太公望〈中〉 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259112

感想・レビュー・書評

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  • <b><u>革命とは、新しいことばを必要とする</u></b>

    <blockquote>妻子を得て春陰にたたずむ望の胸中には、焦燥あるばかりであった。周公を中心に諸侯は策謀しつつある。しかし独り時代の先を視る望の苛烈な生は、人知れぬ哀しみにみちていた。ひとは己れを超えねばならぬ、あたかも小魚が虹桟を渡り竜と化するように。利に争うものは敗れ、怨みに争うものは勝つ、そしてそれを超えるとは。
    </blockquote>
    「新しい言葉が欲しい。」私のなかにの革命を起こす時期にきているのか、そういう焦燥感がページをめくる指を急がせた

    ーーーーーーーーーーー
    <blockquote> たしかに彪の性格は善良さに満ちたものではなく、素直さに欠け、人を傷つける拗強さをもちつづけている。集団で生活するのが人の常態であるとすれば、彪はそれにむかない孤独をもっているといえる。おそらく彪はそういう自分にいらだつことがあり、たくみに人にうちとけてゆけない不器用さを哀しんだのではないか。
    彪は口では大きなことをいうが、じつは小心である。それも望にはわかっている。望とすれば、自分を空想している彪を真の彪に会わせてやりたいと考えていた。それをたれかがしないと、彪はついに自己を知らずに、自分という幻影のなかで死ぬことになる。
    虚しい。
    人にとって何が虚しいかといえば、そのことがもっとも虚しい。一生のうちに真実がひとつもなかったということである。彪の一生がそうであってもらいたくない。
    ー彪はいま苦しんでいるであろう。
    望はそうおもう。奴隷の生活は暗昧のなかに沈みきっているにちがいない。が、足もとの小石に希望の光をみつけてほしい。闇のなかに光をみつける努力をしてほしい。それをする者は生き、それをしない者は死ぬ。この世もおなじである。</blockquote>

    [more]

    ーーーーーーーーーーーー

    <blockquote>「詠よ。ひとついっておく。彪がもしもわたしの下にいる者を殺そうとしたら、わたしが彪を斬る。そのとき、詠は彪をかばうか」
    「かばいます」
    「わかった。わたしが詠に願うのは、そういう自分を裏切ってはならぬということだ」
    詠ははっとしたようである。
    横できいていた参はしずかに一笑し、
    「なるほど、望どのはすぐれた長だ。その大器を蘇侯は看破なさったのか」と、話題を転じた。</blockquote>

  • 上中下の中でこの中が一番面白い。
    話が急激に進む展開ではないけれど、読んでいて一番学びや納得できる箇所が多かった。思わず云々と唸って読んでしまった。

  • 本巻ではチーム太公望が少しづつ人が揃い確実にコネを拡げ勢力を拡大していきます。
    当初想定していた物語とはまるっきり違う現実路線です。

    中国の歴史の一番古い王朝である夏王朝の歴史に少しだけ触れています。大変興味深い逸話でした。
    中華の古代民族と国名の話など知識向上の為にも良い本かと思います。


    物語も下巻を残すばかりとなりましたが一気に読んでいきたいと思います!!!

  • 感想は上巻と下巻に。

  • いよいよ盛り上がり

  • 2016/8/6

  • 2016/5/29

  • 中巻では、商に敵対する勢力が出始めて、なんだか壮大な話になってきます。

    望は離れ離れになってしまった同族の仲間たちと次々と再会します。
    さらに彼は商の周辺を飛び回って、商に反感を持っている勢力の信頼を得ていく。
    そうすることで、来る戦いのための地固めを行なっていきます。
    全体的に、上巻は悲壮感が半端なかったですが、中巻は希望の光が見えてきた雰囲気でした。

    印象的だったのは、中巻の望の心に、復讐を果たした後のこと、つまり新しい王朝、新しい国をつくるという志向が去来したことでした。
    上巻の望は商王への復讐心に支配されていたきらいがありましたが、苦しい経験をしたことで、将来を考えるようになったようです。

    中弛み感がなくて面白かったので、下巻にもすごく期待。

  • ますます面白くなってきた。登場人物がみんな生き生きと描かれている。

  • 酒池肉林ってすごいな

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著者プロフィール

宮城谷 昌光(みやぎたに まさみつ)
1945年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。1991年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞、1994年『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年『楽毅』で司馬遼太郎賞、2001年『子産』で吉川英治文学賞、2004年菊池寛賞をそれぞれ受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。
2006年、紫綬褒章受章。2016年、第57回毎日芸術賞受賞、及び旭日小綬章受章。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『呉越春秋 湖底の城』など多数。また『風は山河より』など日本の歴史に題材をとった作品もある。

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