管仲 下 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2006年7月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167259181

みんなの感想まとめ

物語は、春秋時代の斉を舞台に、名宰相管仲と彼の盟友鮑叔の人生を描いています。彼らの周囲には個性豊かなキャラクターが揃い、彼らの思惑や行動が生き生きと表現されています。特に、管仲の成長や家庭の問題、運命...

感想・レビュー・書評

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  • キャラの濃い人たちの間で管仲と鮑叔が何を考え、何をし、どうなったかが実に生き生きと書かれている。

    管仲は初めから「変わり者だけどかなりできた人」のように登場して、何をどうやって学んでそこまでになったのかがわからない部分もあるが、散財した兄とそれを許した母の家庭問題と、それも絡んでの李燕との別れがあって人間が磨かれていく。

    上巻ではのちに妻、同僚や部下、協力者となる人たちとの運命的な出会いが面白く書かれている。著者の創作が多い部分だろう。

    下巻では斉で取り立てられて、管仲が太子糾の、鮑叔が公子小白の、教育係になってからの話になる。国内外のドロドロした関係が出てきて俄然面白くなる。

    ネチネチ変態野郎の諸兒(襄公)の横暴に対してどう対応するか、公孫無知の反乱に乗じてどう動くか、その駆け引きにハラハラさせられる。

    公子小白(桓公)が即位した後の鮑叔の動きが素晴らしく、管仲もその期待に応える。国を治めるためにトップがどうあるべきか、庶民のためにどういう政策を取るべきか、儒教が起こる前に管仲が基礎を作ったと言えるだろう。


  • 中国周王朝の権威が衰退していく春秋時代の「斉」と言う国の名宰相管仲(紀元前7世紀頃)は、民を主眼とした富国強兵を進め、斉の桓公を周王朝に代わる最初の覇者と成した。

    そこに至る道筋は「史記」の中でもドラマチックな場面の一つである。

    宮城谷昌光の小説にしてはやや短かめではあるものの、鮑叔と管仲のエピソードを分かりやすくまとめて飽きることがなく、満足感も充分な物語。

    この人たちが生きていたのは今から3000年近く前のことなのに、物語のなかでこんなに生き生きと描かれている。

    もう随分前に単行本で読んでいたが、文庫でも独特の挿絵が割愛されることなく挿入されているのが、嬉しい。

  • 管仲メインではあるけれど、管仲1人ではなし得なかったことばかり。人と人との繋がり、運命、そういったものが重なってその人の人生がある。
    上巻はつまらないと思ってしまったが、当然ながら上巻が無ければ下巻にはならない。管仲という人の偉業と、その周りの人物に納得がいくのは上巻があってこそ。

    徳を積むとは、どういうことか。本書には色々書いてあったが、少なくともハンムラビ法典の生き方ではいけないな。
    大変、勉強させられました。

  • 全2巻

  • 「倉廩(そうりん)実(み)ちて則(すなわ)ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る」――管仲の言葉が色褪せることはない。否、時代を経るごとに輝きを増してゆくだろう。
    https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_56.html

  • 管仲の苦節・活躍、実にみずみずしく描かれた名品である。我々日本人に比べ、中国人がいちいち前置きの話を始めて、人物にせよ政治にせよ、評価を定めようとする癖は特有だが、奇襲や神出鬼没を得意とする、倭寇のような日本人がまだ多い中、中国人のこの合理性は見るべきものがある。理屈っぽいと言って日本人の中には忌避する人が多いけれども、中国人のノリも親しむと、苦笑してしまうような近さがあり、面白い。どうも管仲の才は中国の礎を形作った大きさを持っていたらしく、笑い飛ばす類ではないが、そのへりくだった心構えは親しみを感じ、距離は近くなった。中国の世界に浸ってみるのもたまにはいい。

  • 上巻の感想に、女性の描き方が古めかしい、と書いてしまったけれど、下巻に登場する文姜の捉え方はとても現代的。男性のつくった倫理に挑戦する女性としての文姜像を、歴史から掬い上げようとする視線には作者の真摯さや誠実さを感じる。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    「管鮑の交わり」の故事で有名な管仲・鮑叔が主人公の小説
    下巻は斉の公子に傅として使えた管仲・鮑叔が斉の宰相、重臣となり、斉が覇者となるまでの物語となっている。
    上巻と比較すると歴史上の出来事をベースに物語が構成されており、要所要所の物語は読んだことのある内容だった。しかし、連続した物語として読むと別の面白さがあった。
    管仲が残した言葉に「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る。」があると読み、有名な「衣食足りて礼節を知る」は管仲の言葉が由来となっているのだと感心した。紀元前の時代に民生を考えた人が存在したことに感動した。
    一方で敵対する公子に使えていた管仲を宰相として推薦した鮑叔も一角の人物であると感じた。

  • 初めて著者の小説を読んだが、自分には合わないと思った。著者の作風なので全くの自分の好みじゃなかった。著者の登場人物の描き方がマクロ的というか、つまり、空の上から見ている感じに描くのでどうしても感情移入ができない。管仲という非常に魅力的なキャラクターなのだが、違う作者で描かれた小説も読んでみたい。

  • 中国の古い時代の思考や行動を知ることができ、参考になった。料理の味にうるさいものは徳が薄く、楽しみに耽るものは憂いに反る。壮年の時に怠ければ時宜を失い、老いて怠れば名声を得られない。

  • 上に同じ。上下二巻でさらっとは良くもあるが、具体的に何を行って何が良かったか見えてのないのはマイナス。とにかくすごかっただけに終わった感じ。

  • 紀元前6世紀、中国春秋時代の政治家、管仲の話。斉の名宰相として名を馳せる。実家を離れざるを得なかった若い頃の境遇や、婚約破棄で別れ別れになったつらさを経て鮑叔と出会い、お互い優れた才能を発揮していく。
    この作品は管仲の話なのだが、断然鮑叔という人物のほうがすばらしく描かれている。管仲が名宰相となれたのも、鮑叔がいたからこそ、であるとしみじみ感じた。管仲を推して自分は身を引くところも感動である。

  • そして、後半(下巻)。

    管仲も鮑叔も斉の公子の傅(ふ)あるいは傅佐(ふさ)となる。つまりは斉国の跡継ぎ候補の教育担当といっては誤解を招くだろうか。

    管仲は公子糾(きゅう)の教育担当として、鮑叔は公子小白の教育担当として、それぞれ別の道に進むことになる。これが運命の分かれ道。すなわち最大のライバル関係となる。お互いの天才ぶりを知りつつ、またお互いを尊敬しつつ、それぞれの公子を後継者とするためには、管仲と鮑叔はライバルとならざるを得ない。

    もともと素質的には、糾のほうが小白より数段優れており、鮑叔は小白の傅とならざるを得なかった自身の運命を悔やんだこともあった。

    さてそれが、最終的にはその公子小白が即位し、斉の桓公となり、その宰相に管仲が就くという風に歴史は展開していく。

    う~ん、その背景には、私はこの鮑叔という人物の素晴らしさを認めずにはおられないな。この小説の読後という制約付きで、自分は鮑叔の人物を管仲より数倍上段として認めたい。

    そうしたときに自分は、上巻で登場した「人があっての天であり、人があっての地である」という鮑叔の言葉のほうに興味が魅かれてしまう。

  • すっかり春秋時代と宮城谷昌光にハマりました。
    管仲と桓公のやりとり、挿話は高校時代の漢文で散々出てきたなぁと懐かしく。
    この時代背景を知っていたら、もっと深みがあったかもしれないな。

    現代に活かせる教訓が盛りだくさんだった。

  • 倉りん実ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る。

  • 春秋時代の名宰相管仲の円熟期を描いている。
    「運命の矢」などは物語のクライマックスだ。
    登場人物達の志の高さは、今の時代に欠けているもので心地よい。
    斉の桓公の宰相になってから以降の活躍が、淡々と描かれているのが残念。
    筆者あとがきに「管仲をえがくのは難しい」と書かれていたが、その通りなのだろうと思った。

  • 個人的には、管仲よりも鮑叔の方に魅力を感じた一冊。莒から斉に戻るときの実行力はもとより、何より人はここまで社稷や友のために自己を滅することができるのかと思った。管仲が宰相になってから鮑叔は物語からフェードアウトしてしまうのが少し残念だけれど、そもそもタイトルが『管仲』なので、ほぼW主人公の如き扱いだったそれまでが破格だったのかも。主題ではないけれど、襄公と文姜についての描写も解釈の余地が残されていて良かったです。

    物語としておもしろかったのは上巻だけど、読んで良かったと思ったのはやっぱり下巻だなあ。

  • 20111204 民のための政治。今の日本の政治家に欲しい。

  • 想像している管仲のイメージと合わず、違和感が残った。確かに小説としての面白みはあるが、僕の中にある管仲とのズレが払拭できなくのめりこむことができなかった。また、管仲が宰相になってからのエピソードをもっと増やして人物を表現して欲しかったように感じられた。

  • 4167259184  333p 2006・7・10 1刷

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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