのだが、実際の読むのは初めて。太公望は、マンガ『封神演義』でもおなじみの人物。神話性のある人物だが、この作品の中では、一人の人間として描かれている。
    上巻では、望の所属する姜族の集団が商王朝の受王(紂王)に襲われ、壊滅。望は数名の少年達と一人の少女を連れて草原を彷徨うことに。「紂王を殺す」という強い思いを秘めて。
    上巻では中国辺境地の古代の様子がよく描かれている。鬼方や、土方といった異民族。商から北方の支配を任された箕子など多彩な人物が登場する。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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